第50回「雪の赤れんが庁舎」《ハシ坊と学ぼう!②》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
恒久なる竹富赫き花梯梧
きいこ
洗朱の竹富やラムネ耀ふ
きいこ
夏井いつき先生より
「第43回『花屋さん内のカフェ』《ハシ坊と学ぼう!⑩》〈梯梧の竹富やレモネードしゅわわ〉の推敲句です。夏井先生より『「竹富」と「レモネード」で一句。「竹富」と「梯格の花」で一句。それぞれ作り直してみましょう』とアドバイスをいただきました。
【一句目】昔のままの竹富の光景が、私達に恒久平和を強く訴えかけているようで『なる』と『赫』で強調してみました。
【二句目】音数を減らすために『レモネード』を『ラムネ』に変えました。洗朱色とラムネの水色を掛け合わせてみました。」と作者のコメント。
【一句目】早速の推敲ですね。「~竹富赫き花梯梧」は、きれいにまとまりましたね。あと一押し考えたいのは「恒久なる」の部分。「恒久なる」は読者に持って欲しい感慨を、先に言葉にしてしまってます。竹富の変わらぬ様子を描写できると、ベストです。人選まで、あと一息ですね。
【二句目】推敲の方向性はよいのですが、「ラムネ」に対して「耀ふ」までいわなくてもよいかも。更に、原句の「レモネードしゅわわ」という表現をあきらめるのは勿体ないです! 「レモネードしゅわわ竹富○○○○○」残り五音の勝負です。
「第43回『花屋さん内のカフェ』《ハシ坊と学ぼう!⑩》〈梯梧の竹富やレモネードしゅわわ〉の推敲句です。夏井先生より『「竹富」と「レモネード」で一句。「竹富」と「梯格の花」で一句。それぞれ作り直してみましょう』とアドバイスをいただきました。
【一句目】昔のままの竹富の光景が、私達に恒久平和を強く訴えかけているようで『なる』と『赫』で強調してみました。
【二句目】音数を減らすために『レモネード』を『ラムネ』に変えました。洗朱色とラムネの水色を掛け合わせてみました。」と作者のコメント。
【一句目】早速の推敲ですね。「~竹富赫き花梯梧」は、きれいにまとまりましたね。あと一押し考えたいのは「恒久なる」の部分。「恒久なる」は読者に持って欲しい感慨を、先に言葉にしてしまってます。竹富の変わらぬ様子を描写できると、ベストです。人選まで、あと一息ですね。
【二句目】推敲の方向性はよいのですが、「ラムネ」に対して「耀ふ」までいわなくてもよいかも。更に、原句の「レモネードしゅわわ」という表現をあきらめるのは勿体ないです! 「レモネードしゅわわ竹富○○○○○」残り五音の勝負です。
学僧の部屋一隅に聖夜の絵
一徳斎
夏井いつき先生より
絵に描かれている季語は、季語としての鮮度は落ちますが、描こうとしている世界は良いと思います。季語の問題も含めて、一考してみましょう。
絵に描かれている季語は、季語としての鮮度は落ちますが、描こうとしている世界は良いと思います。季語の問題も含めて、一考してみましょう。
巣立ち鳥今は何処のクリスマス
つる
夏井いつき先生より
「巣立ち鳥」も季語ではあります。親元を離れた子を比喩したのかもしれませんが、要一考です。
縁側の障子白うして昨夜の雪
猫ずきん
夏井いつき先生より
「障子」も季語ではあります。季節感は薄いかもしれませんが。
「障子」も季語ではあります。季節感は薄いかもしれませんが。
初雪や濁りに潜む亀魚
山崎三才
夏井いつき先生より
「近所の、いつも緑に濁っている街中の川に初雪が降る。少し前の季節には、亀も魚も泳いでいた。清流にはほど遠い環境ながら、居心地はさほど悪くない様子だった。今は、川のどこかにじっと潜んでいるのだろうか」と作者のコメント。
下五は敢えて「亀・魚」と表記してみましょう。人選です。
「近所の、いつも緑に濁っている街中の川に初雪が降る。少し前の季節には、亀も魚も泳いでいた。清流にはほど遠い環境ながら、居心地はさほど悪くない様子だった。今は、川のどこかにじっと潜んでいるのだろうか」と作者のコメント。
下五は敢えて「亀・魚」と表記してみましょう。人選です。
雪ふるる傘を差す人差さぬ人
南全星びぼ
夏井いつき先生より
「雪ふるる」の「る」は不要ですね。「雪降るや」とでもすれば、五音になります。……まさか、「ふるる」はオノマトペ? 判断に迷います。
イブの日に白のコートで初デート
智
夏井いつき先生より
「初デート」という言葉に甘えず、別の表現がないか一考してみましょう。
雪明かり重めのワイン飲みながら
高見 正太
夏井いつき先生より
「雪明かり」「重めのワイン」の取り合わせは良いですね。下五「飲みながら」は必要でしょうか。
イルミ映え御伽の国は雪の花
飯島寛堂
夏井いつき先生より
「イルミ」という言葉の端折り方は、すでに市民権を得ているのでしょうか。「映え」が不要な動詞であるだけに、勿体なくも思います。
雪纏う赤れんが映えスマホとる
ラクダーマン
夏井いつき先生より
「纏う」「映え」は不要な動詞。要一考です。
除夜の鐘赤の庁舎で初デ-ト
素牛
夏井いつき先生より
「初デート」を、詩語として使いこなすのは至難の業。それほどの凡人ワードです。別の書き方を工夫してみましょう。
雪空や無抵抗なる文書の印
ならば粒あん
夏井いつき先生より
素材はよいです。「無抵抗なる文書の印」は、どういうニュアンスでしょう。ここの描写の精度をあげると、すぐに人選なのですが。
素材はよいです。「無抵抗なる文書の印」は、どういうニュアンスでしょう。ここの描写の精度をあげると、すぐに人選なのですが。
雪の夜にBGMは吾の耳鳴り
銀髪作務衣
夏井いつき先生より
「雪の夜」と「耳鳴り」の取り合わせは響き合います。「~に」という助詞が散文的であること、「BGM」という比喩が安易であること。この二点を考慮しつつ、推敲してみましょう。
「雪の夜」と「耳鳴り」の取り合わせは響き合います。「~に」という助詞が散文的であること、「BGM」という比喩が安易であること。この二点を考慮しつつ、推敲してみましょう。
父植えし柿取らぬまま白帽子
欣喜雀躍
夏井いつき先生より
たぶん「雪」と書くと、季重なりになるので、下五「白帽子」と見立てたのだと推測します。が、この句のように、書きたい光景が、「雪をのせた柿」であるのならば、「雪の柿」とでも表現すれば問題はありません。
たぶん「雪」と書くと、季重なりになるので、下五「白帽子」と見立てたのだと推測します。が、この句のように、書きたい光景が、「雪をのせた柿」であるのならば、「雪の柿」とでも表現すれば問題はありません。