写真de俳句の結果発表

第45回「ニースの塩」《ハシ坊と学ぼう!④》

ハシ坊

ニースの塩

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

初冬や自分で開ける雨戸かな

らねじ

夏井いつき先生より
「や」「かな」と、切字が二つ入ってしまいました。どちらか一つ外しましょう。
“ポイント”

一-五グラム延命の塩じゅく暑よ

井上玲子

夏井いつき先生より
「じゅく暑」は、「溽暑」の変換ミスかなあ。
“ポイント”

六月の光の粒や塩パンに

西川由野

夏井いつき先生より
語順を一考してみましょう。特に、「~に」の着地。
“ポイント”

岩塩に眠れる焔桃葉浴

四條たんし

夏井いつき先生より
素材は面白いです。「桃葉浴」は、暑気払いの「桃葉湯」のことですよね。これが完成形ではないと思うけど、難しい季語にチャレンジしてます。「岩塩に眠れる焔」というフレーズを生かすのなら、季語は動きそうですが、「岩塩」と「桃葉浴」はいけそうですね。
“ポイント”

色とりどり何に使うか春献立

km0916

夏井いつき先生より
「春献立」はちょっと強引な季語の使い方。様々なお料理も季語になってますから、歳時記を開いて探してみましょう。
“ポイント”

地の塩になれと教わり青嵐

おっとっと

夏井いつき先生より
「思春期にキリスト教会で洗礼を受けた頃のこと。『君たちは地の塩として、しっかりと教えを学び、是非世の中や社会の純化の模範として育っていって欲しい』と言われ、信仰に目覚めた時期でしたので、心の中はワクワクとした気持ちの高揚とクリスチャンとしての自覚に、胸がザワザワしたことを思い出して詠みました。人生を振り返ってみて、年老いた今では破門寸前のクリスチャンでしかありませんが……」と作者のコメント。

「地の塩」と「青嵐」の取り合わせがとてもよいです。もったいないのは、「~教わり」が説明になっていること。前半を「地の塩となれ」と整え、ここでカットを切り替えて、季語「青嵐」についての情報を足しましょう。四音使えます。さあ、言葉のパズルですよ!
“ポイント”

初旅や料理自慢が選りき塩

央泉

夏井いつき先生より
「初旅」と「塩」の取り合わせは、いけると思います。中七から下五にかけては、要一考です。
“ポイント”

書道具を嬉々とシャガール冬泉

秋白ネリネ

夏井いつき先生より
「書道具を嬉々と」しているのが「シャガール」? 季語との関係も、ちょっと掴みにくくて……。
“ポイント”

珈琲の氷溶かして光る君

むげつ空

夏井いつき先生より
第43回『花屋さん内のカフェ』において、〈珈琲の氷溶けゆく仕掛譚〉を《ハシ坊と学ぼう!③》にお取り上げいただきありがとうございました。この句における季語は、氷ではなくアイスコーヒーであること、理解いたしました。『下五、更にどんな取り合わせの展開があるのか』という宿題はなかなか難しく、夢中になっている本を変えればいいというものではないと思ってはいますが、かろうじて氷の煌めきと『光る君』が響きあうかもと、こじつけています」と作者のコメント。

なるほど、そっちに舵を切りましたか。「溶かして」で軽く切れるのだと、作者コメントを読んで分かりましたが、「溶かして光る」と読まれる確率の方が高いかもなあ。
“ポイント”

バス停で開く教科書冬の鳥

風の母

夏井いつき先生より
第42回「降車ボタン」《並》②〈教科書開くバス停に冬の鳥〉を推敲しました。語順かなと思い、バス停から教科書へ、その先に鳥へと視点が移るように考えました」と作者のコメント。

原句〈教科書開バス停に冬の鳥〉の問題点は、七・五・五の調べですね。「バス停」から「教科書」、そして「冬の鳥」へ。視線を誘導していくのは、これはこれで一案です。一点のみ、上五「バス停で」の「で」を、「バス停に」とすれば、人選です。
“ポイント”

夏帯の蓮に目詰り清め塩

深紅王

夏井いつき先生より
「蓮」は、帯の柄なのでしょうね。「目詰り」とは? 「清め塩」が目詰まりした? 少々読み取り難いです。
“ポイント”

木簡や塩の文字あり鑑真忌

しなやか

夏井いつき先生より
惜しい! 「~や」の切字、「~あり」の終止形で、三段切れになっています。この場合でしたら、上五を「木簡に」とすれば、問題なくなります。人選。
“ポイント”

花明り突付く憂鬱なパンケーキ

時乃 優雅

夏井いつき先生より
第43回『花屋さん内のカフェ』《ハシ坊と学ぼう!③》に取り上げていただきました〈パンケーキ突付く憂鬱や花のカフェ〉を推敲いたしました。この場合、『花のカフェ』とすると桜の光景は浮かばないと指摘され、確かに自分でも何か違和感があり、あのようなコメントになってしまいましたが、今回はどうでしょうか? 『花明り』では季語のイメージが違い過ぎるでしょうか?」と作者のコメント。

「パンケーキつつく憂鬱」これで、五七のフレーズが成立してますので、あとは季語の問題だけですね。勿論、下五に「花明り」としても良いですし、桜関連の季語でしたら「花曇」「花の雨」など色々あります。じっくりと心に適う季語を探してみましょう。
“ポイント”

赤茄子を空色の塩まぶしつつ

王朋亡

夏井いつき先生より
「残念ながら自分はフランスに行ったことはありませんので、実体験では読めませんでした。そこで兼題写真から何かを感じ取り、それを詠もうと思いました。目を引くのはとてもカラフルな色をした塩。色の対比を使いたいと思い、この句の形になりました。上五『を』か『や』で悩みましたが、意味はつなげたいので『を』を選びました。トマトがおいしそうに見えればいいなと思います」と作者のコメント。

この語順ならば「赤茄子に」になってしまうかなあ。「トマトがおいしそうに見えればいいな」というのが意図だとすれば、率直に「トマト」としたほうが、美味しそうかも。
“ポイント”

酒粕塩のほんのり甘い洗膾

伊藤節子

夏井いつき先生より
調べを整えると、内容に見合った句として完成ですね。
“ポイント”

南仏の塩はむらさき蝉の声

五十雀鷽

夏井いつき先生より
上五中七はよいのですが、季語は動きそうです。
“ポイント”

みやげやの岩塩映える秋光や

蒲公英

夏井いつき先生より
下五の「~や」は、着地が不安定になる難しい型。語順を一考してみましょう。更に、中七「映える」は、不要な動詞です。
“ポイント”

赤き塩秋の灯に輝り手まねきを

とぜん

夏井いつき先生より
「輝り」は必要かどうか。「手まねきを」は擬人化? 誰かの動作? 後半の表現は、要一考です。
“ポイント”

塩の花携えて来し巴里祭

中山白蘭

夏井いつき先生より
中七は要一考です。持参してきたという意味? 誰が? 自分?
“ポイント”