第48回「鍋一杯の柚子ジャム」《人》⑥
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
※結果発表欄では添削した形で句を掲載する場合がありますが、「マイ句帳」に収録される句は投稿した段階の句がそのまま保存され、投稿以降の修正や削除は不可となっております。予めご注意願います。
【第48回 写真de俳句】《人⑥》
柚子たわわ四万十川の風碧し
卯之町空
ジャム鍋はふつふつ柚子の香の記憶
卯之町空
柚子の香やジャムのラベルは友の文字
美んと
手の甲は棘の傷跡柚子刻む
美んと
頬杖の夜長やジャムを煮る弱火
片山千恵子
暖色のジャムを塗る白秋のパン
佐藤志祐
煮詰まるはジャムと議論と夕焼雲
佐藤志祐
流しには溶けたゴムべら夏の果
草深みずほ
うららかな煮沸の泡に哺乳瓶
草深みずほ
柚子の香や公邸料理人のジャム
空素(カラス)
秋澄めり紅茶へジャムをたっぷりと
くつの した子
棗の実まぶたにうすくラメ伸ばす
源早苗
凹凸の書き順のGIF柚子香る
蜘蛛野澄香
鍋底の秋思へ木べらジャムを煮る
蜘蛛野澄香
新雪にシュプール重ねハネムーン
落花生の花
走り柚子反省見えぬ反省文
まちばり
長き夜に編む鍋敷きの不格好
軽時計
ジャム瓶の煮沸リッジに秋北斗
明 惟久里
嵐来とラジオ告げをり蝶羽化す
与次郎
達筆で届きし柚子の不格好
与次郎
黒焦げの鍋底ゴシゴシななかまど
希凛咲女
秋立つや落葉色なる吾の茶碗
佐藤恒治
囮鮎荒ぶる塩をまぶしたり
佐藤恒治
ため息も鍋に沈めし秋の暮
浪伊
ジャムの湯気窓打つ春の霙かな
茅々
秋の夜やひとり時間に餡を煮て
遥琉
脱気した空き瓶冷ます秋の暮れ
走亀エリコ
加熱した瓶の蓋凹秋深し
走亀エリコ
柚子を煮る部屋の余白よ香に満ちよ
Broken Bow
手荷物は葉付きの柚子よ奈良を発つ
あんこ
グランメゾン柚子粉砕のフレーバー
細川 鮪目
地表とは星の本体柚子の皮
細川 鮪目
用地買収迫る古家の晩白柚
二城ひかる
柚子ジャムのふつふつ煮えてビバルディ
夏の町子
亡き歌手の朽ちた生家や柚子たわわ
折田巡
朝冷や飛びだすパンと開かぬジャム
折田巡
お風呂場の柚子をつぶしたのはだあれ
かときち
ぴんぽおんと言つてひらいた手に金柑
かときち
典座の柚子刻む香のあふれけり
一徳斎
たわわなる記念樹の柚子小祥忌
円海六花
ゆずを煮るラジオ講座のフランス語
普久井ひと眠
遠きもの愛おしきもの柚子洗ふ
あおい
柚子噛めば故郷の風の中にゐる
あおい
志望校調査の上に柚子一つ
きいこ
苺煮る今日は機嫌がいいみたい
きいこ
売り切れの手作りジャムや文化の日
文月紺色
うららかにconfitureを焦がす朝
家守らびすけ
幸せになります茶碗蒸しに柚子
家守らびすけ
ピエロ人形びいどろの瞳の秋の虹
よはく
ガムランの倍音遥か秋澄めり
よはく
小寒の朝大鍋の焦げ落とし
樋ノ口一翁
柚風呂や肺腑を絞り尽くす「嗚呼」
樋ノ口一翁
大叔母と歪な柚子の着く薄暮
馬風木瓜子
塩噛んで溽暑を農業気象学
ナノコタス
恍惚や春宵を鍋磨きおる
ナノコタス
ストーブや煮豆の味見母の膝
笑道心文
溶け合ひてかにく透けたる苺かな
黒田栗饅頭
剝き取りてうちがはしろき黄柚子かな
黒田栗饅頭
秋の朝このジャムが好き朝が好き
わぎゃん
ジャム瓶の屈折率や秋の色
或曲
故郷の柚子の歪を洗ひけり
或曲
カタコトとジャム待つ瓶に秋の声
ねこぱんだ
赤い鍋にジャム薄暮のストーブ
(表記変更しました)ひな野そばの芽
裏木戸に母の呼ぶこゑ柚子たわわ
(表記変更しました)ひな野そばの芽
秋の灯やジャムクッキーの欠片落つ
桂馬
遠花火咥えたままのジャムの匙
甲斐杓子
甘苦き香や四万十の秋夕焼
夜汽車
剥けるのに剥いてもらった蜜柑かな
水鳥川詩乃
小豆炊く女の髪の頬に垂れ
内田ゆの
宵闇や紅茶に揺らぐバラのジャム
全代
秋の灯や献血百回目の盾
青村秋入
冬至風呂三巻だけが無い漫画
青村秋入
秋朝や「佐藤さんちのジャム」買いに
ボイス&フィンガー
父植えし大馬鹿たれの柚子実る
田中 百子
ジャム煮詰めぷっくんぷぷぷ鍋の秋
森ともよ
ラジオから懐メロジャムを煮る夜長
紫木蓮
新涼やロシアンティーのほの甘さ
紫木蓮
ビートルズ流す厨に柚子煮詰む
閏星
滑り台から見下ろし見上げびわたわわ
穂々々
柚子たわわ厨に白き割烹着
芝香
柚子一つ足して半夜の終ひ風呂
いちすぺ
水澄むや大きい方の夢を捨て
いちすぺ
たくましき母の二の腕柚子煮たる
みさ
煮沸瓶の気泡見つめて夜長かな
さくさく菫
択る皿のさかなの柄や暑気払ひ
乃咲カヌレ
雪池忌やマルマレツトのくたりと果皮
乃咲カヌレ
柚子ほのかつつましき哉六十年
帷子川ソラ
竹べらに山盛りのジャム処暑の朝
まどれ
秋の夜やざるに冷めゆく煮沸瓶
まどれ
柚子フツフツかき混ぜる子と覗く子と
泉幸
でこぼこの柚子の香りす土佐の国
岡 ミミズク
柚子煮つつドラマ始まる午後三時
藤康
玻璃の瓶煮沸し秋の透きとほる
有村自懐
柚子落ちて隣の婆よくしゃべる
まちつぼ
似顔絵の瓶ジャム並ぶ秋うらら
つーじい
お手玉の母の自在や柚子三つ
桃圓
秋晴れや今「OPEN」の札掛ける
ほしのり
よく笑ふ婆の煮るジャム秋日和
ほしのり
夕焼けや十三回忌のジャムの色
Aki
さみしさを加えし柚子の甘きかな
Aki
種多き柚子は難問解くごとき
紫子(ゆかりこ)