第41回「お腹が空いていましたので」《ハシ坊と学ぼう!⑧》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
季語なし
こっそり給湯室でお味噌汁
藤村煌永
リアリティがありますが、季語がありません。
季語なし
投句終え牡丹餅の糖刺さる頬
風子
うーむ……「牡丹餅」は季語かなあ?
季語なし
不法投棄の土手や無口なる通学路
紫月歪丸
季語なし
子らの声球音かなた菓子を愛づ
ほーさく
明確な季語が欲しいですね。
季語なし
バーガーよ盗人の爪鳶の群
小林葛花
伝えたいことは、おおよそ推測はできるのですが、調べがプツプツ切れる感じになっているのが気になります。映像的にも、構成に少し無理があるのかもしれません。
季語なし
ウォーキング花より団子手が口に
紫陽花
「花」は、俳句では「桜」を意味する季語です。が、「花より団子」は、俳句というよりは格言ですね。
季語なし
催促の文に蜜柑の切手貼り
ざぼん子
「蜜柑の切手」では、季語としての力はとても弱い。季語を主役にする工夫が必要です。
季語なし
NO!キッス蕾める花のままで逝く
心寧 侑也(ここね ゆうや)
この「花」は、季語というよりは、比喩として使われていると考えるべきでしょう。
季語なし
練り切りの桜満開陳列す
村雨 藍
「練り切りの桜」は、菓子なので、季語としての鮮度は落ちます。
季重なり
コートだけ菜の花畑へ母消ゆ
奈良の真
「コート」「菜の花」、どちらも季語ではありますが……。
季重なり
春うらら白餡側に白テープ
渥美こぶこ
「春」「うらら」、どちらも季語ですよ。
季重なり
蜜蜂を呼ぶや菜の花土手の脇
歩一
「蜜蜂」「菜の花」、それぞれ季語ではあります。
季重なり
早春の土手吾を誘いて尚寒し
紙風船
「暖かそうな春の土手に誘われて出かけたが、まだ寒かった。という意味ですが、『寒し』と『早春』は季重なりになりますか?」と作者のコメント。
そうですね、やはり季重なりは気になります。
季重なり
菜の花や蟻にあんこをお裾分け
橋本千浪
「菜の花」「蟻」、それぞれ季語です。
季重なり
春うらら分娩台の塩にぎり
石橋 いろり
「春」「うらら」、どちらも季語ですよ。
季重なり
山眠る人里探る明日の熊
佐藤 啓蟄
「山眠る」「熊」、どちらも季語ではあります。
季重なり
旅さそうなずなばなの香春の土
井上玲子
「薺の花」「春の土」、どちらも季語ですね。
季重なり
春うらら人気どら焼き売り切れて
すみ子
「春」「うらら」、どちらも季語ですよ。
季重なり
荒川の土手に寅さん春のどか
万葉
「春」「のどか」、それぞれ季語ですよ。