第20回 俳句deしりとり〈序〉|「んす」①

始めに
出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、はじまりはじまり。


第20回の出題
兼題俳句
寄箸のをとこと別れラ・フランス 赤坂 みずか
兼題俳句の最後の二音「んす」の音で始まる俳句を作りましょう。
※「んす」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。
「んす」なんて言葉ござらんいわし雲
あつ乃
「んす」なんて言葉ないよね夏の空
原島ちび助
「んす」はないどこにもないよましら酒
くさもち
「ンス」なんてググってもむり落花生
みつや湊子
「んす」からの作句厳しき秋暑し
蕃茄
「んす」からの俳句は無理よ秋鰹
しみずこころ
んすで始まる言葉を探す大暑
いちの


「ンス」なんぞあるか?ありんす!「ヒヤシンス」
吉村吉々


ンスなんて?あった不断草!んすなばー
とも女
あるわけないよ、という句がたくさん並ぶ中、見つけた報告が。「不断草」で「んすなばー」と読むの? いったいナニモノ??


ンスナバーとは夏菜のことかうちなんちゅ
織部なつめ
ンスナバーは葉脈太く団扇ごと
二見歌蓮


ンスナバーを炒め肉厚の葉とろり
小川都
ンスナバーのみどり濃き朝七日粥
寒芍薬
ンスナバーソテーしながら缶ビール
のりのりこ
んすなばと沖縄ぜんざい休暇果つ
渋井キセ乃
ンスナバー味噌で煮込むや今年酒
月城龍二


ンスナバーのンブシ食みたり冬の宵
西村小市
ンスナバーンブシーにして今日の月
さく砂月
ンスナバーンブシーと酒星月夜
雪音


ンスナバー青し泡盛三杯目
広島じょーかーず


不断草(んすなばー)おばあの地図の脂染み
山本美奈友


んす(味噌)焼きおにぎり沖縄の秋
そうわ
「んす」は味噌しりとり続く風の盆
山崎三才
「んす」入れた沖縄そばや濁り酒
みなごん
んす味のラフテー食べし秋の暮
風花舞
んす味のラフテー泡盛はロック
にゃん
《風花舞》さんと《にゃん》さんの句に登場する「ラフテー」とは豚肉を使った料理だそうです。いわゆる豚の角煮で、煮込むのには泡盛も使うのだとか。こってり美味しそう。


「んす」は味噌「でーじ」は大事仏桑花
うに子
ほらー、さっそく実例ですよ。「んす=味噌」につづき「大事」を「でーじ」と言うことを知った我々。今後のしりとりで登場してきそうだなあ……。ちなみに「仏桑花(ぶっそうげ)」はハイビスカスのこと。沖縄らしい取り合わせではありますが、少し季語とフレーズとの距離が近いかなあ。


ンスタから行く夏雲よ奴隷海岸
坂野ひでこ
ンスタなる町を見つけたさて夜食
寺田 美登里


ンスカ産玉蜀黍を蒸すお菓子
沙魚 とと
ンスカキャンパス大夕焼の農学部
彩汀
ンスカてふ学びの地より小鳥来る
竹田むべ
ンスカという街は何処に青蜻蛉
うすむらさき
ンスカとなしりとり尽きず月も出ず
うどん蛍
ンスカのキャッサバ買付けアイスティー
天雅
ンスカの瀬舟を墓標に流れ星
二兎丸
ンスッカ捜しさがして虫の声
しせき
ンスッカに嫁いで午後の空とゾボ
海色のの
《海色のの》さんの下五「ゾボ」はナイジェリア伝統の飲み物で、いわゆるハイビスカスティーのようなものだそうです。赤い美しいお茶であり、色の映えるように白い器に注ぐことが多いのだとか。季語として考えるならアイスティーまたはホットドリンクスと捉えるべきなのかなあ……。あるいはハイビスカスティーであることを重視してハイビスカスの傍題と考えるとか? 未知の言葉の分類は難しいけど知的好奇心がむずむずしますねえ。


ンズワニ島はじめて聞いた常夏の島
高木友


「ンスフラ」と三度唱へて秋のパリ
えりまる


ンスムニダと口を衝きけり秋の蝉
加賀屋斗的
《②へ続く》

