写真de俳句の結果発表

第37回「ウォーキング中に」《ハシ坊と学ぼう!②》

ハシ坊

第37回のお題「ウォーキング中に

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

母を待つ鍵っ子ふたり秋の暮れ

秋月

夏井いつき先生より 
「鍵っ子ふたり」と「秋の暮」があれば、親の帰りを待っているだろうことは想像できます。この子たちが何をしつつ待っているのか。そこを描写すると、リアリティとオリジナリティが確保できます。
“難しい”

赤黄色アスファルト路も花野なり

春霞

夏井いつき先生より
アスファルトの道も、いろんな色がついていれば「花野」ですよ、という意味でしょうか。だとすれば、「花野」は比喩になるため、季語としての鮮度は落ちます。
“参った”

秋風に木々さわざわや白き靴

雄蹴

夏井いつき先生より
「白き靴」とありますが、「白靴」は夏の季語ではあります。微妙に障るかなあ……。
“ポイント”

リハビリで落ち葉踏み歩む日課かな

春霞

夏井いつき先生より
「脳出血の後遺症で歩行不自由者。外出がままならず、おウチde俳句に飛びつきました。本当の初心者デスが、これから沢山勉強して俳句を楽しんでいきたいと思います。よろしくお願い致します」と作者のコメント。

是非一緒に楽しんでまいりましょうね。おウチにも、俳句のタネは山ほどありますよ。
仮にこの句を整えるとすれば……
〈リハビリの杖よ落ち葉を踏む日課〉とでもすれば、形になります。
俳句は、数学の公式のような型があります。これは、「句またがり」という中級コースの型です。まずは、初級の型から一つ一つ覚えていきましょう。オススメは、PHP研究所『世界一わかりやすい俳句の授業』です。YouTube『夏井いつき俳句チャンネル』も参照して下さい。
“ポイント”

胡桃落つ喜びの歌聴こへくる

イシカワナオキ

夏井いつき先生より
口語「聞こえる」は、文語で書くと「聞こゆ」です。ヤ行の活用になるので、「聞こへ」とはなりません。「え」ですね。
“ポイント”

日向ぼこ老々集ふ団地かな

のんつむ45号

夏井いつき先生より
「『かな』を容易に使いすぎでしょうか?」と作者のコメント。

例えば、〈老々の集う団地や日向ぼこ〉と比較してみるとどうですか。
“ポイント”

淋しさに落ち葉かけ置き洗濯す

壱時

夏井いつき先生より
「落ち葉かけ置き」とは、「落葉」という曲をかけて……という意味ですか? もしそうだとしたら、これを季語とするのは無理があります。ほんとうの「落葉」だとしたら、「かけ置き」が分かりません。
“ポイント”

先夜の靴擦れ摩る栗鹿の子手に

ヘイくん

夏井いつき先生より
「栗鹿の子」が季語になるのかどうかも含めて、再考してみましょう。「栗鹿の子手に」を前半において、後半に明確な季語を入れるのも一手ではありますが……。
“ポイント”

紅葉せぬぶつきらぼうな枝に鵙

津々うらら

夏井いつき先生より
「紅葉する木々のなか、まだ青々した木に鵙が止まっています。贄を作っているのだろうか、紅葉せぬ木からも楽しみをもらえる鵙の行動です」と作者のコメント。

素材はよいと思います。「ぶっきらぼうな枝に鵙」というフレーズも。ただ、上五に「紅葉せぬ」とあると、「ぶっきらぼうな枝」という詩語が、上五の説明臭くなってきます。つまり、紅葉もしないようなぶっきらぼうな枝……というニュアンスに。上五は、木から離れて、季語ではないもので「○○○○や」と詠嘆&切れを入れると、句の姿も整います。チャレンジしてみましょう。
“ポイント”

紅葉葉楓山盛りの実に足ぐねる

ろん

夏井いつき先生より
「グラデーションがとても綺麗で見とれて歩いていたら、小さいいが栗みたいな実を踏んでしまって……自転車でも危険な時がありました」と作者のコメント。

表現したい内容と文字面に、溝があります。まずは、「小さい木の実を踏んでしまう」だけで一句にしてみましょう。
良き

花銀杏死期を悟り魅入る父

梨惠

花銀杏父は最期の秋と言う

梨惠

夏井いつき先生より
どちらの句も、「花銀杏」が引っ掛かります。銀杏の花を言いたいのか、銀杏の黄葉を花と比喩しているのか。二句目には、「秋」とあるので、後者を意図しているのでしょうか。お父さんを詠んだ句ですから、丁寧に完成させたいですね。
良き

夜明けて三半規管へ爽籟

実日子

夏井いつき先生より 
句材はよいと思います。調べを工夫してみましょう。内容と調べは、連動する必要があります。
“ポイント”

残暑酷温暖化もうとまらない

猫日和

夏井いつき先生より
「今年のまさに今を詠みました。災害級の雨、猛暑日の記録の更新、老若男女にとって酷な状況、そして人類は、この状況は続くと悟ってる」と作者のコメント。

伝えたいことは分かります。ただ、これは昨今の猛暑、残暑に対する感想にとどまっています。ここから、詩へと昇華していく作業が、句作です。
良き