第48回「鍋一杯の柚子ジャム」《人》④
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
※結果発表欄では添削した形で句を掲載する場合がありますが、「マイ句帳」に収録される句は投稿した段階の句がそのまま保存され、投稿以降の修正や削除は不可となっております。予めご注意願います。
【第48回 写真de俳句】《人④》
柚子搾りグシャッと回し種が飛ぶ
ヨシキ浜
アメリカンワッフル摘みたての苺
海月のあさ
艶やかな母の自慢のジャムに黴
海月のあさ
真桑瓜ジャム溶かす補中益気湯
織部なつめ
鉄鍋の弱火在所の小望月
青屋黄緑
梅田ダンジョン抜け月光のすすぐ空
迷照 りん句
蓋して一つ持たせる柚子の煮詰めなり
迷照 りん句
子の再婚糠床分ける小春の日
弥音
煮沸の瓶の剥がれしラベル秋の虹
弥音
ひとすぢの煮零れ白きカーネーション
芦幸
春愁を焦がさぬやうにジャムを煮る
芦幸
馬市やひつつみ汁を待つ丁稚
麦のパパ
テレビって勝手ね柚子で作るジャム
麦のパパ
叔父伴ふこんどは柚釜上手きひと
花和音
一陽来復鬼柚子でんと老健に
入江みを
鬼柚子の皮をピールに夜半の秋
湧翠
栗コトコト仕上げに父のブランデー
紅三季
傷秋を煮込んで瓶に詰めたもの
嶋村らぴ
たつぷりと秋思へジャムを塗りませう
嶋村らぴ
とりどりの空きビン集め柚子煮込む
德(のり)
亡き母の小言この頃柚子の刺
德(のり)
ほの甘き呪文はざむざ榠櫨ジャム
たかみたかみ
くつくつと魔女大鍋に秋思煮る
たかみたかみ
海近い生家去る朝木守柚
六月風マンダリン
詮索はせぬアレグロで柚子を炊く
游々子
道の端に赤き歯ブラシ秋深し
游々子
ガス台の祖母の柚子ジャムパン一斤
まこく
柚子ジャムの小瓶とりどり昼休憩
まこく
榠樝煮る忘れられないという罰
雨野理多
秋日和あかるき葬歌口ずさみ
雨野理多
瓶詰めの柚子ジャム眩し日のかたまり
由紀子
柚子ジャムの鍋に溢るる日のあまた
由紀子
柚子は黄に吾子初めての面接日
風の木原
柚子の香や手挽きコーヒーミルの音
風の木原
青柚子や反故と言えども汀子の書
日々の茶めし
ガラス吹くバーナー処暑の化学室
日々の茶めし
しなざかる越の味噌盛る柚子の釜
舟端玉
大馬鹿の種ごと刻め柚子酸ゆし
舟端玉
タッパーにカレーの黄ばみ雲の峰
前田
秋うらら柚子ジャムと米送ります
なおちゃん
盆支度する母居らぬ小さき庭
なおちゃん
柚子の実の小さし闘病一年目
くるぽー
秋霖をくつくつコンポート甘ゆ
くるぽー
青梅とルバーブのある道の駅
咲織
金曜日仕事終わりのソーダ水
咲織
秋風よジャムのとろみのたわわなる
烈稚詠
あふるるジャムの迎え舌なる秋の風
烈稚詠
焦げも傷もいとしき木べら柚子香る
だいやま
秋めくや壜へジャム一掬いずつ
だいやま
台風は迷走したり灰汁掬ふ
ときちゅら
柚子一つ分の気概を絞り出す
ときちゅら
初対面の老婆のくれし庭の柚子
いそのつる
好日の鍋ふつふつと柚子のジヤム
おかだ卯月
煮沸する瓶を敷き詰め蚯蚓鳴く
紅紫あやめ
柚子の香の二グラムに晴れわたる朝
はなぶさあきら
鍋煮詰む秋のほのほにある重さ
はなぶさあきら
無骨な手無骨な柚を我の掌に
藤子
虫の音やくつくつ煮えてジャム香る
殻ひな
言ひたきこと言ふべきことか柚子を煮る
髙田祥聖
刃を入れて柚子の香の錠開きけり
髙田祥聖
前掛けをキュツと締めたるあつぱつぱ
わかめ
蜜柑煮る8ビートに頭を揺らし
わかめ
かな書家の筆の便りと柚子来たる
千里
柚子の香や占領されし台所
みーこ39
火恋し延泊に干すブラの縒れ
北欧小町
「きょうの料理」に褪せし落描き罅薬
北欧小町
キッチンで伸びる才能貝割菜
阿部八富利
人を食つたやうな宰相まるめいら
阿部八富利
病床の友の呼吸や柚子削る
志無尽おたか
聖母子に光輪うちの村に柚子
横山雑煮
裸婦像や柚子は不完全な球
横山雑煮
秋の虹ジャムを煮てゐただけの日に
津々うらら
瓶がちゃがちゃと煮て大鍋に柚子も煮て
音羽実朱夏
甘酸っぱい色の柚子煮る母の腕
音羽実朱夏
新涼やマーマレードに光る朝
井上れんげ
蜻蛉の群れては離れ翅光る
井上れんげ
竜胆や白寿の母の薄化粧
庭野利休梅
哺乳ビン煮沸カラカラ秋日和
朝野あん
花柚子や友の快復ただ祈る
茶雨
じんせいを休憩夜半に林檎煮る
雨野雀雨
林檎煮るBGMはジムノペディ
雨野雀雨
うすあかりげつぷうながす寒夜の手
白秋千
人影にわしゃわしゃ連鎖水馬
白秋千
柚子の香の鋭く立ち込めたる厨
灯呂
量り売る魔女のマントの山ぶどう
杜若友哉
柚子煮詰む禁止されてるエゴサーチ
杜若友哉
鍋底に焦げ付きかたき残暑かな
あおみどり
いびつにはいびつの主張柚子貰ふ
赤坂みずか
凸凹の凸の可愛い柚子選ぶ
赤坂みずか
徘徊の母は痘痕の柚子握り
平岡梅
エプロンのきょうだい柚子ジャム味見部
窪田ゆふ
柚子ジャムを煮る幸せ渡す幸せ
窪田ゆふ
柚子の皮散らすフレンチのまかない
木香
秋の暮母のこさえたジャム重し
木香
亡妻(つま)のレシピ初めてジャムを煮る夜長
踏轍
残日を一つ減らして柚子ジャム煮る
踏轍
黙々と無心で刻む柚子の皮
槇 まこと
手箕重し菜園へ風の爽やか
明後日めぐみ
矢絣の母と吊るした柚餅子かな
風蘭
千疋屋の瓶を洗いて刻む柚子
風蘭
注目のメインディッシュへおろす柚子
紫黄
月色のジャム煮詰めてゐる夜長
猫雪すあま
柚子摘みし父来たるらし参観日
楽和音
鬼義母の炊く鬼柚子やあな甘し
楽和音
鷲鼻の煮る大鍋や守宮啼く
俊恵ほぼ爺
秋よジャムにたっぷりモーツァルトの溶けて
俊恵ほぼ爺
柚子煮詰め母のレシピに染み二つ
春のぽち
甘やかなジャムふつふつと夜長人
春のぽち
輪島朝市重量売りの丸柚餅子
仁
小鳥来るジャムおじさんの軍帽に
小川野雪兎
家計簿に三行日記昭和の日
小川野雪兎
刻まれし柚子の香カフェの一人席
美湖
柚子の皮きざんで肺の晴れていく
島田あんず
柚子投げて空のふかさを知るゆうべ
島田あんず
柚子の実や棘のあひまの青き空
充子
幸福な記憶は苦し柚子を煮る
充子
遠雷やジャム煮る祖母の魔性めく
トヨとミケ
秋ともし晩成の子はひとつづつ
トヨとミケ
押しながら回す師走の瓶の蓋
亘航希
足裏にジャムの粘粘秋暑し
まさし
手術待つ母に送りし葡萄かな
ゆみさく
心音と秒針の音月明かり
ゆみさく
母からのマーマレードや秋の朝
やしたあきら
焼け跡のジャム煮るにほひ敗戦忌
葉月庵郁斗
青柚子よ支度は未だ始めぬか
しげ尾
黍嵐ジャムの鍋底焦がす夜
なないろ
秋朝のホットサンドを対角線
谷川炭酸水
台風の在宅勤務ゆず茶ニ杯
奏美和
ジャムならば東側の樹林檎園
奏美和
垣根越し柚子の匂へる路地廻る
コリちゃん
殺された苦味女王の庭の柚子
井村 壽々
創痕や柚子を刻んでいる朝
西村緋色
柚子ジャムの香に満たされし午後の路地
錆鉄こじゃみ
病窓の花火見舞いの手製ジャム
藤田ほむこ
雨音や柚子とノイズを煮詰めゆく
色音
重き鍋ばかり遺され刻む柚子
田野こみち
遅刻する脳のデコボコ柚子の空
田野こみち
柚子の実やまつたいらなるIH(アイエイチ)
ぉ村椅子
短夜やひとつおおきな硝子瓶
ぉ村椅子
アパートの裏は校庭柚子を煮る
田近 詩泉
ジャム透かす冬三日月の万華鏡
飯沼深生
魔女のごと両手で煮詰めたる秋思
常磐はぜ
柚子を煮るわたしが先に逝くからね
常磐はぜ
茸鍋さまして頬張る仮退院
山浦けい子
爽籟やプルーストの前髪直し
きたくま
聖告のマリア白き手に無花果
七味
無花果を潰す柔らかな抵抗
七味
解体の庭にほのかな梅酒の香
木乃芽依
鰯雲にんじんぺろりキャンプ場
風乃杏
卒婚の厨紅玉煮る朝
とひの花穂
厨のハミング小春のきつね色
とひの花穂
雨垂れや昨夜の柚子の香残る朝
茶茶の嬉嬉
寝くたれて月の出を待つ一人住み
道工和
口角の柚子ジャムぺろり秋の朝
草栞
道端の柚子五百円空き缶へ
沢山葵
なぜ日和つたかささくれに柚子の沁む
白猫のあくび
鍋底の焦げ刮ぎ取る秋夜かな
白猫のあくび
天高し真横に生える親知らず
朱葉
冴ゆる夜のとろみ優しき柚子茶かな
翠雨
傷心の旅柚子香る茶碗蒸し
翠雨
ぷつぷつとジャム呟きて冬立ちぬ
緑萌
黄昏を詰めて湯に入る柚子二つ
緑萌
柚子を手にいまだ凭れてゐたりけり
久蔵久蔵
昼下りただ掌の上の柚子
久蔵久蔵
秋澄めり微粒子グラニュー糖きらり
島田雪灯
太陽のおもひでの香よ柚子煮詰む
島田雪灯
柚子ジャムが大鍋と同じ体積
夢々
面接の結果は明日柚子刻む
めいめい
焼きたてのパンの香嫌い盆支度
めいめい
朝焼けの色ごと掬ふ柚子のジャム
のさら子
酸塊(すぐり)ジャム煮るマクベスのお婆さん
のさら子
こびりつく鍋底の柚子まだ死ねない
水須ぽっぽ
寒夜一人ひたすら鍋を磨きけり
水須ぽっぽ
庭仕事香りたゆたふ檸檬五個
こころ美人
ジャムの鍋洗う瞑想秋北斗
紅玉
野分立つパティシエの指の精密
紅玉
朝顔とジャムの作れる十五才
たけろー
ピーナッツバターの蓋の青や秋
たけろー
諍いて麦焼酎に柚子搾る
三太郎
ジャム苦し焦鍋磨く夜長かな
美輝
秋の朝マフィンに柚子のジャムの照り
猪子石ニンニン
秋蝶に黄色のまだら久留里線
岸野ゆり
お互ひに傷つけ合ひて柚子たわわ
ふみづきちゃこ
うつうつの脳の雲去り鍋の柚子
フジ・シズカ
久々のジャムにうきうき柚子むきむき
砂 芽里
7時のニュースハスカップのふつふつと
晴芽みやび
不揃ひのジャム瓶のふた草の花
渥美 謝蕗牛
こげぬやうへらゆつくりと野分過ぐ
渥美 謝蕗牛
松の湯の寄りくる柚子や赤き富士
竹庵
薬膳の柚子の葉かをる禅の寺
竹庵
友からのいつものジャムや秋来たる
ふぃーかふぃか
外は雨フランスパンに柚子を盛る
青山楽夢
重陽や果実の色の褪せぬジャム
伊呂八 久宇
重箱と大鍋並ぶ大晦日
ボンちゃんのママ
燈火親しむ森の実を鍋にかけ
くさもち
柚子の香のピアノ弾く手にほのかなり
くさもち
ジャムの泡爆ぜず膨るる秋思かな
葉村直
パティシエの太き片腕秋うらら
葉村直
暮早しジヤムの煮詰まるおまじない
水きんくⅡ
哺乳瓶ぐつぐつ春の日のあくび
水きんくⅡ