写真de俳句の結果発表

第27回のお題「凍てつく大河」《ハシ坊と学ぼう!⑥》

ハシ坊

第27回のお題「凍てつく大河」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

冬虹たつや八戸を跳ぶ陰陽師

たきるか

夏井いつき先生より
「凍る大河の橋を渡ってでもファンは観に行くのだろうなと思いながら、羽生結弦さんが、八戸で開催したアイスショーをテレビで拝見しました。とても芸術性が高く、美しく、被災者への鎮魂、本人のカリスマ性も存分に発揮された、とても素晴らしい内容で感動しました。最初の演目は、映画『陰陽師』を題材にとった楽曲『SEIMEI』でした。『冬虹や』としなかったのは、与謝蕪村の句を意識してのことです」と作者のコメント。

内容を詰め込み過ぎて、十七音ではそこまで読み取れないというケース。羽生さんの演技に感動したのであれば、その動きを描写するところから、始めてみましょう。
“ポイント”

氷点下三十度発熱する身体は飽食

夏陽 きらら

夏井いつき先生より
「日本一寒い北海道陸別町は、氷点下三十度にもなるそうです。厳しい寒さの中で、体温を維持することができる人体の不思議を考えました」と作者のコメント。

表現したい内容が多すぎて、十七音に収まり切れてないケースです。
“参った”

スケートや結合緩し水分子

釋愚拙

夏井いつき先生より
「Wikipediaの『氷』の項の以下の説明を元に詠みました。[氷表面の水分子は、結合が不完全でベアリングボールのように転がりやすく、氷表面は滑りやすい。この現象は、2018年5月にドイツのマックス・プランク研究所の永田勇樹らのグループによって解明された。氷点下の-7℃でこの性質は最も強く現れ、スケート、スキー、カーリング、そりなどはこの性質を活かしている]」と作者のコメント。

うーむ、俳句というよりは、カガクの解説……。
“参った”

朝まずめカイロ八枚無駄となる

釣女

夏井いつき先生より
「厳寒の朝に釣り。釣果なし」と作者のコメント。

「無駄となる」の意味が、この句だけでは読み取れないなあ。
“参った”

結氷は岸から中へ上流へ

鋼岳

夏井いつき先生より
「川が凍るには順番があることを知りました。 【川の岸側(両岸)→(川の)真ん中→上流】だそうです。 下流に向かって凍るかと思ったら、上流でした。そして図らずもがな、初めて一物仕立ての句になりました」と作者のコメント。

これは、一物仕立てというよりは、「結氷」の仕組みを解説したものです。残念……。
“難しい”

川凍てて近隣愛は何処へやら

大坂 吉也

夏井いつき先生より
「川は、村と村とか国と国の境にあることが多いです。一度この川が凍てつくと、隣付き合いは疎遠になってしまいます」と作者のコメント。

お気持ちは分かりますが、中七下五は感想です。
まずは、上五「川凍てて」いる様子を描写してみましょう。
“ポイント”

気にするな凍りはじめの一滴よ

とうこ

夏井いつき先生より
「はじめに凍りはじめた一滴から、こんなに大きな河全体が凍ってしまった。最初の一滴にはあんまり気にしないでほしいなと思いました」と作者のコメント。

俳句として読んだ時、上五の「気にするな」の意味が読み取りにくいです。
良き

シェルターで寒さと飢えのクリスマス

栗紀

夏井いつき先生より
「電気もなく食料もない激寒と恐怖のなかで、クリスマスを迎えるウクライナの人々を思い作りました。きっと幸せで平和だった時のクリスマスを思いながら過ごしているでは? と思いを馳せました」と作者のコメント。

お気持ちはよく分かります。
説明的な助詞の使い方になるので、せめて上五の「で」だけは解消したいところです。
“ポイント”

ねどこから庭の雪景色へいそげ

ひなここ

夏井いつき先生より
「朝起きて、庭に白一面に積もっている雪にワクワクした気持ちを詠みました」と作者のコメント。

「ねどこから」と説明すると、一句の時間が冗長になります。「ねどこ」で雪だと気づいて一句、「庭」の雪景色で一句。「~いそげ」で一句。
もっと短い時間を切り取る練習をしましょう。
良き

太郎次郎苦闘の末を氷原野

立町力二

夏井いつき先生より
「映画『南極物語』から……」と作者のコメント。

『南極物語』を大雑把に端折った……という一句。
映画や書物から句材をひいてくるのがダメというわけではありませんが、まずは、自分の実体験を詠む練習から始めましょう。
“難しい”

四つに組む凍てつく大河がっぷりと

徒歩

夏井いつき先生より
「力強く橋を支える橋脚が、凍てつく大河とがっぷり四つに組む相撲を取っています」と作者のコメント。
 
「橋を支える橋脚」を描きたいのならば、やはり「橋脚」という言葉がないと、読み手に伝わりません。
“難しい”

砕氷船強いアタック川起こす

壷茶

夏井いつき先生より
「ロシアには、砕氷船が凍った川を通るそうで、氷が張り冬眠しているような川を、砕氷船が叩き起こすように氷を削って通る様子を句にしました」と作者のコメント。

「砕氷船」とはどういう船かを説明した中七下五になっています。中七の展開次第では、下五「川起こす」は息を吹き返す可能性があります。
良き