第48回「鍋一杯の柚子ジャム」《人》①
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
※結果発表欄では添削した形で句を掲載する場合がありますが、「マイ句帳」に収録される句は投稿した段階の句がそのまま保存され、投稿以降の修正や削除は不可となっております。予めご注意願います。
【第48回 写真de俳句】《人①》
柚子蹴れば農家の犬の吠える声
深山ほぼ犬
鍋底に星型描く夜長かな
蔵豊政
愛告げた秋晴れの日の台所
夏あさり
柚子の香やアメリカ行きの出発口
夏あさり
キッチンの隅をちちろの動きかな
令子
金風や限定ラベル百セット
ひでやん
鬼柚子を刻み太郎の鬼退治
ひでやん
秋果煮る幸のふつふつ沸くやうに
留辺蘂子
給食の寸胴鍋を豊の秋
留辺蘂子
出荷制限解除ぞ柚子の黄はればれ
佐藤儒艮
北限の柚子見はるかす街あかるし
佐藤儒艮
秋麗や箸の入りゆく豚角煮
多喰身・デラックス
内定は大阪にあり芋煮会
多喰身・デラックス
柚子搾る信じてないって言う真顔
ゆすらご
柚子煮ゆる父の最期の息きけば
内藤羊皐
柚子の香やコックコートの台車より
杜まお実
柚子ジャムどろどろ忘れていい忘れていい
梵庸子
金風やジャムの木べらのよく乾き
梵庸子
瓶詰めのジャム五百円文化祭
信茶
煮詰まる鍋のジャムふつふつと秋思
信茶
築六十余年夕餉は柚子尽くし
空木花風
星月夜ジャムは木べらに添いて落つ
京あられ
鍋底をなでる木べらよ夜半の秋
京あられ
柚子を煮る詰めが甘いと笑われる
冬島 直
煮沸され瓶は秋思の泡を吐く
冬島 直
デザートのソルベの柚子や銀婚式
海羽美食
持ち替へる白き木べらや柚子のジャム
野山遊
郵便のくる日こない日冬びより
青水桃々
助手のゐるやうに夜長の厨かな
青水桃々
ほろ苦き日々の香立ちぬ柚子のジャム
大橋あずき
とろとろと木べらを滑る柚子のジャム
大橋あずき
秋の灯のひとりジャム煮る時ぞ良き
巴里乃嬬
青柚子をもぎて明るき老年期
日永田陽光
柚子園移住柑橘系イケメン
比良山
ジャムおじさんみたいな所長豊の秋
藤井天晴
大鍋リーダー大きく混ぜる秋
しみずこころ
一年をゆっくり混ぜて柚子のジャム
しみずこころ
白秋の煮沸の瓶の厚みかな
城ヶ崎文椛
退職のスピーチひねる柚子湯かな
城ヶ崎文椛
柚子の香の漲る厨祖母がいる
あすか風
休職や手順通りの夏カレー
千風もふ
釣瓶落し台所より「ケ・セラ・セラ」
高橋寅次
混ずる手を止めれば澱といふ秋思
高橋寅次
半量に作るシチューや秋夕焼
円堂実花
スプーンの木目くきやか星月夜
円堂実花
推敲のブログふつふつ柚子のジャム
風早 杏
柚子つかむ高枝鋏昼の月
谷山みつこ
ピーマンのピクルス瓶はプリズムに
沙那夏
恐竜のうんこのやうな鬼の柚子
⑦パパ
高千穂の一人の客に柚子の風呂
⑦パパ
色街の坂を登れば秋高し
ピアニシモ
虫時雨更地になりし生家かな
ピアニシモ
柚子かほる母の木べらの角丸し
灯り丸
柚子の香やジャムで描きしうさぎたち
打楽器
休日のつるべ落としやジャムぐつぐつ
古瀬まさあき
台風の進路とMOCO’Sキッチンと
古瀬まさあき
哺乳瓶ぐつぐつ小さき窓に月
森野みつき
搾りきる檸檬一点差の涙
そうり
風上と風下ありて芋煮会
そうり
りんご煮る父の秋思をくずしつつ
ぷるうと
白砂糖量る秋思は小匙ほど
ぷるうと
ジャムの鍋泡ぽつこりと初月夜
鈴木秋紫
柚子ジャムのふつふつ急かす老いの日々
稲垣加代子
蜘蛛の巣の棘ある枝に光りけり
稲垣加代子
腑に落ちた柚子からジャムになりにけり
中村すじこ
馬路村のパン屋さやかに開店す
中村すじこ
別れ話ですか柚子ジャム詰めながら
ペトロア
ジャムは煮て非なるものなり夜学生
けーい〇
糸瓜忌や大鍋に湯を滾らせて
満る
ゆずジャムの鍋にふつふつ窓に月
満る
八月のカップの底に沈むジャム
天陽ゆう
小鳥くるハイジのパンにある塩気
天陽ゆう
秋日和バザー担当二年生
白石 美月
柚子下げて夕陽と下るつづら折り
まあぶる
颱風が来る来ぬばらのジャム沈む
千夏乃ありあり
バタにジャム重ねて残る暑さかな
千夏乃ありあり
ひとかけの柚子の統べたる晴れの椀
もぐ
爪たてて柚子の虚実を聞いてみる
もぐ
付き合いに柚子嗅ぐ猫の目の細し
絵夢衷子
墨の香のほのと母の絵秋澄めり
はれまふよう
柚子たわわ雨戸の開かぬ草の庭
はれまふよう
ジャムとなる柚子と見たくはない何か
あみま
最期まで柚子であり続ける覚悟
あみま
洗濯物拾った礼は庭の柚子
渡邉 俊
秋の声紅茶に垂らすジャムの灰汁
古都 鈴
青色の絹のスリッパ柚子刻む
坂野ひでこ
柚子の香の稲荷寿司買う遍路道
坂野ひでこ
柚子のジャム煮て不言色(いわぬいろ)の不機嫌
うからうから
片恋や六軒先の柚子の家
うからうから
秋日和妻手づくりのカレーパン
星埜黴円
大網を切り出す鋏夜長し
星埜黴円
賢治忌や手製のジャムのやけに甘い
ふるてい
不揃いな果実はジャムに龍田姫
ふるてい
ジャムの香やムーミンママの冬近し
大西どもは
柚子たぎるジャムセッションを聴く夕べ
素人(そじん)
柚子とろり煮つめて雨の昼さがり
うに子
贅沢な秋のまなかの鍋に傷
うに子
まづは眼の保養なりけり柚子を撫づ
青木りんどう
三世帯住人四人木守柚子
青木りんどう
初時雨会社休んでジャムを煮る
広泉
星月夜ジャムひと匙を残し逝く
橋本千浪
初雪やジャムの小瓶の詰め放題
橋本千浪
ジャムの蓋開ければポンと秋の声
井納蒼求
柚子狩りて無花果狩りて秋暮るる
井納蒼求
七個入りケーキと帰宅する良夜
小川晴よ
三十年前の装丁小鳥くる
小川晴よ
落語聴きつつジャムを煮る盆の月
Q&A
電車の音聞こゆ夜長の純喫茶
Q&A
秋深し修道院の仕込むジャム
る・こんと
食パンの袋の「夜食」の字は寮母
る・こんと
柚子の実やジャムの木べらのきつね色
みづちみわ
芸術祭ジャムに思想と砂糖あり
みづちみわ
サンプルより貧相なパフェ信長忌
さ乙女龍チヨ
柚子煮詰む木べらをとろりひかり落つ
飯村祐知子
柚子の香やとほき実家のしまひ了へ
飯村祐知子
ペーチカやロシアケーキに絞るジャム
杏乃みずな
夜学校お日様色のジャム配る
七瀬ゆきこ
かりん煮るまでの修羅場よ母許よ
七瀬ゆきこ
秋深むリカーに眠る果実たち
にゃん
柚子の香や背の子は背伸び火はとろ火
加納ざくろ
解せぬことデスクの柚子の爪の跡
加納ざくろ
春の日やバットに残る変なチョコ
キッカワテツヤ
柚子皮の束ねて刻む過去の刺
チリンドロン
大鍋や砂糖まみれの柚子の皮
チリンドロン
柚子の香や歪に太るエコバッグ
竹田むべ
木べらもて鍋より剝がすジャム夜寒
竹田むべ
長き夜の哀しび鍋に煮詰まりぬ
彩汀
山の子に貰ふ日暮の色の柚子
彩汀
皮剥かれ浮かぶ湯船の柚子柔し
こもれび
きぬぎぬや籠に残りし柚子ひとつ
赤味噌代
柚子の香やとろみひとさじ足すお椀
赤味噌代
地震後の小さき争い増え柚餅子
新井ハニワ
安酒の浮かぶへぎ柚の秋の色
ごまお
十六才の心臓柔し林檎煮る
西野誓光
柚子の実は高し十七時のメロディ
西野誓光
印結ぶよに盛る柚子の香の清し
山葡萄
指先に青き香移し柚子仕事
山葡萄
柚子の皮削ぎてひかりの粒子満つ
小山美珠
幽邃を自治会バスや柚たわわ
トウ甘藻
一人居の木の実拾ひてジャムを煮る
堀尾みほ
ゴジユウニ柚子に木札の廃家かな
花屋英利
びんのふた開かず客待つちゃんちゃんこ
花屋英利
西へ行く近鉄特急柚子畑
夏雲ブン太
柚子浸し生きる生きると火を点ける
夏雲ブン太
ジャム煮つめ金色の眼の小鳥来る
泉楽人
吾の頬を撫で柚子の香の母の指
泉楽人
砂糖一斤秋思一匙入れてジャム
越智空子
秋日和ジャムのにおいのおかあさん
めぐみの樹
秋晴やジャム流し込む硝子壜
めぐみの樹
作りたてのジャムを瓶詰め暮れの秋
れんげ草
ぐつぐつと柚子の香満ちる厨かな
れんげ草
青柚子に青唐辛子土鍋買ふ
不二自然
秋深し十六センチの鍋を買ふ
不二自然
ふくらはぎを透ける静脈柚子きざむ
伊藤 柚良
退院の一の仕事や柚味噌炊く
伊藤 柚良
取皿に「OCCUPIED_JAPAN」柚子の灰汁
大久保加州
琺瑯の真白き小鍋秋気澄む
大久保加州
沁々と昭和の話し柚子を剥ぐ
ちえ
秋の夜や厨に並ぶ手製ジャム
ちえ
ノクターンひとり煮あげる葡萄ジャム
玉響雷子
誘蛾灯めくドライブインや夏の末
玉響雷子
ジャムの泡ぷくぷく鳥渡る山河
板柿せっか
柚子ジャムや背中をさする手の柔し
小笹いのり
入籍はしません柚子は貰ひます
小笹いのり
ロシアンティー重し夜長の純喫茶
山羊座の千賀子
瓶ジャムはわずか農高文化祭
山羊座の千賀子
掌へまるめろジャムの小瓶載す
ルーミイ
老犬を踏まぬよう柚子ひた刻む
ひつじ
トーストの持ち方父に似て秋思
りょうまる
秋暁のパン屋ポップのラミネート
りょうまる
コスモスの揺れてしづかなノイズかな
東風 径
鍋に煮る柚子いつぱいの匂ひかな
間 静春
隣のかごに時給より高い苺
清白真冬
満月や魔女煮るジャムに毒少し
清白真冬
日曜の甘き秋風キッチンカー
土井あくび
柚子ゴロリ手づくりジャムのプチホテル
おこそとの
給食の余り夕焼のイチゴジャム
おこそとの
出張の泊まりは築地温め酒
平井伸明
朝寒のトーストの香やほのかなり
平井伸明
短夜の破局待てないなんて嘘
鈴白菜実
ブルーベリー煮つつ夜長の愚痴祖母へ
鈴白菜実
五十年柚子の今だにならぬ秋
幸香
きうと鳴くジャムにへら差す夜長かな
陶瑶
保存食の折つた頁や台風来
陶瑶
沸点を宥める木べら秋ともし
岸来夢
瓶底の底はぎざぎざ秋澄めり
岸来夢
松虫や乳歯入れたるジャムの瓶
幸田梓弓
叔母の買ふ墓の話や椿の実
幸田梓弓
道なりのナビの沈黙虫の闇
一久恵
柚子のジャム煮つつ書きたる年金書類
一久恵
先づ鼻を押しあててゐる柚子仕事
百瀬はな
手を貸して学生帽に柚子五つ
百瀬はな
燦燦と柚子成るや偕老の家
飛来 英
柚子ジャムの冷めるあひだの定例会
でんでん琴女
ふつふつととろける地球柚子を煮る
でんでん琴女
秋晴れや搭乗口へジャム二瓶
岡本かも女
見習いの磨く寸胴寒昴
喜祝音
退屈な雨音ホットミルクの香
喜祝音
落飾の人の柚茶へ足す月光
笑田まき
寸胴のタンシチューとろ火の夜長
小川さゆみ