第47回「コスモスと浅間山」《ハシ坊と学ぼう!⑧》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
噴火てふ地球の怒り極暑かな
落花生の花
夏井いつき先生より
「噴火=地球の怒り」という比喩がちょっと分かりやすいかなあ。中七で意味が切れるので、下五の詠嘆が浮いてしまいました。
浅間山かの鉄球に立つ蜻蛉
まちばり
夏井いつき先生より
浅間山荘事件ですね。「蜻蛉」を取り合わせたところに工夫はあります。が、「鉄球に立つ」がベストなのかどうか。
浅間山荘事件ですね。「蜻蛉」を取り合わせたところに工夫はあります。が、「鉄球に立つ」がベストなのかどうか。
ロープウェイ手を振り合いて青嶺かな
すみだ川歩
夏井いつき先生より
「手を振り合いてゆく青嶺」とれすば、人選です。
「手を振り合いてゆく青嶺」とれすば、人選です。
山荘に鉄球ドスン固唾呑む
たけ
夏井いつき先生より
浅間山荘事件を書こうとした句は、それなりにありましたが、あの事件を十七音にしてしまうのは、かなり難しい。無理があるかと。まずは、自分の体験を俳句にするところから、コツコツ俳筋力をつけていきましょう。
浅間山荘事件を書こうとした句は、それなりにありましたが、あの事件を十七音にしてしまうのは、かなり難しい。無理があるかと。まずは、自分の体験を俳句にするところから、コツコツ俳筋力をつけていきましょう。
押し花や在りし日母と摘む晩夏
たけ
夏井いつき先生より
「在りし日」が過去で、「摘む」が現在になるので、読み手を混乱させます。「母と摘みたるかの晩夏」としてもよいし、他にも方法は幾つかあります。
山風にそよぐ吾の意とコスモスと
野山めぐ
夏井いつき先生より
「私の心という意味で『吾の意』という言葉を使いましたが、俳句的にはどうなのでしょうか?」と作者のコメント。
なるほど、そういうニュアンスを伝えたいのですね。「コスモス」という季語には、風にそよぐさまも情報として入っているので、〈山風に吾のこころとコスモと〉と書いても伝わりますよ。他にも、幾つか方法があるので、言葉のパズルだと思って、いろいろやってみましょう。これが、俳句の筋力を身につけるトレーニングになります。
なるほど、そういうニュアンスを伝えたいのですね。「コスモス」という季語には、風にそよぐさまも情報として入っているので、〈山風に吾のこころとコスモと〉と書いても伝わりますよ。他にも、幾つか方法があるので、言葉のパズルだと思って、いろいろやってみましょう。これが、俳句の筋力を身につけるトレーニングになります。
再会は秋ざくらの咲くころにと
茅々
夏井いつき先生より
穏やかな内容なので、調べは五七五に整えたいですね。
痩せし夫肩に蜻蛉や山の昼
陽だまり
夏井いつき先生より
ここは字余りになりますが、「痩せし夫の」と繋げましょう。
ここは字余りになりますが、「痩せし夫の」と繋げましょう。
コスモスや六十歳も山ガール
あんこ
夏井いつき先生より
「も」ではなく、「の」で並選です。
「も」ではなく、「の」で並選です。
青空に笑顔届けし秋桜
アサギマダラ
夏井いつき先生より
「秋桜」が咲いているさまを「笑顔」と比喩したのでしょうか。植物の咲く様子を「笑顔」とするのは、少々ありがちな表現です。
「秋桜」が咲いているさまを「笑顔」と比喩したのでしょうか。植物の咲く様子を「笑顔」とするのは、少々ありがちな表現です。
コスモスや初潮の祝い嫌忌され
青柳四万十
夏井いつき先生より
「自分がお赤飯を炊かれて嫌な思いをしたので、もし同じことを娘にしたら嫌がられるだろうなと想像して、詠みました。子育てにおいて、自分がされて嫌だったことは気をつけねば、と思うことがたくさんありますね」と作者のコメント。
お気持ちは分かります。が、俳句として考えた時、下五が説明になってしまっています。
「自分がお赤飯を炊かれて嫌な思いをしたので、もし同じことを娘にしたら嫌がられるだろうなと想像して、詠みました。子育てにおいて、自分がされて嫌だったことは気をつけねば、と思うことがたくさんありますね」と作者のコメント。
お気持ちは分かります。が、俳句として考えた時、下五が説明になってしまっています。
秋桜や山裾に揺る桃色ドレス
ぽち
夏井いつき先生より
上五の「秋桜や」と詠嘆しているので、下五「桃色ドレス」の比喩は、情報が無駄に重複します。
上五の「秋桜や」と詠嘆しているので、下五「桃色ドレス」の比喩は、情報が無駄に重複します。
厳寒や画面越しのカップヌードル
靱
夏井いつき先生より
「画面越し」に「カップヌードル」を見ている? 「厳寒」の山にいる? 少しずつ分かり難いかな。
「画面越し」に「カップヌードル」を見ている? 「厳寒」の山にいる? 少しずつ分かり難いかな。
カンヴァスに春日のあり湾かな
円海六花
夏井いつき先生より
「湾」は、「いりえ」と読ませるのでしょうか。中七は「春日」は「はるひ」と読めば六音。「しゅんじつ」と読ませたいのかなあ。中七が「~あり」と切れているので、ここで調べが滞ります。そのために「~かな」の詠嘆が浮いてしまいます。あと一息の推敲で完成しそうですね。
「湾」は、「いりえ」と読ませるのでしょうか。中七は「春日」は「はるひ」と読めば六音。「しゅんじつ」と読ませたいのかなあ。中七が「~あり」と切れているので、ここで調べが滞ります。そのために「~かな」の詠嘆が浮いてしまいます。あと一息の推敲で完成しそうですね。
活火山浅間山からコスモス
ヒロヒ
夏井いつき先生より
音数調整したいですね。
音数調整したいですね。
硬し茎歩まば絡む秋桜
きいこ
夏井いつき先生より
茎が硬いのであれば、「茎硬し」か「硬き茎」となります。
茎が硬いのであれば、「茎硬し」か「硬き茎」となります。