第42回「降車ボタン」《ハシ坊と学ぼう！②》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
季重なり
長閑なる帰省のバスのチャイムかな
義勇和爾丸
「長閑」「帰省」、どちらも季語ですよ。
季重なり
通過せし降車ボタンや春うらら
丸山 晴耕
「春」「うらら」、どちらも季語ですよ。
季重なり
押し忘れて遠回りする春うらら
幸水
季重なり
バス停のどかなり蟻の巣ほじくる
日向あさね
面白い句ですが、「のどか」「蟻」それぞれ季語。さて、どうする？
季重なり
乗り越した終点までも春うらら
へばらぎ
「春」「うらら」どちらも季語ですよ。
季重なり
ピンポーンと亜子誇らしげ春うらら
津野田コウ
「春」「うらら」、それぞれ季語ですよ。
季重なり
半袖がボタンに触れて蟬の声
姉萌子
「半袖」「蟬」どちらも季語ですよ。
季重なり
旅の空夕焼うつろい鳥帰る
トコトコ
「夕焼」「鳥帰る」どちらも季語です。
季重なり
春麗ら降車ボタンの音ふわり
全速
「春」「麗ら」、それぞれ季語ですよ。
季重なり
春や来る一つぽつりと犬ふぐり
岩魚
「『や』は疑問の係助詞のつもりで使いました。俳句ではいかがでしょうか？」と作者のコメント。
「や」に問題があるのではなく、「春」「犬ふぐり」の季重なりのほうが気になります。
季重なり
春うらら目覚めてボタン探す旅
しせき
「春」「うらら」、どちらも季語ですよ。
季重なり
春日和鶺鴒と待つ路線バス
みなごん
「春日和」は春、「鶺鴒」は秋の季語ですね。
季重なり
ふと目覚め降車の合図春のどか
迦楼羅（かるら）
「春」「のどか」、どちらも季語です。
季重なり
『停まります』アナウンスの声春うらら
春野あかね
「春」「うらら」、どちらも季語ですよ。
季重なり
ボンネットバスに揺られて春うらら
小野蒼水
「春」「うらら」どちらも季語ですよ。
季重なり
次停車冴ゆる赤こう春嵐来
萌黄多恵
「冴ゆ」「春嵐」、どちらも季語ですね。
季重なり
白雪の留まる手袋腕時計
大福
「滅多に雪の降らない地域に住んでいるもので、バスに乗るのは雪の日に出勤するときくらいなのです。慣れない通勤手段に、始業時間に間に合うか焦ってしまいます」と作者のコメント。
「雪」「手袋」どちらも季語ですね。
季重なり
擦りきれたボタン押す手袋外寒し
千穂
「手袋」「寒し」、いずれも季語ですね。
季重なり
春うらら眠気を誘うバスの中
律
「春」「うらら」、それぞれが季語です。
季重なり
木枯らしの寒さに押し負け降車ボタン
よしなり
「木枯らし」「寒さ」、季重なりです。