写真de俳句の結果発表

第41回「お腹が空いていましたので」《ハシ坊と学ぼう!⑦》

ハシ坊

お腹が空いていましたので

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

初荷より早く届けと詰める水

ぽんころん

夏井いつき先生より
「お腹が空いていると考えた時、能登半島の被災地の事が思われました」と作者のコメント。

お気持ちは分かります。ただ、俳句として考えた時、季語「初荷」よりも、思いのほうが先に立ってしまっています。
“ポイント”

どら焼きの気泡ゆたかになる穀雨

山城道霞

夏井いつき先生より
あと一息で「人選」になります。助詞「に」が、気になります。
“ポイント”

一人来て時空味わう春の土

花ばば

夏井いつき先生より
「初めて投句させていただきました。今は一人の時間が持てません。兼題写真を羨ましく思い、私の切なる希望を詠んだつもりです。時間も肌で感じる冷たい空気も、その土手の冷たさも感じたいと思いました」と作者のコメント。

「一人来て」と「春の土」はよいのです。問題になるのは、中七「時空味わう」は説明の言葉になります。俳句を作っていく上で、「説明ではなく、映像を描く」ことが、とても重要。天・地・人選の作品の中に、そのヒントがあります。自分の句の評価に一喜一憂するのではなく、他者の作品から何を学ぶかが、成長のカギとなります。
“ポイント”

どら焼きの誘惑防ぐ隙間風

夏井いつき先生より
「どら焼きの誘惑」とあれば、「防ぐ」と説明する必要はありません。誘惑に抗っていることは、想像できます。
“ポイント”

どら焼きに黒文字添える初上司

シワ

夏井いつき先生より
「無季俳句になってしまいました。新入社員(これは季語)の決意(4割)と憂鬱(6割)を詠みたかったので……」と作者のコメント。

新入社員の動作なのか、上司が(誰かに対して)行った動作なのか。曖昧です。
“ポイント”

道草の菜の花畑匂い舞う

一徳斎

夏井いつき先生より
「帰り道の枯田に菜の花畑があり、思わず春うららな匂いに魅せられました」と作者のコメント。

下五「舞う」という表現は一考の余地があります。「菜の花」の独特な匂いを、どう表現するか。挑んで下さい。
“参った”

弥生の夜一層孤独の赤飯よ

星の砂

夏井いつき先生より
「試験に合格したにもかかわらず、一人で赤飯を食べたことがより孤独を感じさせたことを詠みました」と作者のコメント。

この体験そのものにリアリティがあります。「弥生の夜」という季語の使い方ではなく、「合格」という季語を率直に使った方が、句意も伝わりやすいですし、オリジナリティも強くなります。
“ポイント”

どら焼き冷めれども河原春隣

ヒロヒ

夏井いつき先生より
この内容ならば、音数を調整して、きっちり五七五になりますよ。推敲してみましょう。
“参った”

菜の花や蜂と即興ダンスかな

あま門

夏井いつき先生より
「や」「かな」と切れ字が二つ。感動の焦点がブレるとして、俳句では嫌われます。どちらか一つを外しましょう。
“ポイント”

ピクニック弁当前に虫抑え

碁練者(ごれんじゃー)

夏井いつき先生より
「初めて投句します」と作者のコメント。

初投句、ありがとう。一緒に学んでいきましょうね。まず、知っていただきたいのは、俳句は説明ではなく、映像であるという点です。この一点をひとまず、頭に入れて、天・地・人に選ばれている句を、丁寧に読んでみましょう。それが、最初のトレーニングです。
“ポイント”

半分のどらやき菜花の土手座る

一色 那真呼

買い食いのどらやき咲き始む菜花

一色 那真呼

夏井いつき先生より
「菜花」は「花菜」? 二句ともに、「花菜」が季語としては一般的です。
“ポイント”

朝活の菜花撮影チョコを食う

岡本かも女

帰ろうと繰り返す母夕菜花

岡本かも女

夏井いつき先生より
「菜花」は「花菜」? 二句ともに、季語としては「花菜」が一般的です。
“ポイント”