写真de俳句の結果発表

第41回「お腹が空いていましたので」《ハシ坊と学ぼう!④》

ハシ坊

お腹が空いていましたので

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

眼下に菜の花群断崖の海まで

春駒

夏井いつき先生より
語順が惜しいです。

添削例
断崖の海や眼下に菜の花群
“ポイント”

春昼や食い気の後は眠気なり

アルル

夏井いつき先生より
俳句は季語が主役となるべきと考えています。この句の場合は、中七下五の言いたいことがあって、上五の季語をトッピングした感じになっています。
“ポイント”

朝駆け中花に寄せられ小休止

宇佐美秀堂

夏井いつき先生より
「朝駆け」は、馬? そこらあたりを、もう少し描写して欲しいです。
“ポイント”

苦難さり花も団子もありがたし

宇佐美秀堂

夏井いつき先生より
俳句というよりは、格言という一行。何があったのか、具体的なヒントが欲しいです。
“ポイント”

あざとさを競い合ってた春浪漫

佳辰

夏井いつき先生より
具体的な映像がないので、何を競い合っているのか。どんな「春」なのか。全くヒントがないので、読者としては置いてきぼりになった感じです。
“参った”

毎金は褒美頬張り春日和

西山

夏井いつき先生より
「毎週金曜日に日本語ボランティアをしていて、帰りの駅で鯛焼きを一つ買って、家で食べるのが楽しみになっています。頑張った自分へのご褒美です」と作者のコメント。

「毎金」は、毎週金曜日なのですか? うーむ……それは、ちょっと強引すぎるのではないかと。
“ポイント”

菜の花の隙からぐるるの親子かな

大福

夏井いつき先生より
「『ぐるる』をお腹の音として表現したいのですが、どうすればよいでしょうか?」と作者のコメント。

うーむ……お腹が鳴っているのであれば、そのように書かないと分かりません。言葉の優先順位をつけてみましょう。
“参った”

シート敷き旬の景色と春をいただく

いちの

夏井いつき先生より
その「旬の景色」がどんなものであるか。映像を描写してみましょう。
“ポイント”

菜の花や輪中の暮らし十二代

佐藤志祐

夏井いつき先生より
「父の母方は木曽三川の輪中の暮らしだったようです。そこは菜の花が一面に咲き、暮らしに欠かせないと父が語ってくれました。俳句の季語を通して、知らない父を知ることができる幸せを感じています」と作者のコメント。

このエピソードは、是非一句として結球させたいですね。中七下五、少し時間がかかるかもしれませんが、映像として描写することを考えてみましょう。
“ポイント”

片耳捉ふや犬追ふ橇の声

沢井如伽

夏井いつき先生より
第38回「モンゴルのいぬぞり」〈片耳をうしろに廻す犬の橇〉の推敲句です。『プレバト‼️』を見ていて、句の最後にくる物が映像として強く残ると認識していたので、この回のハシ坊で『犬の橇』が『橇の犬』と添削された句がいくつかあって、???状態です。まだ消化しきれずにいます」と作者のコメント。

作者コメントに対するお返事です。俳句は、一句一句のケースバイケースです。「犬の橇」が正解の場合もあれば、「橇の犬」が正解の場合もあります。全ては、作者が何を表現したかったか、によって判断されるのです。
さて、この句です。「片耳捉ふや」は、作者の感知です。このように感じたのは、犬たちの耳がどんなふうに動いたからですか? それを描写することが、俳句のトレーニングの第一歩なのです。
“ポイント”

橇引く彼もヘソ天で寝る君も

柳子

夏井いつき先生より
第38回「モンゴルのいぬぞり」の〈ヘソ天で寝るだけの君家族笑む〉が季語なしだったので、自分の書いたコメントから、言いたかったことを考えて推敲しました。橇引くワンコも、ヘソ天で寝ているわが家のワンコも、それぞれのチームの一員で楽しんでいるんじゃないかと思いました」と作者のコメント。

半歩前進しています。次の考えるべきは、季語をどう主役として描くかです。ヒントは、天・地・人選の作品にありますので、自句の評価に一喜一憂するのではなく、他者の作品から学ぶのが俳句のトレーニングです。
“ポイント”

懦夫の子よ野遊び奉行だつたのか

岡根喬平

夏井いつき先生より 
「普段は気弱な息子が、野遊びをする時だけ父親にあれこれ指導してくる光景を詠みました。子供の外面しか見ない親が多いですが、内面を見ることは難しいと思います。しかし自然と触れ合う時に、子供の自然体な姿を可視化できるのでは、と思い詠みました」と作者のコメント。

うーむ……俳句は、映像です。この息子の「野遊」の様子を描写するところから、俳句のトレーニングが始まります。ヒントは、天・地・人選の作品にありますので、自句の評価に一喜一憂するのではなく、他者の作品から学ぶのが俳句のトレーニングです。
“ポイント”