俳句deしりとりの結果発表

第23回 俳句deしりとり〈序〉|「とう」③

俳句deしりとり
俳句deしりとり〈序〉結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。俳句deしりとり〈序〉のお時間です。

出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、はじまりはじまり。
“良き”

第23回の出題

兼題俳句

老僧を殺める夢や夾竹桃  満る

兼題俳句の最後の二音「とう」の音で始まる俳句を作りましょう。

 


※「とう」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。

置法遠く窓辺の小春かな

渋井キセ乃

「とう」「とお」と似た音の繰り返しによって韻律を手に入れる工夫が巧み。上五「倒置法」で切れを作り、中七下五で状況が描かれる形と読みました。授業中の気怠さが漂っておりますなあ。外は気持ち良い小春日和なのに。「遠く」が窓の外の遠景へと視線を飛ばす効果をもたらします。

“ポイント”

記終え我がものになり龍の玉

希凛咲女

昨今空屋問題やら実家の始末やらといった話もよく聞く世の中になりました。登記という大仕事を終えて我が物になったものの一つはこの龍の玉であるよ、という感慨。敷地に龍の玉の生えるようなお庭や土地があると考えると、ある程度田舎なのかなあと考えてしまう愛媛県民のわたくし。違ったらゴメンネ。

“良き”

計学上姫始められぬ年

ふるてい

およそ詩になりにくい「統計学上」なんて言葉から始まるからなにかと思ったら……(笑)。たしかに人口動態とか月あたり出生のデータとかを検分すれば、割り出せそうではある。ではあるけど、あくまで統計上の話であってやっぱり季語の季感、ほぼねえんじゃねえかなあ!?
“ポイント”

さんが黒帝だった銀河かな

阿部八富利

これまた季語が季語として機能してなさげなのがきましたぞ。『スター・ウォーズ』だよなあ、どう考えても……や、好きだよ『スター・ウォーズ』。作中でダース・ベイダーが「黒帝」って呼ばれてる場面ってあるのかな? 実はエピソード7以降は未見なのでそこで登場してたらゴメン。

“とてもいい“

のまたファルファル無双する冬日

あみま

時々僕のサブカル趣味を狙い撃ちするタイプの句が届くんだけど、なかなかどうして理解ってるじゃないの、ハハハこやつめ。「騰」は原泰久先生の漫画『キングダム』に登場する人物で春秋戦国時代の秦国の武将。独特の剣術使いであり、作中その擬音が「ファルファル」で表現されてるのが特徴ですね。『キングダム』は実写映画化もされたけど、実写ではファルファルするのかなあ。ちなみに騰を演じるのは俳優の要潤さん。案外似合いそう!
“ポイント”

走の犬を待ち続けて枯野

みづちみわ

最後の三音で光景がどかーんと広がるのが上手いなあ。「枯野」の広さを目の前にすると余計に頼りなく不安な気持ちがかき立てられまする。「待ち続けて」からの切れを作らない形も的確であります。「逃走」という硬い言い回しもやるせない寂しさと似合う。

“ポイント”

一を嫌がつてゐる冬薔薇

山内彩月

しりとりで思いついたとしても句にし辛い言葉だってあるはずです。その点「統一」は解釈の幅が広く、なかなか作りにくい単語だったんじゃないかと思いますが、ちゃんと一句に仕上がってるのがすごい。国や組織レベルの巨大な「統一」の話なのか、冬薔薇の目線に立った花瓶や花束サイズの話なのか、解釈の方向によって随分味わいが変わります。冬薔薇の強烈な色彩が強い意思を想起させるからこそ読みに幅が生まれたか。
“とてもいい“

将の鉾の如くに持つバナナ

麦のパパ

見立ての愉快さに笑っちゃう一句。よくこんなこと考えるなあ。そもそも、どんな状況になったら勇ましくバナナを鉾のように構えるのだろうか(笑)。形こそ強そうなのかもしれないけど、所詮はバナナだし強度は……あっ、ひょっとしたら動物園の猿系動物って可能性もあるか!? だとしたらやたら人間くさいゴリラやオランウータンだっているかもしれない。おお、俄然闘将がガチ強そうに思えてきたぞっ。
“ポイント”

鶏の羽渦巻きて冬の風

はるを

小学生の頃、家で軍鶏を飼ってたのでこの句の世界観には妙に共鳴するものがあります。金網で庭にフェンスを作って、その中でうろついてる軍鶏の迫力といったら明らかに普通の鶏じゃありませぬ。「闘鶏」は春の人事の季語ではありますが、下五「冬の風」の侘しさで終わっていることを考えると冬の風が主たる季語と考えるべきかなあ。戦いで抜け落ちたのか、残された羽と土埃が風に巻き上げられる。
“ポイント”

トウシューズ潰し我が足とする汗

たかみたかみ

バレエダンサーが履くトウシューズ。爪先部分に固い詰め物がされており、正しく使うためにはしっかり訓練を積まないといけないそうです。訓練の激しさと長い期間を経る実感が「トウシューズ」以下の描写にあります。……ところで「トウシューズ」とも「トゥシューズ」とも書かれてるのを見かけるけど、どっちが正式なんだろう。しりとりのルール的には前者で考えたいところではある。

《④へ続く》
“ポイント”