俳句deしりとりの結果発表

第29回 俳句deしりとり〈序〉|「ばん」①

俳句deしりとり
俳句deしりとり〈序〉結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。俳句deしりとり〈序〉のお時間です。

出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、はじまりはじまり。
“良き”

第29回の出題

兼題俳句

雨月の樹さみしきけもの囲ふ番  葦屋蛙城

兼題俳句の最後の二音「ばん」の音で始まる俳句を作りましょう。

 


※「ばん」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。

ばん」の付く言葉五百個ほしづきよ

伊沢華純

「ばん」の付く言葉、いったい辞書には何個くらい載ってるのでしょうかねえ。「五百個」本当にあるのかな。大きな数と「ほしづきよ」の無数に煌めく星とが似合います。ぶっちゃけ、このパターンで全部のしりとりに対応できるマジカルワードな上五中七ではあります。トランプでいえばジョーカーみたいな。
“良き”

バンカラは今では死語か春の午後

のぐちゃん

バンカラは死語であろうか青嵐

アルル

バンカラは絶滅危惧種山笑う

リコピン

カラなパリの少年半ズボン

真夏の雪だるま(雪だるま改め)

殻や雪駄の響き風薫る

德(のり)

最近は聞かなくなりましたねえ、バンカラ。昔は漫画とかでもちょこちょこ目にした記憶があるんだけど。学ラン着て雪駄履いて、みたいなのあったよね。バンカラとは、わざと粗野を装うこと。「ハイカラ」に対する造語として生まれた言葉だそうです。今日日ハイカラも耳にしなくなったよなあ……。明治は遠くなりにけり、って感じ。
“ポイント”

長の胸ポケットにカーネーション

村瀬ふみや

長はジューCが好き夏休み

となりの天然水

長は理系きれいに鮎を食ふ

麦のパパ

バンカラは絶滅危惧種だろうけど、「番長」ならまだ存在する……のか!? 漠然と「学生のボス」みたいなイメージがあったけど、辞書の定義では中学・高校生などの非行少年グループの長、となってます。非行が前提なのかあ……。でもカーネーションやジュースが好きだったり、鮎をきれいに食べる品の良い番長もいるかもしれないだろ! ぼくはこのギャップを愛するヨ!

“とてもいい“

傘の記憶微かな走り梅雨

砂月みれい

傘の柄に空蝉の朝陽かな

紙威楓

傘や遠き春雨柔らかし

一胡

傘を傾げるふたり春の宵

はるを

傘をかへしそびれて桜桃忌

うに子

懐かしげな単語が続きます。お次は「番傘」。油紙を貼って竹を骨にした雨傘です。今ではビニールなどの素材の傘が身近になり、日常遣いの道具として目にする機会は愕然と減りました。だからこそ妙に艶な雰囲気を醸し出す存在でもありますねえ。《うに子》さんの句は取り合わせた「桜桃忌」も相まって『人間失格』の一場面のような趣。
“ポイント”

台に背伸び支払うソーダ水

長谷川しゅるた

台へ伸ばす小さき手こどもの日

おかだ卯月

台のタマのいびきや迎え梅雨

長楽健司

台の女将のあくび去年今年

真秋

台の真上のテレビ目借り時

落花生の花

台の声賑やかに夏の夕

水玲

銭湯などのお風呂屋さんの入口にある「番台」。そこに座っている人を「番台さん」と呼んだりもしますね。《水玲》さんの句は人物としての「番台」さんと読めそうです。基本的に一段高く作ってある台なので、描かれ方も背伸びしたり手を伸ばしたり、女将や猫が居たり、位置が意識されたものになっています。

“ポイント”

付の重みありあり赤まむし

さ乙女龍チヨ

相撲の本場所で力士の序列を表にしたものが「番付」。相撲だけではなく、芝居や興業の宣伝のために刷られることもあります。迫力のある太い筆文字でびっしり並んだ絵面が印象的な存在。取り合わせの「赤まむし」がまたエグいというかなんというか。古~いアヤシゲな漢方薬店みたいな雰囲気がムンムン。

《②へ続く》
“とてもいい“