第47回「コスモスと浅間山」《ハシ坊と学ぼう！⑩》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
秋桜五輪咲き薪割りの終ひ
太刀盗人
夏井いつき先生より
「秋桜五輪」とあれば、「咲き」は不要です。この二音をどう一句に溶け込ませるか。最後のブラッシュアップ。人選も目の前です。
運動会浅間は殊に活火山
滋庵風
夏井いつき先生より
季語は動きますね。逆の言い方をすると、季語「運動会」は主役に立っているだろうか、と考えてみて下さい。
季語は動きますね。逆の言い方をすると、季語「運動会」は主役に立っているだろうか、と考えてみて下さい。
風流しコスモスゆらす浅間山
静岩
夏井いつき先生より
「コスモスゆらす」の部分に、「風」の情報は入っているといえば入っています。
「コスモスゆらす」の部分に、「風」の情報は入っているといえば入っています。
濃淡のコスモス畑祭りのやう
大久保一水
夏井いつき先生より
「コスモス」のどのような様子が、「祭りのやう」に感じられたのか。そこを描写してみましょう。
「コスモス」のどのような様子が、「祭りのやう」に感じられたのか。そこを描写してみましょう。
落蝉に涼をもとむは気早かな
涼和人
夏井いつき先生より
「お題の写真を見て、早く涼しくならないかなあ、という思いです」と作者のコメント。
二句目も同じ句材でしたね。「落蝉」は季語感がたっぷりあるように思うのですが、主要の歳時記を確認してみると、季語として載せてない？！ のには、ちょっとびっくり。二句ともに、中七下五が散文になっているので、そこを推敲する必要があります。「涼し」は夏の季語なので、むしろ「涼」ではなく「秋」を求める、あるいは「秋の兆せる」ぐらいの表現にするのが、無難かもしれません。
二句目も同じ句材でしたね。「落蝉」は季語感がたっぷりあるように思うのですが、主要の歳時記を確認してみると、季語として載せてない？！ のには、ちょっとびっくり。二句ともに、中七下五が散文になっているので、そこを推敲する必要があります。「涼し」は夏の季語なので、むしろ「涼」ではなく「秋」を求める、あるいは「秋の兆せる」ぐらいの表現にするのが、無難かもしれません。
秋遊び音上げる足裏の浅間しさ
よっけ
夏井いつき先生より
「音上げる」は、「おと」？ 「ね」？ 下五「浅間しさ」の意味は、どう取ればよいのか。
栗飯といただく浅間仰ぎ見る
よっけ
夏井いつき先生より
「栗飯と」の「と」をどういう意味にとればよいのか、読みを迷います。
宇宙仰ぎ故郷の味夏の月
藤華靖麿
夏井いつき先生より
「夏の月」も仰ぐ視線の季語なので、上五「宇宙仰ぎ」がどこまで必要なのか。むしろ、「故郷の味」がどんな種類の食べ物なのか。そちらを書くべきかもしれません。
「夏の月」も仰ぐ視線の季語なので、上五「宇宙仰ぎ」がどこまで必要なのか。むしろ、「故郷の味」がどんな種類の食べ物なのか。そちらを書くべきかもしれません。
秋の暮浅間山のマグマ仄か
ききこ
夏井いつき先生より
「きれいなコスモスが咲く、雄大な自然のなかの浅間山だが、今も火山活動は続いており、それを仄かに感じた夕暮れの様子を描写しました」と作者のコメント。
「マグマ仄か」という表現が、作者の思いに添っているのか。その辺りが、最後のブラッシュアップです。
「きれいなコスモスが咲く、雄大な自然のなかの浅間山だが、今も火山活動は続いており、それを仄かに感じた夕暮れの様子を描写しました」と作者のコメント。
「マグマ仄か」という表現が、作者の思いに添っているのか。その辺りが、最後のブラッシュアップです。
コスモスや山に哀愁そつと添え
今 結月
夏井いつき先生より
後半の「哀愁そつと添え」は、感想です。俳句は描写ですよ。
後半の「哀愁そつと添え」は、感想です。俳句は描写ですよ。
浅間山朝日浴びたし虫時雨
Aki
夏井いつき先生より
調べが、五七五でプツプツ切れているのが気になります。「浴びたし」は、自分が？ 虫時雨が？ そのあたりも明確にしたいですね。
調べが、五七五でプツプツ切れているのが気になります。「浴びたし」は、自分が？ 虫時雨が？ そのあたりも明確にしたいですね。
コスモスと震える肩日沈みけり
ミニッツメイドのッツ
夏井いつき先生より
自分の肩なのでしょうか？ 誰かの肩？ そのあたりを明確に書きたいですね。調べももう一工夫ほしいところです。
自分の肩なのでしょうか？ 誰かの肩？ そのあたりを明確に書きたいですね。調べももう一工夫ほしいところです。
秋桜火口に見せる装いの夢
ミニッツメイドのッツ
夏井いつき先生より
「秋桜」と「火口」の取り合わせはよいです。後半の措辞は感想。俳句は描写ですよ。
「秋桜」と「火口」の取り合わせはよいです。後半の措辞は感想。俳句は描写ですよ。
活発な荒れし山肌蜻蛉かな
隅田康一
夏井いつき先生より
「活発な荒れし山肌」とは、どんな山なのでしょう。活火山の表現？ 災害？ 開発？ そのあたりが分かり難いです。
「活発な荒れし山肌」とは、どんな山なのでしょう。活火山の表現？ 災害？ 開発？ そのあたりが分かり難いです。
活火山今年も咲いたコスモスよ
隅田康一
夏井いつき先生より
「活火山」と「コスモス」の取り合わせはよいですね。花の季語に対する「今年も咲いた」という叙述は、不要であることが多いですね。
「活火山」と「コスモス」の取り合わせはよいですね。花の季語に対する「今年も咲いた」という叙述は、不要であることが多いですね。
秋桜の精となり舞う夭死の娘
遼遥
夏井いつき先生より
「四十年を経た今も、気づけばいつも傍らにいる愛娘。こんな景色に立った時は、いつも弾ける笑顔でくるくる回りながら踊っています。『娘（こ）』と読みます」と作者のコメント。
中七の表現はありがちであり、説明的です。「秋桜」を描写するところから、取り組んでいきましょう。思いの深い句ですから、時間をかけてゆっくりと仕上げましょう。
「四十年を経た今も、気づけばいつも傍らにいる愛娘。こんな景色に立った時は、いつも弾ける笑顔でくるくる回りながら踊っています。『娘（こ）』と読みます」と作者のコメント。
中七の表現はありがちであり、説明的です。「秋桜」を描写するところから、取り組んでいきましょう。思いの深い句ですから、時間をかけてゆっくりと仕上げましょう。
コスモスや望めば遠く浅間山
お篠
夏井いつき先生より
中七は要一考。俳句における遠近感の表現は色々あります。他の皆さんの作品から学べますので、特に、地・天の句から学べることは多いと思いますよ。
見せ時と風に踏ん張る秋の雲
奥山水珠
夏井いつき先生より
中七は「秋の雲」の擬人化と読みました。だとすると、上五が説明です。ここが、もう一工夫。
中七は「秋の雲」の擬人化と読みました。だとすると、上五が説明です。ここが、もう一工夫。
盲ろうの指先触れるコスモスや
よしだまるこ
夏井いつき先生より
下五の「～や」の着地は、バランスの取り難い型です。語順一考してみましょう。
下五の「～や」の着地は、バランスの取り難い型です。語順一考してみましょう。
青空よコスモスの群れ浅間山
よしだまるこ
夏井いつき先生より
中七は、「コスモス群るる」とでもすれば、下五に無理なく意味が繋がります。
中七は、「コスモス群るる」とでもすれば、下五に無理なく意味が繋がります。
山仰ぐ吾子より高きコスモスの花
蛙手
夏井いつき先生より
「コスモス」と書けば、基本的には、その花を意味しますので、「～の花」は不要です。音数調整してみましょう。例えば、「コスモスは吾子より高し」とすれば、上五中七が整いますね。