写真de俳句の結果発表

第48回「鍋一杯の柚子ジャム」《ハシ坊と学ぼう!③》

ハシ坊 NEW

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評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

ジャムの蓋開けたまま置く震災忌

のの夏

夏井いつき先生より
「マーマレードが好きな方でした」と作者のコメント。

追悼句なのですね。だとすれば、中七をもう一工夫してみましょう。
“ポイント”

秋祭ことこと母と吾子うれし

高木友

夏井いつき先生より
「柚子ジャムを親子で煮込む様子です」と作者のコメント。

この句の字面では、「柚子ジャムを親子で煮込む様子」は見えてきません。「秋祭」の神輿のあとを、「ことこと」とついていく? 見物にきた? 「母と吾子」だろうと。
“ポイント”

大鍋のおでんのつゆに月盗む

草夕感じ

夏井いつき先生より
「『おでんのつゆ』は、具が入っていて、その間をみたすつゆのことですが、無理がありますでしょうか」と作者のコメント。

ご質問の部分には、特に無理があるとは思いません。気になるのは「月盗む」の部分です。大鍋のつゆに月が映る? ことを「盗む」と表現したのか……。「月」は、おでんの具の何かの比喩なのか? そのあたりが、判断つきませんでした。
“ポイント”

柘榴植ゆ義足の人や戦火止む

ときちゃん

夏井いつき先生より
三段切れになりました。どこか一カ所を繋ぎましょう。
“参った”

ジャムを煮る匂い漂う冬の夜

奥井宣風

夏井いつき先生より
「ジャムを煮る匂い」と書けば、すでに十分漂っています。読者の鼻に届いてますね。「漂う」の四音の使い方を工夫すると、人選ですね。
“参った”

爽やかな風吹く庭にジャムの香

桃色弥生

夏井いつき先生より
「風」に対して、「吹く」という動詞が必要か否か。ケースバイケースですが、この場合はなくてもよさそうです。
“ポイント”

柚子香り季節感じる湯気の中

大福

夏井いつき先生より
中七「季節感じる」は説明の言葉です。俳句は描写ですよ。
“参った”

柚子切れば星座の形に種並ぶ

高辺知子

夏井いつき先生より
下五は「~に並ぶ種」とすれば、種に焦点が絞られます。
“ポイント”

サマータイムの帰宅ラッシュや足早に第二部へ

柳子

夏井いつき先生より
46回『深夜のドライブイン』で 〈七月のNYにて 午後三時帰宅ラッシュ夏の空〉の前書きは、『サマータイムの帰宅ラッシュや』で想像できるとアドバイス頂いたので作ってみました。上五は字余りなのか、分からなかったのですが、音数がこれでいいか不安です」と作者のコメント。

「サマータイムの帰宅ラッシュや」ですが、「サマータイムの」は上五を七音の字余りにしてあり、中七が「帰宅ラッシュや」これはぴったり七音ですね。あとは、下五を五音でおさめれば、一句が完成です。いくらなんでも「足早に第二部へ」を下五にするのは、強引すぎます。
“参った”

柚子焼くや湯気をゆたかに追熟す

岡根喬平

夏井いつき先生より
「柚子を煮詰めてジャムを作る光景を詠みました。柚子が熱に溶けていく際に発する馥郁(ふくいく)とした香りに、湯気が果実のように熟すのではないかと思いました」と作者のコメント。

中七下五の表現はよいと思いますが、上五「柚子焼く」が気になります。実際に「焼く」のでしょうか?
“参った”

柚子のジャム瓶に書かれた母の文字

南の爺さま

夏井いつき先生より
「瓶に~母の文字」とあれば、母が書いたものであることは想像できます。
“参った”

丸善や書架に置き去る柚子ひとつ

くつの した子

夏井いつき先生より
梶井基次郎の『檸檬』から、抜け出してないのが気になります。
“参った”

ゆずの種ローションにして夫の手に

遊川百日紅

夏井いつき先生より
「ゆずの種」が「ローション」になる? 読み手はそのように読んでしまいますが……。
“参った”

皮むかれ終は柚子湯で身ほ癒す

山田季聴

夏井いつき先生より
柚子の一生を述べています。お気持ちは分かるのですが、俳句は映像。どんなふうに皮をむくのか、どんなふうに湯に浮かんでいるのか、そこを映像として描写するところから、練習を始めましょう。
“参った”