第50回「雪の赤れんが庁舎」《ハシ坊と学ぼう!③》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
蔦纏いホフマン窯の眠りたる
神無月みと
夏井いつき先生より
「『纏う』はありきたりかと思いましたが、どうしても他の言葉が出てきませんでした」と作者のコメント。
「蔦」という植物の特性は、何かに這い上る=纏うものですから、やはりこの一語は損。「青蔦」ですか、「蔦紅葉」ですか。そこらへんも含めて、再考してみましょう。
「『纏う』はありきたりかと思いましたが、どうしても他の言葉が出てきませんでした」と作者のコメント。
「蔦」という植物の特性は、何かに這い上る=纏うものですから、やはりこの一語は損。「青蔦」ですか、「蔦紅葉」ですか。そこらへんも含めて、再考してみましょう。
小暗しきホフマン窯や冬薔薇
松芯
夏井いつき先生より
「小暗し」を連体形にするのならば、「小暗き」になるので、そこも含めて音数調整をしてみましょう。
「小暗し」を連体形にするのならば、「小暗き」になるので、そこも含めて音数調整をしてみましょう。
窓枠に頬杖ついている聖夜
一井かおり
夏井いつき先生より
中七下五「頬杖ついている聖夜」に対して、「窓枠に」は説明的。このような上五こそ、ちょっと冒険しましょう。
「○○○○や」と、季語ではない四音の単語を探して、いろいろ当てはめてみましょう。言葉の化学変化を楽しめる、筋トレです。
「○○○○や」と、季語ではない四音の単語を探して、いろいろ当てはめてみましょう。言葉の化学変化を楽しめる、筋トレです。
落つ雪の奥へ吸われて闇宇宙
小月
夏井いつき先生より
「落つ」が「雪」にかかるのであれば、「落つる」となります。
「落つ」が「雪」にかかるのであれば、「落つる」となります。
初雪に銀河を走る列車かな
勺子
夏井いつき先生より
上五「に」は散文的な助詞の使い方になっています。下五「かな」の詠嘆も含めて、推敲してみましょう。
上五「に」は散文的な助詞の使い方になっています。下五「かな」の詠嘆も含めて、推敲してみましょう。
足音で鍋に点火す雪の夜は
ふじこ
夏井いつき先生より
上五の「で」は散文的な使い方。語順も含めて、推敲してみましょう。
バロックの窓高し大鹿角落とす
海色のの
夏井いつき先生より
思い切った取り合わせです。が、その取り合わせの接点(作者の意図)が、イマイチ読み取り難い……。
部屋の燈を覗く角巻燐寸賣
一石 劣
夏井いつき先生より
「古いお話なので、旧漢字を使ってみました。悩み事があると作句に集中できませんね。先生は自分の置かれた状態をどうコントロールして作句されてきましたか?」と作者のコメント。
和製マッチ売りの少女? 旧字の効果うんぬんより、物語の場面を切り取ったという印象です。
「悩み事があると作句に集中できません」とのことですが、その悩み事そのものも俳句のタネです。夏井&カンパニー刊のポートフォリオ句集、夏井いつきの『悪態句集』を参照していただいて、是非その悩みを吐き出して下さい。
和製マッチ売りの少女? 旧字の効果うんぬんより、物語の場面を切り取ったという印象です。
「悩み事があると作句に集中できません」とのことですが、その悩み事そのものも俳句のタネです。夏井&カンパニー刊のポートフォリオ句集、夏井いつきの『悪態句集』を参照していただいて、是非その悩みを吐き出して下さい。
門の前たたずむ影や漱石忌
氷雪
夏井いつき先生より
上五を「門前に」とすれば、人選です。
冬の星ブルーに染まる観覧車
麦のサワコ
夏井いつき先生より
「横浜DeNAベイスターズの26年振りの日本一を祝って、横浜の観覧車がブルーに染まったことを詠みました」と作者のコメント。
「観覧車」だから、ライトアップの「ブルー」でしょうか。だとすれば、「~に染まる」は要一考の表現。お祝いだと分かるような言葉を入れると、挨拶句としても完成します。例えば、「祝勝のブルー○○○の観覧車」など。
「観覧車」だから、ライトアップの「ブルー」でしょうか。だとすれば、「~に染まる」は要一考の表現。お祝いだと分かるような言葉を入れると、挨拶句としても完成します。例えば、「祝勝のブルー○○○の観覧車」など。
昼下がり煉瓦の底の蜥蜴の目
Steve
夏井いつき先生より
描写をする意識があって、中七下五よいですね。上五を「○○○○や」と、季語ではない単語を詠嘆してみましょう。全体のバランスがとれて、カッコいい句になりますよ。
春驟雨友のメールは結婚報
竪山 ヒスイ
夏井いつき先生より
「親友が結婚したのを知ったのは、SNSです。事前に相談は受けていましたが……。その後いきなり知りました。まさかのSNSで。『本当におめでとう~』という気持ちを伝えましたが、驚きました。文字数の関係でメールにし、季語はとても迷いました。 心配もありますが、頑張ってほしい気持ちです」と作者のコメント。
下五「結婚報」が寸詰まりな表現です。「結婚のメール」とすれば、報告だと分かりますから、全体を推敲してみましょう。
「親友が結婚したのを知ったのは、SNSです。事前に相談は受けていましたが……。その後いきなり知りました。まさかのSNSで。『本当におめでとう~』という気持ちを伝えましたが、驚きました。文字数の関係でメールにし、季語はとても迷いました。 心配もありますが、頑張ってほしい気持ちです」と作者のコメント。
下五「結婚報」が寸詰まりな表現です。「結婚のメール」とすれば、報告だと分かりますから、全体を推敲してみましょう。
蔦茂る煉瓦の壁にジャズ流る
佳辰
夏井いつき先生より
中七の「~に」だけが気になります。「や」とすれば、人選。
中七の「~に」だけが気になります。「や」とすれば、人選。
登る月ロック片手にジャズを聴く
西山
夏井いつき先生より
上五を「○○○○や」と詠嘆を入れるか、語順を逆にして「月のぼる」とすれば、全体のバランスがとれます。
上五を「○○○○や」と詠嘆を入れるか、語順を逆にして「月のぼる」とすれば、全体のバランスがとれます。