第13回 俳句deしりとり〈序〉|「ピー」②

始めに
出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、①に引き続きご紹介してまいりましょう!


第13回の出題
兼題俳句
Lはこう、と少女の息やスイートピー 緑萌
兼題俳句の最後の二音「ピー」の音で始まる俳句を作りましょう。
※「ピー」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。
ピーなのかビーか花眼の日永かな
青居 舞


PDF書き込めなくて春夕焼
糸圭しけ


PK戦8強ならずも冬麗
千里
PK戦コース読まれた凍空や
稚草
PK戦悔しさにじむ霜夜かな
釋愚拙
PK戦静寂のピッチ息白し
千思
PKの笛胸に組む悴む手
末永真唯
アルファベットのPのなかでは最多だったのがサッカーの「PK」。サッカー人気に加え、ワールドカップなど衆目の集まる場面も多いだけに、切り取り方の角度にもバリエーションがありますね。なかでも《末永真唯》さんの句はボールが蹴られようとする瞬間の息を張り詰める空気感が伝わってきます。が! PKの句に関してはやはり以下の人達を讃えたい!


PKを外して響く冬の果
麦のパパ
PKを外した夜のかき氷
あみま
PKを外しトラウマ卒業す
泉晶子
PKを外した夜の缶ビール
ヒマラヤで平謝り


PSのあとの空白春の雪
松本厚史
PSは書かれずにいた春月夜
京あられ
PSと書いて見上げる星朧
里山まさを


PTA次の議題は老桜
芦幸
PTA父の威厳の草むしり
村瀬っち


「P有り」を消して「つばめが子育て中」
十月小萩


PEANUTSの*sigh*のふきだし花吹雪
径
「PEANUTS」とはチャールズ・M・シュルツ氏によるコミックのこと。スヌーピーが登場するあの漫画です。「sigh(サイ)」はため息を意味する単語ですね。チャーリー・ブラウンが時々「*sigh*」とため息をついてるのが可愛らしいやら可哀想やら。小さなコミックを手に、花散る頃外で読書を楽しんでいるのかしら。
記号の類いを句に詠み込むのはやや難しい手法です。台詞や強調を意味する「 」(カギ括弧)や、単語を連続して並べる際の・(中黒)など、一句の中で必然性を持っていないと、時に野暮ったくなってしまうのです。ましてや普段日本語の書き言葉ではあまり見かけない「*」(アスタリスク)ともなればなおさら。ですが、この句では作中のふきだしの形を映像として描こうとする、ちゃんと意味を持ったパーツとして機能しています。横書きで掲載されるのもこの句に対しプラスに働きますね。非常に珍しいケース。


PHP「俳句の授業」手にし夏
伊沢華純
秘英知俳句始めた小正月
耄碌爺


ピーちゃんの貼り紙はがし春の雨
青に桃々
ピーちゃんの籠から眺む春の山
星瞳花
ピーちやんの墓どこだつけ球根植う
板柿せっか
Pちゃんは明日食べられる草の花
三浦にゃじろう


ピーちゃんを撫でるグェスに似て寒凪
いかちゃん
よお~~~~~~~~しよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしとってもとってもとってもとってもとってもとってもきゃわィィイイねェェェェェェェェェ、《いかちゃん》! よく出来たッ!


ピーチ姫救えずかじる冬林檎
青井えのこ
ピーチ姫菜の花ロードぶっちぎる
天風さと
ピーチ姫助けに行かん桃連れて
遠きいち(とおきいち)
ピーチ姫待ってて素麺倒して来る
澤村DAZZA


ピーター・パンの住んでいる家燕の巣
坂野ひでこ
ピーターパンに訊く貝寄風の乗り方
七瀬ゆきこ
ピーターとフックの会話おでん屋台
はなぶさあきら


ピーターパン症候群やソーダ水
芽日火
ピーターパンシンドロームや寒霞
とべのひさの
ピーターパン症候成人の日来
小野蒼水


ピーターラビットここにあそこに年賀状
寺田 美登里
ピーターラビットの家系図にパイ春愁
土橋胡翔


ピーポくんと踊る盗人万愚節
たきるか
ピーポくんベルトを締めて裸かな
横山雑煮
ピーポくん両手を広げ冬の昼
中平保志
〈③へ続く〉

