写真de俳句の結果発表

第48回「鍋一杯の柚子ジャム」《ハシ坊と学ぼう!①》

ハシ坊

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評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

ハシボウと学ぼう

こんにちは。2日がかりでやっと、庭にある花柚子のジャムを作りました。レシピは様々あるようですが、最初に丸ごと茹でて、アク抜きをするレシピで作ってみました。鍋一杯で幸せな気分です!(2023年1月10日15時40分撮影)

一寸雄町

季語なし

吾子十七歳初恋は柚子味

吉田ゆうこ

夏井いつき先生より
「柚子味」という書き方では、季語としての鮮度は落ちます。
“参った”

季語なし

甘い香の宝石落暉色のジャム

清水ぽっぽ

夏井いつき先生より
明確な季語は欲しいですね。
“ポイント”

季重なり

母つなぐ故郷の月秋の暮

遼君のハムスター

夏井いつき先生より
「月」「秋の暮」どちらも季語ですね。まずは、お手元に歳時記を一冊用意して、歳時記と仲良くなりましょう。
“参った”

季重なり

稲妻や踊る輪の中盆踊り

遼君のハムスター

夏井いつき先生より
「稲妻」「盆踊り」どちらも季語です。
“参った”

季重なり

クーラーと柚子ジャムと月煌々

お篠

夏井いつき先生より
季語を複数入れる「季重なり」は、ウルトラ技です。俳句の筋肉をしっかりつけてからでないと、失敗は必定。まずは、一句一季語からしっかりと基礎体力をつけていきましょう。
“参った”

季重なり

真夏日にジャムが出来たと汗拭い

おがちゃん

夏井いつき先生より
「真夏」「汗」どちらも季語ですね。
“ポイント”

季重なり

炎天やゆずアイスティー露光る

小吉

夏井いつき先生より
季語が色々入ってしまいました。歳時記を開いて、どれが季語か調べてみましょう。
“参った”

季重なり

大鍋に母の夜業や花らっきょう

栩々 万波

夏井いつき先生より
「夜業」も秋の季語です。「花らっきょう」は、どうしても必要な情報ですか。
“参った”

琺瑯の鍋をくぉーんと秋来る

空豆

鬼柚子や鍋のかさぶた喰はるるか

空豆

夏井いつき先生より
【一句目】「無花果をいただいたので、ジャムを作ろうと棚の奥から琺瑯鍋を引っ張り出したら、蓋か何かに当たっていい音がなりました。まだ暑いけれど、青空も風もちょっと変わったなあ、秋の合図かもと思いました」と作者のコメント。

発想が面白いし、中七にオリジナリティがあります。ただ、「鍋をくぉーんと」が、どういう状態の「くぉーん」なのか、少々と読み解きに悩まされます。基本が入っていけば、すぐにうまくなりそうな予感はあります。

【二句目】「上司がお庭の鬼柚子を採ってきてくれました。棘も迫力があるそうです。ジャム用鍋を出してみると、上部に白い層がはげて傷んでいる所がありました。実は大きくワイルド。これいけるかなあ、と思った瞬間です」と作者のコメント。

今回の投句、どちらも発想が面白いです。が、「鍋のかさぶた」をどう解釈すればよいのか、悩ましい。
“参った”

保育器の天までキック百の柚子

千舟

夏井いつき先生より
「庭の柚子が、その年は小さい実がたくさんなりました。生まれてきた子は小さくて、保育器の中に入りましたが、小さい脚で元気によくキックをしていて、私を安心させてくれました。百個の柚子のように元気でした」と作者のコメント。

上五中七までを良しとした時に、下五の比喩への展開が少し強引です。更に、季語「柚子」を比喩に使っているので、季語としての鮮度が落ちることは否めません。
“参った”

柚子胡椒ポン酢柚子ジャム母レシピ

あきの風さん

夏井いつき先生より
「柚子」を季語として味わえるかどうか、少々微妙な……並列の一句。
“参った”

エプロンをして暑すぎぬ夏の果

勝亦朝

夏井いつき先生より
「暑すぎぬ」「夏の果」は、夏の果てだから温度が下がってきた……という因果関係が見えてしまいます。
“参った”

エプロンも「ゆず」だと笑う孫のゆび

よしえ

夏井いつき先生より
「エプロンも」で、そこに柚子があるのは想像できますが、俳句に描かれている「ゆず」は、絵柄。そうなると、季語としての鮮度は落ちます。
“参った”

柚子の木を登る覚悟を問はれたり

安久愛 海

夏井いつき先生より
「私の祖母は旧家の長男だった祖父との縁談話に、柚子の木を登るような気で嫁にいかねば務まらんと言われたそうです。登るほど高い柚子の木は見たことありませんが、柚子の木がトゲだらけだということは知っています。人生はそれぞれ決断の時がありますね」と作者のコメント。

「柚子」は実を意味するので季語ですが、「柚子の木」は季語にはなりません。が、これは寓意の句なので、無季として考えれば成立はします。
“参った”

柚ジャムか苺じゃないの明日の春

ズッキーニン

柚ジャムかなんでイチゴじゃないの明日の春

ズッキーニン

夏井いつき先生より
二句ともに同じ句材です。一句目は「明日の春」が主たる季語? 弱いかなあ。二句目はどれを主たる季語にしたいのか、微妙です。
“参った”