第37回「ウォーキング中に」《ハシ坊と学ぼう!①》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
投稿した兼題写真は、私が二年前にウォーキング中にスマホで撮りました。俳句は楽しく難しいです。
上田和子
季語なし
雨しとど「止まれ」で黄色の傘回る
六月風マンダリン
明確な季語は欲しいですね。


季語なし
恋心散ってもいいの止まらない
常哲
恋はあるけど、季語がありません。


季語なし
朝雲歩いて歩いて迷い子に
アルル
「朝雲」は季語にはならない……な。


季語なし
信号の替わりゆく音はやる鼓動
noa
明確な季語は欲しいですね。


季重なり
銀杏散る今年去年もくるくると
ヨシキ浜
歳時記を開いて季節を確認してみましょう。


季重なり
落ち葉舞うやどんぐり顔を出したり
希子
季重なり
落ち葉踏みし靴底の銀杏の香
希子


季重なり
虫の音に秋うた数えウォーキング
紫黄
「虫の音」「秋」ともに季語ですよ。


季重なり
つり橋の蜘蛛の巣ゆれて秋深む
ゆみさく
「蜘蛛の巣」と「秋深む」、どちらも季語です。こんな時は、「秋の蜘蛛の巣」と合体させて、吊り橋に揺れている様子を描写するのが、定石です。


季重なり
人の子も子鹿もはねる秋の海
康女
「子鹿」「秋の海」どちらも季語ですよ。


季重なり
散歩道残暑に割るる青蜜柑
のりこ
「残暑」「青蜜柑」どちらも季語ですよ。


季重なり
深呼吸小春日和の枯葉の粉
清幸
「小春日和」「枯葉」どちらも季語ですよ。


季重なり
黒艶ミミズ囲う蟻とて残暑
比園 岳
「道路で干乾びて亡くなっているミミズは、黒く艷やかに亡くなっているので、『黒艶(くろつや)』と表現しました」と作者のコメント。
「蚯蚓」「蟻」「残暑」、季語が三つです。主役は何か、まずはそれから整理しましょう。


季重なり
オリオン出座に宵月六方踏む
蛇の抜け殻
「日暮れ前の散歩中、東の空にオリオン座を発見しました。その時西の空に、慌てて沈む宵の月を発見し、それは主役交代で、六方を踏んで舞台から退場する弁慶か助六のように感じ、詠んでみました」と作者のコメント。
色々と狙いすぎたために、主役が分かりにくくなったケースです。もう少しシンプルに考えましょう。


季重なり
秋の夕とんぼと伴走最終便
いっちょうかみ
「秋の夕」「とんぼ」、どちらも季語ですね。


季重なり
胡桃の実巨大な夏を思い出に
猫笑ふふ
季語は「胡桃」ですね。いくら思い出でも「夏」という単語が入っているのは、やはり損です。別の言い方ができないか、再考してみましょう。


季重なり
秋高し水鳥静止魚狙う
クスノさとみ
「水鳥」も季語です。いつの季節なのか、歳時記を開いて調べてみましょう。


季重なり
虫食いの秋涼の向日葵仰ぎ見て
noa
「一夏が終わった達観と寂しさを詠いました」と作者のコメント。
まずは、一句一季語から基本を勉強していきましょう。


季重なり
落ち葉のじゅうたん踏みしめ秋深し
藍渓

