俳句deしりとりの結果発表

第22回 俳句deしりとり〈序〉|「うか」①

俳句deしりとり
俳句deしりとり〈序〉結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。俳句deしりとり〈序〉のお時間です。

出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、はじまりはじまり。
“良き”

第22回の出題

兼題俳句

ン・スラー・タタタまた止まる卒業歌  鷹見沢 幸

兼題俳句の最後の二音「うか」の音で始まる俳句を作りましょう。

 


※「うか」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。

うかうかと昼寝の過ぎて未草

佐藤さらこ

「うかうか」って絶妙な日本語だよねえ。リフレインがなんともゆる~い感じで個人的にはけっこう好きな言葉なんだけど、よく考えたら正確な意味って知らないかも。

辞書を見ると「①気がゆるんで注意が行き届かないさま。うっかり。 ②しっかりした心構えや目的を持たず、ぼんやり時を過ごすさま。 ③気分が浮き立つさま。心が落ち着かないさま。」と解説されています。ほうほう、それぞれ微妙にニュアンスが違うのが興味深い。似た言葉に置き換えるなら、①は不注意、②はぼんやり、③はふわふわ、とでもなりましょうか。

ひとつの単語に複数のニュアンスがある場合、どの意味で理解するかによって句の味わいも変わってきます。《佐藤さらこ》さんの句だと③ではなさそう。①または②が妥当でしょうかね。①だと一日のうちの小さなうっかりの数時間、②だと人生という長いスパンの時間の中での一定期間の「うかうか」に見えてきます。

そして実は「昼寝」も「未草」も夏の季語で季重なりなのよ~。嗚呼、うかうかと季重なり~(笑)。
“良き”

うかうかと買ひしパセリの嵩重し

栗田すずさん

つい買い過ぎちゃって困るあれこれ。日常的な共感度の高い一句だけど、季語「パセリ」の選択が絶妙です。やたらと明るい緑色も、葉も茎も細いのにまとまらない妙にかさばる存在感も「嵩重し」によって強く印象づけられます。過去の助動詞「し」によって、買ったあとだと確定するヤッチマッタ感が気の毒やら可笑しいやら。
“ポイント”

うかうかと梨剥く細き指の腹

広島じょーかーず

この「うかうか」は先述の①②③どれで解釈するのが魅力かなあ。個人的には③「気分が浮き立つさま。心が落ち着かないさま。」を選びたい。①の不注意だと危なっかしいし、②のぼんやりだと過剰な量の梨が剥かれてしまいそうだし。梨を食べるのを楽しみにしているのか、あるいはお弁当などの準備を進めているのか。「指の腹」と映像をしっかり描写することで、手つきがリアルに想像できます。

“とてもいい“

ウカール」が売り場に並ぶ二月かな

あさいふみよ

ウカールと鍋焼きうどん午前二時

めいめい

俳句deしりとりには謎の単語が登場するのが常ですが、はたして「ウカール」とはなんぞや? ネット検索すると出てきた画像は、昔ながらのおやつの「カール」。カールおじさんのカールです。よくみたら「カール」の文字の前に「ウ」が足されておりますが……?

実はこのウカール、明治製菓の公式商品として受験シーズン限定で販売されているのだそうです。受験に受か~る、ってことか! なるほどねえ。

《あさいふみよ》さんの句は売り場の光景、《めいめい》さんは家庭の光景でありますね。食べて乗り切れ、受験生!
“ポイント”

宇迦之御魂神なべやきの具は七色

山羊座の千賀子

難しい漢字が並んでおります。「宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)」は日本神話に登場する五穀や食物をつかさどる神様。『古事記』によれば須佐之男命(すさのおのみこと)と神大市比売(かむおおいちひめ)の間に生まれたとされています。

音数を数えると「宇迦之御魂神」で九音、「なべやきの具は七色」で十一音。少々十七音の器をはみ出しはしますが、尊い神様の名と俗な「なべやき」の取り合わせのギャップが面白い。七色の豊かな実りの彩る鍋焼饂飩が賑々しい。

“ポイント”

うかたまの怒りか冬の稲光

水越千里

宇迦之御魂神を略して「うかたま」。略称としては納得なんだけど、響きがちいかわっぽくなっちゃって絶妙に威厳に欠ける気がするなあ(笑)。威厳はさておき、五穀の神様と「冬の稲光」の取り合わせは相性良し。稲が雷光と交わって実るという言い伝えも踏まえての選択でありましょう。秋の稲妻ではなく、冬の乾いた稲光が不穏。
“とてもいい“

うかがわしき話風船たたき割る

朝日千瑛

憎々しい思いへの共感が高まる一句。「うかがわしき話」で意味が切れる句跨りの形です。続く「風船たたき割る」の激しさも憤りを感じさせますなあ。「風船」の春の季感がミスマッチに効いてます。

……と、ここまで書いてから念のため辞書をひいたら……おや、電子辞書に「うかがわし」が載ってないぞ? 実は正しい日本語としては存在しないのか?? Web検索によると「いかがわしい」の誤用とする説、「忙しい」と「窺う」の意味が混じった説などが出てきました。あるいは「疑わしい」との誤用なんて可能性もあり得るのかなあ……? なにはともあれ真相は闇の中。ある意味、この句こそが「うかがわしき」気になる存在だった、なんてオチ。
“ポイント”

うかれにうかれ水着次ゝ飛び込みぬ

加里かり子

怒涛の勢い。さぞかし騒がしく水しぶきがあがってるんでしょうねえ。飛び込んでる姿を語っているだけだけど、この空間に響く物音まで聞こえてきそう。上五「うかれにうかれ」と字余りにするほどだから並大抵のテンションじゃありません。こどもの集団か、パリピの集団か。後者だと私のような陰キャには光が……光が強すぎる……。

《②へ続く》
“ポイント”