俳句deしりとりの結果発表

第26回 俳句deしりとり〈序〉|「るを」①

俳句deしりとり
俳句deしりとり〈序〉結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。俳句deしりとり〈序〉のお時間です。

出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、はじまりはじまり。
“良き”

第26回の出題

兼題俳句

みせばやの垂れゐるむかし溶岩(らば)なるを  沼野大統領

兼題俳句の最後の二音「るを」の音で始まる俳句を作りましょう。

 


※「るを」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。

「る」を探すしりとり深夜の山小屋

天風さと

「る」を探すしりとり春の山陽道

一寸雄町

「る」を調べしりとり勝つぞ麗らかに

「る」を続け攻めるしりとりソーダ水

日永田陽光

本企画自体がしりとりなわけですが、句の内容にもしりとりが入ってきております。これもひとつの類想といえますが、それぞれ場所や状況の設定は個性が分かれますね。《天風さと》さんの「山小屋」は夏の季語「登山」の傍題。歳時記によっては収録されてない場合もあります。シチュエーションに多少の差異はありつつも、語順も含めて前半分がここまで似るとオリジナリティがあるとは言い難いところ。

《日永田陽光》さんは「続け攻める」に戦略的な目線が加わってますね。情報の盛り込み方は半歩リードしております。「ソーダ水」の取り合わせも爽快で勝負のなまぐささがないのがグッド。
“良き”

るを使ふしりとり膝の子の温し

福島 サキ

おなじくしりとりネタで、九音+八音の句跨がりの型。後半への展開の切り替えが技あり! 「子どもor孫としりとりをしてて、その子が膝に乗ってきて~」みたいにくだくだと説明せずとも、読者を信じて投げた八音で十分に状況は伝わります。「温し」は春の時候の季語。体温の意味でもあるけど、時候の季語と意識すると、共有する時間そのものの春らしさ・暖かさがクローズアップされてきます。
“ポイント”

「る」を「ん」つて言ふてますやん春暮るゝ

満生あをね

「る」を「ん」に換えれば涼し田舎弁

飯島寛堂

「る」を「ん」と言う神奈川弁の新社員

のりのりこ

「る」を「ん」に変える……? 言われてもパッと思いつかないな……。少なくとも愛媛県ではあんまり聞かない方言ですね。《のりのりこ》さんから想像すると神奈川弁? どんな言葉があるんだろう。検索してみると「寝るのに」→「寝んのに」、「あるから」→「あんから」などの用例が出てきました。ははあ、「分からない」→「分かんない」のような、ラ行が撥音化した形なのね。取り合わせられた季語が三句ともあんまり嫌な感じがしないのが、神奈川への心象を示すみたいで興味深い。

“とてもいい“

ルヲでなくルオーでしたか錦草 

朝野あん

ルヲーとは誰かとルオー春霞

佐倉英華

前回の兼題となった句〈闘魚とはしづかに溺れゆく炎 嶋村らぴ〉からのしりとりでも「のお」を「のう」や「のを」と扱って良いのか物議を醸しておりました。画家・ルオーを扱った句も大量に届いていたのですが、今回は「るを」から始まる句だけに紹介を絞っております。その点、こちらの二句はわざと(?)名前を間違えて表記する荒技。そ、その手があったかぁ~……!
“ポイント”

月桜(るを)といふおんな佇む春の海

みなごん

こちらは正しい名前っぽい。ここ十何年言われている気がしますが、フリガナないと読めない名前増えたよねえ。「月」はラテン語の「Luna(るな)」からとって「月(る)」、「桜」は「おう」の読みから「桜(を)」なのかしら。「おんな佇む春の海」が演歌っぽい響きだけど、名前が現代的だから不思議なギャップを生んでおります。

“ポイント”

るを含む涼しき使徒やルカは医者

田季たまき

キリスト教の新約聖書に登場する使徒・ルカ。教養ある医者でもある「ルカ」に対して「涼しき」という季語を感知する詩のセンサーは良いなあ。「含む」や「ルカは医者」あたりが説明的すぎるのはちょっともったいないポイント。大前提として「るを」から始めるしりとりなんて難題のせいだろ! と言われれば、ぐう正論。ぶっちゃけしりとりに囚われずに推敲したら、さらに良い句になるポテンシャルがあると思う。挑戦してみよう!
“とてもいい“

るを加へ初夏の出生届とす

瀬央ありさ

説明的すぎるのも良くないけど、逆に読みのヒントが少なすぎるのも困りもの。「初夏の出生届とす」は明るい希望があって気持ち良いフレーズなんだけど、「るを加へ」をどう解釈したものか。名付けに迷ってて、最終的に「る」を加える名前にしたとか? その線でいくとどんな名前が候補にあがるかな……女の子の名前なら「りか」→「るりか」とか。男の子なら「たけ」→「たける」とか? 「たけ」は厳しいか……。

《②へ続く》
“ポイント”