写真de俳句の結果発表

第47回「コスモスと浅間山」《ハシ坊と学ぼう!⑥》

ハシ坊

第47回のお題「コスモスと浅間山」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

葉漏れ日に照り映え踊るコスモスや

萌黄多恵

夏井いつき先生より
中七は要一考です。少々、擬人化が過ぎたか。
“ポイント”

秋桜池田湖に揺れ居るロマン

花菘

夏井いつき先生より
「ロマン」という言葉に甘えず、後半を詩語として磨いて下さい。
“参った”

火の神は鎮座とう立ちの秋桜

白庵

夏井いつき先生より
「火の神は鎮座」と季語「秋桜」の取り合わせは良いですね。調べを整えていただけると、人選は目前。
“参った”

外輪を蔦踏みいけば浅間寄る

和脩志

夏井いつき先生より
描こうととしている映像は分かるのですが、「踏みいけば~寄る」という叙述に、散文臭があります。どこかに切れを入れたいところです。例えば……

添削例
外輪を蔦踏みゆくや大浅間
“ポイント”

定宿の歓迎おかみと蝉ファイナル

碧月ゆう

夏井いつき先生より
「慌ただしい日々を乗り越え、今年も避暑地の定宿に到着。ほっとしたのも束の間、蝉ファイナルに驚かされてしまいました」と作者のコメント。

蝉の最後の状態を「蝉ファイナル」という流行の造語に頼ってしまうのは、少々残念。季語「蝉」をしっかりと観察して、描写してやって下さい。
“ポイント”

産後うつコスモス滲み寄り来たり

古乃池 糸歩

夏井いつき先生より
「産後うつ」と「コスモス」の取り合わせはよいと思います。後半のコスモスの描写の精度をあげたいところです。
“ポイント”

山光り秋桜揺れる緑畑

飯島寛堂

夏井いつき先生より
下五「緑畑」とは? 季語「秋桜」を主役と考えると、少し邪魔な感じがします。
“ポイント”

熊蝉のフォッサマグナを見下ろし日

感受星 護

夏井いつき先生より
「(前書:熊蝉の生息域北限が関東へ広がり)『フォッサマグナ(大地溝帯)』は大昔、日本の東半分と西半分がそこで繋がったとされる溝で、そこに浅間山も位置しています。皆さんも聞いた事はあると思います。蝉好きな先輩が、結構以前から『熊蝉がとうとうフォッサマグナを超えた』と騒いでいました。小さな蝉が少しずつ限界を超える時に、どんな感じかな? と地球的規模の歴史との対比で、思いを巡らせてみました」と作者のコメント。

下五「見下ろし日」は、見下ろした日という意味ですよね。「見下ろす」は、サ行四段活用なので「見下ろす日」、あるいは過去の意味にしたいのならば「見下ろしし日」となります。
“ポイント”

火の國の一九四五秋ざくら

中島タカシ

夏井いつき先生より
「火の國の一九四五」は、西暦? メートル? 読みを迷いました。
“ポイント”

岩山の地底はマグマ花あざみ

夏井いつき先生より
「地底」の「マグマ」と、季語「花あざみ」の取り合わせはよいと思います。「岩山の」も地理的な情報なので、上五中七は一工夫ほしいかと。
“ポイント”

山粧う手轆轤の渦小さき山

銀猫

夏井いつき先生より
「山粧う/手轆轤の渦/小さき山」 意味がプツプツと切れてしまってます。上五の「山」と下五の「山」は、別物ですよね。そこが分かるように書きたいかと。
“ポイント”

整列という言葉は知らない秋桜や

こきん

夏井いつき先生より
「秋桜」は「あきざくら」と読みますから、最後の「や」は不要ですね。
“ポイント”

山見上げピンクの花揺れ秋の風

ラクダーマン

夏井いつき先生より
見上げた山に咲いているピンクの花? と読めますが、位置関係はそれでよいのでしょうか。
“参った”

青空と山肌に映え秋桜や

小林弥生

夏井いつき先生より
下五「~や」は、バランスが取りにくく着地が難しいのです。語順を一考しましょう。「~に映え」は、不要です。
“参った”

胴乱のはみ出してをり秋桜

春野ぷりん

夏井いつき先生より
「胴乱をはみ出す」ではないかと。
“ポイント”

夏なのに秋桜咲いたと指差す子

つる

夏井いつき先生より
お気持ちは分かりますが、「夏なのに」は説明です。思いがけずもこんなに早く咲いている……という意味を、「夏」という季語を使わずに書く方法を工夫してみましょう。
“ポイント”