第48回「鍋一杯の柚子ジャム」《人》⑤
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
※結果発表欄では添削した形で句を掲載する場合がありますが、「マイ句帳」に収録される句は投稿した段階の句がそのまま保存され、投稿以降の修正や削除は不可となっております。予めご注意願います。
【第48回 写真de俳句】《人⑤》
沸々と柚子の香厨は吾の砦
理佳おさらぎ
鬼ゆずの尻や裏木戸すれすれに
理佳おさらぎ
傘借りて三日目礼に柚子を煮る
桐山はなもも
増し増しのチーズ部活は大夕焼
桐山はなもも
ジャムの瓶開ければポンと秋の言ふ
佐藤レアレア
竹の春ぴちと綺麗にジャムを塗る
浅田香歌
柚子煮詰まる磁器婚式のNとN
立石神流
柚子ジャムの煮詰まる夜へかかるG
立石神流
履歴書に薄く罫線柚味噌釜
小鉢
柚子の空恩師は巴里へ移住とや
キャロット えり
秋風や大鍋のジャムふつぷつつ
画 喜多文
小鳥来るきつとくる柚子の樹木葬
兎波
ジャム作り地下室のある冬籠
兎波
三月や止まりしままの腕時計
てんむす
片恋や百回きざむ夜半の柚子
てんむす
いとこ来て柚子もぐ係煮る係
ザイコン
柚子の皮削る交換留学生
コンフィ
窓口に診察券と柚子を添へ
喜多郎
かすていら並べ龍田姫の夜会
立川猫丸
甘すぎるマーマレードよ秋の霜
たーとるQ
砂糖1カップ・秋の虹少々
たーとるQ
粗熱のジャムのとろみや夜の秋
紫すみれ
柚子の皮刻み初恋の行方
秋野しら露
檸檬一口明日の生死はわからない
深町宏
福引を廻すボレロの指揮のごと
深町宏
真夜中の柚子ふつふつと透きとほり
松本厚史
行き合いの空やレモンティー苦い
はまちこ
純情も訴状も柚子も放る朝
広島じょーかーず
ジャムを炊くまず春暖の火加減で
広島じょーかーず
柚子の香や自衛隊機は澄清を
柿司 十六
かをりよき二百十日のジヤムサンド
柿司 十六
梅の蔕ぽちぽち取りて聴くラジオ
咲野たまふく
どろどろに透きて秋夜のジャム全し
青井えのこ
柚子たわわ捥ぎつ香りつ明日のジャム
葛西のぶ子
たんと柚子厨も忙し夕あかり
葛西のぶ子
追熟のフェイジョア日付書く夜長
のりのりこ
小寒や二人がかりのジャムの蓋
せんかう
ジャムを煮て群鳥羞を養へり
せんかう
書きかけの伯母への手紙冬薔薇
咲山ちなつ
橙や転職サイトばかり見る
咲山ちなつ
ジャムパンを頬張る肩に捕虫網
韻修
柚子を煮る夜口ずさむレットイットビー
せなきく
旱星カーテンに聞く明日のオペ
宙朔
死を分かつ塩は二グラム生姜煮る
浜千鳥
熨斗付けた桃越してきた佐藤です
野菜α
雪起しジャム煮る祖父に香る湯気
出雲のたみちゃん
終戦日鍋の凹みに残る焦げ
慈夢りん
「本日ゆず湯」二代目の陽気な字
花豆
柚子色の鍋を煮詰めし夜寒かな
生田 大五郎
瓶底のジャムへばり付く残暑かな
月季 紫
硬く笑むくちびる柚子の花清し
うーみん
青柿や青銅の音を孕みたる
うーみん
石榴の実玻璃の器に嵌めませう
ユリノキ
木杓子の反りや夜長のジャムしごと
ユリノキ
生ハムの掛るメロンや冷ゆる匙
ふのんへん宗悟
秋の野やお着替え待ちのジャムどろぼう
はるいち
新人のグラスゆず蜜沈みをり
はるいち
柚子搾るわたしについた嘘いくつ
月野うさぎ
同期会欠席に○柚子胡椒
さふらん
春近しぱこんと開けるジヤムの蓋
霧賀内蔵
熟柿啜るは逢瀬のあとの虫養ひ
霧賀内蔵
ささめく片蔭手に手にリンゴアメ
看做しみず
鍋のジャムぷくぷくと透く秋の夜
看做しみず
柚子ふつふつ夫と流行りの本談義
志きの香凛
練炭の鼻刺す匂い薬缶の音
雪花
煮大根や子の住む町の雨レーダー
おおい芙南
哺乳びん煮沸消毒する冬至
おおい芙南
真砂女忌や果実の花のジャムの苦し
水鏡新
母がジャム煮れば寺山修司の忌
水鏡新
家系図や北限の柚子皮厚し
朝日千瑛
檸檬のほろ甘さ八百屋の廃業
水越千里
ゴルフコンペ空いっぱいの鰯雲
眼蔵
家出の夜自販機下の銭と虫
鈴木そら
一周忌実家の柚子の棘強し
日月見 大
柚子煮えてゆるりと過ごす日曜日
めぐえっぐ
仰向けば喉に陽やはし梨かじる
ひまわり
ささげ炊く母と親しき竈神
朗子
深鍋の煮詰まりけふの秋思かな
朗子
開くる人欲し朝寒のジャムの蓋
多数野麻仁男
柚子煮詰む娘の惚気話聞く
多数野麻仁男
無花果の実の空洞や独りの夜
清桜人
とがらずにでも凸凹の柚子が好き
雪椿
体育館裏で待ちます花カンナ
小島やよひ
秋立つや音楽変えしキッチンカー
小島やよひ
柚子の香や茶室は路地の突きあたり
福朗
文旦は二箱千番の研ぎ石
白庵
ぐつぐつと文旦の皮魔女の夜
白庵
柚子を削ぐごつごつとして鬼の面
大日向都
故郷でない街の柚子ジャム苦し
ざぼん子
朝寒し曇る眼鏡のつぶし粥
春瑛
柚子釜や馴染みが集う山の宿
高見 正太
身をのりだしトラックさばく君に飛花
古乃池 糸歩
塾帰り帽子に貰う花梨の実
ラテ
柚子煮るやギリシャ神話の頁繰る
ラテ
柚子のでこぼこ青春にはあふとつ
青田道
青柚子や泣き放題の裏山に
清水縞午
愛憎やジャムをてぢてぢ煮る夜長
清水縞午
政治屋のほうれい線や柚子搾る
感受星 護
大鍋に柚子汁ふわりジャムを煮る
鈴なりトマト
柚子の香の調理室より事務室へ
正宗一孝
柚子ジャムや煮てる厨の白熱灯
陽
土塀越しに柚子灯したり二つ三つ
朱鷺
久女忌や布巾をかけて寝かすジャム
ガリゾー
柚子熟るる空家となりし父母の家
光
乳房のエコ−にしこり柚子を煮る
光
母子手帳ちゃぶ台の柚子ゴロゴロと
老黒猫
差し入れや路上ライブの柚子三個
老黒猫
タッパーに遺る母の字木の芽漬け
蓮天
解いてゆく四色定理山の秋
ひいらぎ
珈琲豆挽くゴッホの星月夜
ひいらぎ
円周率の無限かろやか柚子刻む
満生あをね
春三日月びん底にまだママレード
佐藤さらこ
凹み待つジャム瓶のふた秋の昼
佐藤さらこ
妹の双子の知らせ柚子を煮る
春野ぷりん
山間の子ども食堂柚子たわわ
春野ぷりん
大鍋の豚汁囲む球児冬
塞翁が馬
袈裟を着て参拝客に柚子を売る
華婦香 (カフカ)
親友へどう詫びようか柚子の皮
雄蹴
柚子の香や襖向うに伏せる妻
山尾幸正
神酒提げてはるちゃんが来る猟はじめ
海里
悪阻見舞い武骨なる手に柚子ふたつ
海里
ちつぽけなウソ柚子風呂の底に種
勇緋ゆめゆめ
秋の暮手書き文字あるジャムの蓋
奥伊賀サブレ
しぐるるや母の隣でジャムを待つ
風花舞
夏みかん実りし日々よ地鎮祭
鳥乎
植樹より三年ひとつめの檸檬
鳥乎
影踏むや引退の日の望の月
山崎三才
柚子煮るや定年までをあと二日
山崎三才
龍淵に潜むマオリの長き舌
海老名てんてん
星月夜母へと歌ふ子守唄
夏村波瑠
柚子ジャムのまだ溶け込まぬ炭酸水
ならば粒あん
指にジャムパンは二枚目秋の空
ならば粒あん
つやつやと煮上がる義実家の柚子め
三浦海栗
柚子風呂や感情労働をほどく
三浦海栗
煮る音も子守唄なり風爽か
欣喜雀躍
橙に色づくゆずの香り満つ
おしゃべりスナフキン
柚子を煮る静けさのなか吾子を待つ
おしゃべりスナフキン
平成の日付けぞ祖母の梅焼酎
雉虎緑目
鍋の焦げ猫背に見つめ秋深し
雉虎緑目
吾の自白柚子湯がじつと聞いてゐる
江口朔太郎
今朝の冬研ぎ石と吾の息づかひ
江口朔太郎
幸せのまったく面倒な柚子だ
さく砂月
回覧の滲む印影柚子明かり
翡翠工房
朝風呂の柚子アマテラスアマテラス
翡翠工房
北国の椀に香るや柚子一片
渡海灯子
パン生地の発酵の音秋の宵
田原うた
歪みなき木目のヘラや柚子を煮る
ぜのふるうと
高速の陥没ニュース月煌々
ぜのふるうと
柚味噌練る明日はフラの発表会
篠瀬カオルコ
土産屋のティラノサウルス秋暑し
丸井たまこ
駅前の団子屋の歌いわし雲
丸井たまこ
ジャム瓶の煮沸苫屋の秋収め
ちょうさん
鍋底に凝る秋思を飴色に
冬野とも
青蜜柑不登校でいいぢやない
冬野とも
東京にジャム煮て独り文化の日
沼野大統領
カミングアウト餃子の皮の林檎パイ
伊藤映雪
独身愉し豆腐のための柚子刻む
伊藤映雪
居待月ゼクシィなんて捨てちまえ
うめやえのきだけ
柚子を煮る銀河外れの星の上
うめやえのきだけ
柚子ジャムを溶かし忌日の冬が来ぬ
山本美奈友
柚子釜や四人離れて暮らしおり
山本美奈友
薄暗き卓の酢橘や母はゐず
草夕感じ
立ち退きの庭や檸檬はまだ青く
神無月みと
切るまではわからぬ柚子の実の空ろ
いわさき
月赫し理科準備室に鍋ふたつ
百瀬一兎
しめぢ裂く知らない宗派からチラシ
百瀬一兎
柚子の香の受け入れ難き今日の吾ぞ
ふく
秋旱五分煮沸の哺乳瓶
一井かおり
太宰忌やマーマレードは母の嘘
句々奈
シルヴィアのジャムは血の色冬薔薇
句々奈
盆船の処分場干涸びた釣り餌
史周
星月夜珈琲を淹れジャムを煮る
小月
ぎこちなく豚汁よそう秋の空
ぴょーんと
秋風や気泡の光る硝子瓶
茂木 りん
素麺に柚子鼻うれし喉うれし
肴 枝豆 (さかな えだまめ)
タンタンはジィジと入る柚子ふたつ
肴 枝豆 (さかな えだまめ)
ジャム瓶のためにジャム買ふ秋隣
いしとせつこ
夏至の夜ママレード炊く空白
ふじこ
カシオペア見様見真似のクロワッサン
梅田三五
ひかり飲む果皮や良夜のママレード
梅田三五
月曜日はきらいだレモンを搾る
加里かり子
沸々と静かに柚子の息聴こゆ
のんつむ45号
ジャム瓶のラベルは丸文字文化祭
すがのあき
星月夜ぐつぐつと煮る哺乳瓶
すがのあき
葡萄剥く不貞触れずに閉経す
奈良井
柚子湯へと棘生ゆる胸ひた浸す
海色のの
枝しなう柚子や曲がったままの指
海色のの
太陽の熾火が如く柚子たわゝ
一石 劣
ジャム瓶の蓋のへこみや朝寒し
星鴉乃雪
穴あきの木べら飴色秋うらら
星鴉乃雪
柚子かをる甘く酸つぱくほろ苦く
氷雪
ダイエーのありし西口柚子匂う
九萬太郎
赤毛のアン進まぬ夏休みの午後
雪のこだま
花アロエアンドロイドに透ける脳
亀野コーラ
封切りし甕出し柚子酒月青し
Steve
鍋のジャムたぷたぷ歌う豊の秋
馬場めばる
デッサンの柚子凸に影凹に闇
馬場めばる
幻聴の我に一筋馨る柚子
竪山 ヒスイ
バターバタージャムジャムジャムや漱石忌
真夏の雪だるま
柚子を掻く爪柚子の種抉る爪
真夏の雪だるま