写真de俳句の結果発表

第41回「お腹が空いていましたので」《ハシ坊と学ぼう!⑨》

ハシ坊

お腹が空いていましたので

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

季重なり

春うらら孫にせがまれ散歩かな

詠野孔球

夏井いつき先生より
「春」「うらら」、それぞれ季語ですよ。
“参った”

季重なり

鯛焼きを犬と半分ひなたぼこ

さかたちえこ

夏井いつき先生より
「鯛焼き」と「日向ぼこ」、どちらも季語ではありますね。
“ポイント”

季重なり

日脚伸ぶ畑耕す農一人

トコトコ

夏井いつき先生より
「日脚伸ぶ」「耕す」、どちらも季語ではあるのです。
“ポイント”

季重なり

菜花やどら焼き置きし上着に蟻来る

希子

夏井いつき先生より
「菜花」は「花菜」? 「花菜」が季語としては一般的です。更に、「蟻」は夏の季語になります。
“参った”

季重なり

磯竈海女の笑顔の鮑かな

池上 胤臣

夏井いつき先生より
「『磯竈』は春の季語。海女さん達が、ひと仕事終え休憩小屋の焚火で暖を取りながら、他愛のない話で盛り上がっている。小屋には高級食材の鮑の香ばしい醤油の匂いが漂っている。あと数分もすれば、鮑は彼女等のお腹を満たすだろうか。そのような海女さんの至福の一時をイメージし句にしてみました」と作者のコメント。

季語が入り混じっています。主たる季語は、何にしたいのか。再度、自問自答してみましょう。
“参った”

季重なり

親鴨は子鴨を待たず春の土手

おやすみかづき

夏井いつき先生より
「親鴨が、子鴨を引き連れて道を渡っていきます。何羽かいる中で一羽だけ離れて付いていく子鴨がいます。親鴨はそれに構わずに、土手を下りて川に入っていきました。遅れた鴨も無事川に入っていきました」と作者のコメント。

「鴨」と「春」、季語の働きを少し整理しましょう。歳時記を確認してから推敲の方針を決めましょう。
“ポイント”

季重なり

弁当は御結び二つ春うらら

如月頭花

夏井いつき先生より
「春」「うらら」、それぞれ季語ですよ。
“参った”

季重なり

パティシエの内定通知春うらら

木村あずま

夏井いつき先生より
「春」「うらら」、どちらも季語ですよ。下五、一考しましょう。
“参った”

季重なり

春昼のジャージ草餅食えと言ふ

しいか

夏井いつき先生より
「春昼」「草餅」、それぞれ季語ですよ。
“参った”

季重なり

春の土出したる顔の緑冴え

ちえのわ

夏井いつき先生より
「冴ゆ」が冬の季語なので、この表現を一考してみましょう。
“参った”

季重なり

鯛焼きをふたつに割りて春隣

周子(ちかこ)

夏井いつき先生より
「鯛焼き」「春隣」、どちらも季語ですね。
“参った”

季重なり

啓蟄や草餅二つポケットに

游々子

夏井いつき先生より
「啓蟄」「草餅」、どちらも季語ですよ。
“参った”

季重なり

どら焼きとダウンジャケット寒き春

牛乳符鈴

夏井いつき先生より
季語らしきものが色々入っています。まずは、何を主役にしたいのか。そこを自問自答してみましょう。
“参った”

季重なり

菜の花の記憶の罅に新社員

亘航希

夏井いつき先生より
「菜の花」と「新社員」、どちらを主役としたいのか、イマイチ読み切れません。
“参った”

季重なり

どら焼きを君に半分春うらら

浅原多道

夏井いつき先生より
「春」「うらら」、どちらも季語ですね。
“参った”

季重なり

受験前夜食ラーメン麺柔め

はなハチコ

夏井いつき先生より
「受験」「夜食」、それぞれが季語です。
“参った”

季重なり

春めきて外堀の鴨ぐるぐると

伊呂八 久宇

夏井いつき先生より
「春めく」「鴨」、それぞれが季語です。ちなみに、「春の鴨」「残る鴨」という季語もありますよ。
“参った”

季重なり

四つ葉見っけはしゃぐ子供ら春のどか

阿呆鳥

夏井いつき先生より
「春」も「のどか」も、それぞれ季語ですよ。
“参った”

季重なり

摘みたての葉の香爽やか蓬餅

糸桜

夏井いつき先生より
お気持ちは分かりますが、「爽やか」は秋の季語です。
“参った”

季重なり

キュッキュッと歩く雪道春なのに

鳴きうさぎ

夏井いつき先生より
「春の雪」という季語もありますよ。
“参った”

季重なり

桃桜菜の花咲きて信濃春

浜千鳥

夏井いつき先生より
「信濃の春は、待ち望んだだけあり、一斉に色んな花が咲き誇ります。でも、季語だらけになってしまいました」と作者のコメント。

信濃の春は、まさにこんな感じですね。とはいえ、俳句としてはやはり「季語だらけ」。信濃の春を、俳人たちは様々な工夫で表現してきました。あなたも、あなたなりの工夫を考えてみましょう。
“参った”

季重なり

色褪せし冬コートただ防寒着

鈍牛

夏井いつき先生より
「コート」だけで季語ですので、「冬」は不要です。
“参った”

季重なり

冬散歩おやつのアイス少し固め

鈍牛

夏井いつき先生より
「冬」「アイス」どちらも季語ですね。「冬のアイス」と季語を合体させて、季重なりを成立させることはできます。
“参った”

季重なり

菜の花や告げる季節はあたたかし

朝陽薫

夏井いつき先生より
「菜の花」「あたたかし」どちらも季語ですよ。
“参った”