俳句deしりとりの結果発表

第23回 俳句deしりとり〈序〉|「とう」④

俳句deしりとり
俳句deしりとり〈序〉結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。俳句deしりとり〈序〉のお時間です。

出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、はじまりはじまり。
“良き”

第23回の出題

兼題俳句

老僧を殺める夢や夾竹桃  満る

兼題俳句の最後の二音「とう」の音で始まる俳句を作りましょう。

 


※「とう」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。

疾うに親は許していたロザリオ祭

あねもねワンヲ

ずっと前に、とっくに、の意味で使われる「とうに」。なんとなく今まで漢字が思い浮かばずに使っていた単語なんだけど「疾うに」と書くのか! ロザリオ祭は秋の行事。1571年の10月7日、キリスト海軍がトルコ海軍に勝利したことに由来するようです。へぇー、単語にも季語にもまだまだ知らないものはいっぱいあるなあ。晩秋の頃に初めて知った親の許しの気持ちが切なさとも寂しさともつかない、良い取り合わせ。両者の関係性はこれからどんな風に動き出すんだろう。

“ポイント”

は吊る師走を詰めたコンテナを

ときちゃん

上五でなに? と思わせておいてからの、物体と動作の描写。塔というか実態としてはクレーンなのかもしれないけど、「塔」の持つ不動の静かな佇まいが一句に与える影響は大きい。師走の空の色の静謐、吊られたコンテナから地上までの立体的空間、師走の地上の騒々しさ、と意識が上空から地上へと降りてくるような読後感が「師走」という季語の両面を語っていて魅力的。

“良き”

欧の古都の小道や冬の夜

千鳥城

東欧って憧れる~~行ってみた~~い! 誰かいつきさんを句会ライブで呼んでくれ! ついでに僕も呼んでくれ!!(他力本願)

東欧といわれて連想するのは個人的にはルーマニア。トランシルヴァニア地方、ドラキュラの城のモデルになったブラン城とかね……いいよね……。「小道や」の詠嘆で仄暗い空間が切り取られていて魅力。冬の東欧って寒いのかなあ。この句のなかには雪は舞い始めるのだろうか。想像たくましくさせられまする~!
“ポイント”

宮の離宮囀り青く満つ

細川 鮪目

「東宮の離宮」とは東京にある迎賓館赤坂離宮のこと。明治42年に東宮御所として建設され、平成21年の大規模改修を経て、現在は日本建築の代表の一つとして国宝に指定されています。前半に八音で場所を提示して、後半ではその空間に満ちる季語「囀り」を描いている句跨がりの型。背景情報がなくともどんな場所かを想像させるだけの力が後半フレーズにあるのがこの句のみそです。「青く」が上手いよなあ。

“とてもいい“

梁の墨打つ音や息白し

東風 径

初めて聞く単語だなあ。棟梁の、ということは大工さん関連の言葉なんだろうけど「墨打つ」ってなんだろう。調べてみたところ、コンクリートや木材に線や印をつける作業なのだそうです。その際に使うのが墨壺、墨糸、墨刺といった道具。墨の付いた糸をパチンと弾いて線を付ける作業は誤差がまったく許されない厳しいもので、一人前になるには3~4年かかるとか。う、うおお……そりゃあ棟梁レベルの話になってくるわけだ。「息白し」は棟梁の詰めた息でもあり、現場全体で働く人たちの息でもありましょう。
“ポイント”

心の遅々とほぐれる夜長かな

葦屋蛙城

行灯やランプなどの芯が「灯心」。現代人としてだれもが触ったことのある例としては、アルコールランプの芯なんかも灯心ですね。遅々とほぐれる様を描写することによって、まさに目の前に捉えている現実感が強まります。夜長の頃の登山で夜営でもしているんだろうか。灯と向かい合う瞑想に満ちた時間の長さが「かな」の詠嘆によってずっしりと残ります。

“ポイント”

餮の咆哮待春の戴国

雨野理多

よ、よめん。さっそくコピーして検索に突っ込むと……「饕餮(とうてつ)」。あー、トウテツってゲームにも出てきたなあ。蘇るロマサガ2苦戦の記憶……。単語としての意味は、金銭や飲食などをむさぼること、またその人をさす言葉。同時に悪獣の名でもあるとか。

一単語目から苦戦してますが、後半も厄介。「戴国」は文字からして、国を戴く、みたいな意味の一般単語かと思いきや、どうもそうじゃないっぽい。春秋時代の諸侯国として名前があがる他、小野不由美先生の小説『十二国記』に登場する国の名前とも解説が。さらに調べると、『十二国記』には饕餮も登場するらしい。おお、じゃあこの句は『十二国記』が元ネタに違いない。……原作未読なんだけど、ネタバレ的に大丈夫? まだ饕餮のことは知らない方がよかった、なんて展開ナシで頼むよ!?
“とてもいい“
第25回の出題として選んだ句はこちら。

第25回の出題

魚とはしづかに溺れゆく

嶋村らぴ

「闘魚」は季語としては熱帯魚の傍題とされることが多いですが、特に闘魚として有名なのはベタと呼ばれる魚。雄のベタは気性が荒く激しい闘争性を持ち、外国では賭け事として闘魚が催されることもあるのだとか。写真を見ると鮮やかで大きな鰭が印象的であります。《嶋村らぴ》さんの句における「闘魚」は悠々と飼われている姿を想像してもいいし、争いあって傷ついていく二匹の姿を想像してもいい。個人的には後者の読みが好きかなあ。鰭が破れたりしながら水のなかを揺蕩う姿への賛美として「しづかに溺れゆく炎」とはぞくりとさせられる。

ということで、最後の二音は「のお」でございます。

しりとりで遊びながら俳句の筋肉鍛えていきましょう!
みなさんの明日の句作が楽しいものでありますように! ごきげんよう!
 

“とてもいい“