写真de俳句の結果発表

第31回「恩田川のカワセミ」《ハシ坊と学ぼう!③》

ハシ坊

恩田川のカワセミ

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

季重なり

春の水カワセミ見つけ声あげる

さんさん

夏井いつき先生より
「春の水」との季重なりです。さらに、生き物や植物の季語をカタカナで書くのは、図鑑の表記のようだということで俳句では嫌われます。漢字か平仮名の表記をお勧めします。
“参った”

季重なり

翡翠色凛と纏いてランウェイ

惠桜

夏井いつき先生より
「翡翠色」は、色の種類で、季語にはなりません。
“参った”

季重なり

翡翠の狩り涼しなせせらぎに

緑哲

夏井いつき先生より
「涼し」も季語ですね。「涼しな」? は、ちょっと妙な言い方。
“参った”

季重なり

光の中を桜カワセミキラリ

玲子

夏井いつき先生より
「桜」が主たる季語でしょうか。「カワセミ」のカタカナ表記に対して「キラリ」が重なるのも気になります。
“参った”

季重なり

不意打ちのかわせみ停むる枯木かな

かんせつ

夏井いつき先生より
「枯木」のほうが、主たる季語か? と読めてしまいます。
“参った”

季重なり

踏青や低くヒラヒラ白い蝶

香代

夏井いつき先生より
「踏青」と「蝶」、どちらも季語ですね。
“参った”

季重なり

ゴミ一袋西瓜もらえる夏の河

薫陶

夏井いつき先生より
「西瓜」も季語です。いつの季節の季語か、調べてみましょう。
“ポイント”

季重なり

暑き夏小魚隠る上の影

めぐえっぐ

夏井いつき先生より
「暑き夏」も季重なりではありますが……。下五「上の影」とはどういう状況?
“難しい”

季重なり

カワセミも目で追ふ先は花筏

ハノハノ

夏井いつき先生より
「カワセミ」「花筏」共に季語です。生き物や植物の季語をカタカナで書くのは、図鑑の表記のようだということで俳句では嫌われます。漢字か平仮名の表記をお勧めします。
“難しい”

季重なり

カワセミの川蟹ねらふ下校道

天龍蘇人

夏井いつき先生より
「川蟹」も季語です。こちらを主役にしたいのであれば、季語でもある「翡翠」という特定の種を書くのではなく、「鳥」とか「嘴」という表現に変えてみるのも一手です。
“参った”

季重なり

翡翠や猟師姿に酔ひしれむ

えりまる

夏井いつき先生より
「猟師」も季語。比喩ならば、それと分かるように書く必要があるのですが。
“参った”

季重なり

翡翠やさえずり冴えて風そよぐ

一 富丸

夏井いつき先生より
「さえずり」は春の季語ですよ。
“参った”

季重なり

風光り青流ひとすじカワセミや

奥伊賀サブレ

夏井いつき先生より
「初めてカワセミを目にし、ハッとした時の思い出を詠みました。川面をす〜っと飛んだ青い羽が印象的で、今でも鮮明に思い浮かぶ光景です」と作者のコメント。
 
「風光り」「カワセミ」どちらも季語です。
作者のコメントからすると、「カワセミ」を主たる季語として使っているようですね。季語としては、漢字か平仮名表記にするのが基本です。
“難しい”

季重なり

夏川の子らは裸足で岩登る

夏村波瑠

夏井いつき先生より
「子供の頃の川の記憶を思い出し詠みました。「夏川」と「裸足」で季重なりかと思いますが、夏の川の清々しい様子を詠みたく使いました」と作者のコメント。
 
敢えて季重なりにしなくても、季語「裸足」が夏らしさを表現してくれます。再考してみましょう。
“ポイント”

季重なり

爛漫の花を喜ぶカワセミのうた

江口朔太郎

夏井いつき先生より
「花」は、俳句では「桜」を指す季語です。「カワセミ」を季語として使う場合は、漢字あるいは平仮名表記にするのが、基本です。
“参った”

季重なり

緑濃き水面切り裂き翡翠去る

北乃ふるめ

夏井いつき先生より
「緑」も季語ですよ。季重なりをしながら、少しずつ季語を覚えていく。これも俳句の修行です。
“難しい”

季重なり

カワセミにふと足を止め春の川

そうび庵亭主

季重なり

止まり木にカワセミ来ぬか日向ぼこ

そうび庵亭主

夏井いつき先生より
生き物や植物の季語をカタカナで書くのは、図鑑の表記のようだということで俳句では嫌われます。漢字か平仮名の表記をお勧めします。
さらに「春の川」も「日向ぼこ」も季語です。どちらも季重なりになっています。
“難しい”