第47回「コスモスと浅間山」《ハシ坊と学ぼう!③》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
コスモスやローズマダーの絵具借り
文月蘭子
夏井いつき先生より
「高校美術部の写生でコスモスを描くとしたら。淡いピンクは基本セットの絵具で描けそうですが、深緋色は難しそうです。ローズマダーという絵具が、ぴったりだなと思いました。当時、油絵具は高校生の小遣いでは簡単には買えません。裕福な子、親の理解がある子は色々な種類の絵具を持っていて、少し分けて貰い、描く様子を詠みました。絵画のコスモスは季語にならないとしても、描くために観ているコスモスは季語になりますか?」と作者のコメント。
絵画に描かれている季語は、「季語にならない」というよりは、「季語としての鮮度が落ちる」と、私は考えています。この句の場合は、コスモスが目の前にあっての写生ではないかと読めます。ただ、これが完成形かといわれると、少々物足りません。「借り」が散文的な着地になっているせいかもしれません。場合によっては、「ローズマダーの」を上五字余りにおく手も含めて再考してみましょう。
「高校美術部の写生でコスモスを描くとしたら。淡いピンクは基本セットの絵具で描けそうですが、深緋色は難しそうです。ローズマダーという絵具が、ぴったりだなと思いました。当時、油絵具は高校生の小遣いでは簡単には買えません。裕福な子、親の理解がある子は色々な種類の絵具を持っていて、少し分けて貰い、描く様子を詠みました。絵画のコスモスは季語にならないとしても、描くために観ているコスモスは季語になりますか?」と作者のコメント。
絵画に描かれている季語は、「季語にならない」というよりは、「季語としての鮮度が落ちる」と、私は考えています。この句の場合は、コスモスが目の前にあっての写生ではないかと読めます。ただ、これが完成形かといわれると、少々物足りません。「借り」が散文的な着地になっているせいかもしれません。場合によっては、「ローズマダーの」を上五字余りにおく手も含めて再考してみましょう。
秋桜や花びらひらりどこへ行く
旭しゅん
夏井いつき先生より
この内容でしたら、「コスモスの一片(ひとひら)ひらり」とでもして、下五を一考してみましょう。「どこへ行く」のようなふんわりとしたイメージは、すでに「コスモス」という季語の中に入っていると考えましょう。俳句は、下五の五音でいかようにも化けるものです。
この内容でしたら、「コスモスの一片(ひとひら)ひらり」とでもして、下五を一考してみましょう。「どこへ行く」のようなふんわりとしたイメージは、すでに「コスモス」という季語の中に入っていると考えましょう。俳句は、下五の五音でいかようにも化けるものです。
夏山へぼろぼろの吾を誘いし母
西木いぐあな
夏井いつき先生より
「傷心で実家に帰省した時、母は何も聞かずに観光バスで行く山へ誘ってくれました。雄大な景色を前に、私は自分のちっぽけさを実感し『こんなことでクヨクヨしてはいられない』と心底思いました。母に救われました」と作者のコメント。
「~を誘いし」の部分が説明的です。語順も含めて、再考してみましょう。人生における佳きエピソードです。ゆっくりと時間をかけて一句として結球させましょう。
「傷心で実家に帰省した時、母は何も聞かずに観光バスで行く山へ誘ってくれました。雄大な景色を前に、私は自分のちっぽけさを実感し『こんなことでクヨクヨしてはいられない』と心底思いました。母に救われました」と作者のコメント。
「~を誘いし」の部分が説明的です。語順も含めて、再考してみましょう。人生における佳きエピソードです。ゆっくりと時間をかけて一句として結球させましょう。
満開のコスモス映えて山飾る
槇 まこと
夏井いつき先生より
俳句では、「映えて」は不要な場合が多いのです。この句もまた。
俳句では、「映えて」は不要な場合が多いのです。この句もまた。
づあ…づあ夏暁けを撒潮の鼓動
紫黄
夏井いつき先生より
「第45回「ニースの塩」《ハシ坊と学ぼう!⑩》〈夏暁を撒き潮の砂打つ調べ〉の推敲句です。 『砂打つ調べ』が 情緒に流れているとのご指摘をいただき、 『鼓動』は、空気や砂を震わす意味でリアルか⁇ と選んでみました。 〈づあづあと撒き潮夏暁を鼓動〉か悩みましたが、以前『プレバト‼️』で、 『・』がオッケーとの事でしたので、潮を撒く 『間」を 『…』として、トライしてみました」と作者のコメント。
推敲句を送ってくる場合は、必ず原句も添えて下さいね。
さて、この句ですが、今度は少々頑張り過ぎてしまった感じです。肩の力を抜いて、「撒き潮」の現場を描写することに徹しましょう。
「第45回「ニースの塩」《ハシ坊と学ぼう!⑩》〈夏暁を撒き潮の砂打つ調べ〉の推敲句です。 『砂打つ調べ』が 情緒に流れているとのご指摘をいただき、 『鼓動』は、空気や砂を震わす意味でリアルか⁇ と選んでみました。 〈づあづあと撒き潮夏暁を鼓動〉か悩みましたが、以前『プレバト‼️』で、 『・』がオッケーとの事でしたので、潮を撒く 『間」を 『…』として、トライしてみました」と作者のコメント。
推敲句を送ってくる場合は、必ず原句も添えて下さいね。
さて、この句ですが、今度は少々頑張り過ぎてしまった感じです。肩の力を抜いて、「撒き潮」の現場を描写することに徹しましょう。
消防のホースが薙ぐよコスモスよ
島田あんず
夏井いつき先生より
「近くの焼肉屋さんが火事でした。類焼なく消えましたが、おばあちゃんのコスモスもチシャも薙ぎ倒されていました」と作者のコメント。
コメントにある「薙ぎ倒す」という複合動詞を使ったほうが、臨場感がでそう。「~よ~よ」という詠嘆が、ふんわりし過ぎています。
「近くの焼肉屋さんが火事でした。類焼なく消えましたが、おばあちゃんのコスモスもチシャも薙ぎ倒されていました」と作者のコメント。
コメントにある「薙ぎ倒す」という複合動詞を使ったほうが、臨場感がでそう。「~よ~よ」という詠嘆が、ふんわりし過ぎています。
処暑の宿古着の棚に遠めがね
鞠狗
夏井いつき先生より
「友人が、追分宿に古くからあった宿を画廊にして企画展の他、古本などを扱っているのですが、その入口辺りにある古着を売る店には、偶に魅力的なものが見つかります」と作者のコメント。
「古着の棚に遠めがね」という状況が分かり難いです。
「友人が、追分宿に古くからあった宿を画廊にして企画展の他、古本などを扱っているのですが、その入口辺りにある古着を売る店には、偶に魅力的なものが見つかります」と作者のコメント。
「古着の棚に遠めがね」という状況が分かり難いです。
こすもすや浅間に映える空の青
コリちゃん
夏井いつき先生より
「映える」は必要のない場合が多いです。「コスモス」と「空の青」だけでも十分、映えてますよね。
「映える」は必要のない場合が多いです。「コスモス」と「空の青」だけでも十分、映えてますよね。
校舎跡ふちどるように秋桜ゆるる
戸村友美
夏井いつき先生より
この句の場合は「ように」ではなく、「ふちどり」としてしまったほうが明確です。
この句の場合は「ように」ではなく、「ふちどり」としてしまったほうが明確です。
寝ころびし草に酔ひたり涅槃西風
久蔵久蔵
夏井いつき先生より
上五の「し」は、基本的には過去の意味になるので、「寝転びて」とでもするのが、妥当です。季語は、動きそうです。
上五の「し」は、基本的には過去の意味になるので、「寝転びて」とでもするのが、妥当です。季語は、動きそうです。
孫息子より男現る初秋
夢々
夏井いつき先生より
上五中七の意味が、読みとりにくいです。どんな動作、表情に、男らしさを感じたのですか。それを映像として描写してみましょう。
上五中七の意味が、読みとりにくいです。どんな動作、表情に、男らしさを感じたのですか。それを映像として描写してみましょう。
我が嚇怒ゆれて鎮めし白き百合
こころ美人
夏井いつき先生より
〈我が嚇怒しづめて白き百合○○○〉残りの三音を考えてみましょう。
〈我が嚇怒しづめて白き百合○○○〉残りの三音を考えてみましょう。
秋桜の空き地に咲くやこぼれ花
かや楓
夏井いつき先生より
語順を一考してみましょう。「咲く」が必要かどうも含めて。
語順を一考してみましょう。「咲く」が必要かどうも含めて。
秋桜の中から現る浅間山
ねこじゃらし
夏井いつき先生より
中七「~の中から現る」のは、誰か? それとも「浅間山」? そもそも「現る」が必要なのかどうかも含めて、再考してみましょう。
中七「~の中から現る」のは、誰か? それとも「浅間山」? そもそも「現る」が必要なのかどうかも含めて、再考してみましょう。
秋桜や浅間山荘風化する
あらまち一駒
夏井いつき先生より
「1972年2月の浅間山荘事件が、浅間山から連想され、俳句が中々作れませんでした」と作者のコメント。
浅間山荘事件の句は、今回さまざま投句されていました。この句の場合は、下五が説明です。中には、成功している句もあったので、是非参考にして下さい。
「1972年2月の浅間山荘事件が、浅間山から連想され、俳句が中々作れませんでした」と作者のコメント。
浅間山荘事件の句は、今回さまざま投句されていました。この句の場合は、下五が説明です。中には、成功している句もあったので、是非参考にして下さい。