写真de俳句の結果発表

第30回「常念道祖神の桜」《天》

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

常念道祖神の桜

30

 

太鼓部の朝の素振りや大桜

佐藤レアレア

 

上五いきなり「太鼓部」から始まる一句。(俳句部のある高校もじわじわ増えている多様性の時代だから、太鼓部もあるのだろうと調べてみたら、俳句部よりもよっぽど沢山ありました。)

中七「素振り」といえば野球部を一番に思いますが、太鼓部にとっても大事な基礎練習なのでしょう。しかも「朝の」とありますから、朝練です。放課後の練習だけでは足りない。朝の自主練なのか、部員皆が集まっての正式なメニューなのか。いずれにしても、全国大会を目指す実力派の部活なのでしょう。(これまた調べてみると、高校生を対象とした和太鼓の全国大会がありました。)

太鼓部の朝の練習が始まります。撥を握り、基本の素振りに汗を流します。力強く、一斉に振り下ろす撥。掛け声が響き渡ります。「素振りや」という詠嘆は、まさにこの場面ですね。

そして、下五にゆったりと置かれた「大桜」という季語。これが実に効果的です。太鼓部の先輩たちもずっとこの大きな桜の下で、この朝練を続けてきたに違いありません。

撥の動き、強い声、気合、気迫。それらが、大桜をゆする風となって立ち上がってくるかのよう。「大」の一字の効果をしっかりと見定めての着地が見事な作品です。

“夏井いつき”