第50回「雪の赤れんが庁舎」《ハシ坊と学ぼう!⑭》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
シャッターを押す指凍え聖樹の灯
柚伽
夏井いつき先生より
「凍え」も季語ではあります。が、この場合でしたら、指が凍えると書くのではなく、「聖樹の灯」が凍えるとすれば、季重なりのハードルがクリアしやすくなります。推敲してみましょう。
「凍え」も季語ではあります。が、この場合でしたら、指が凍えると書くのではなく、「聖樹の灯」が凍えるとすれば、季重なりのハードルがクリアしやすくなります。推敲してみましょう。
季重なり
初雪や赤きコートで待つ時間
紅緒
夏井いつき先生より
「初雪」と「コート」どちらも季語ではありますが。さて、どうしよう。
季重なり
あこがれの雪の世界も寒さあり
へばらぎ
夏井いつき先生より
「雪」「寒さ」どちらも季語ですね。
「雪」「寒さ」どちらも季語ですね。
季重なり
冬灯屋台の湯気と悴む手
酒呑走人
夏井いつき先生より
「冬灯」と「悴む」どちらも季語ではあります。どちらを主たる季語にしたいか。この句の場合は、季語を一つにしたほうが、意図が鮮明になりそうです。
「冬灯」と「悴む」どちらも季語ではあります。どちらを主たる季語にしたいか。この句の場合は、季語を一つにしたほうが、意図が鮮明になりそうです。
没収のジャムの如し柚子を煮る
山女
夏井いつき先生より
「第48回「鍋一杯の柚子ジャム」〈没収の大瓶何処へ柚子茶かな〉を推敲しました。柚子に焦点を当ててみました」と作者のコメント。
どんなニュアンスを表現したのか、都度コメントに書いてもらえるとありがたく……。それが、ちょっと読み取れないので、アドバイスに悩みます。
どんなニュアンスを表現したのか、都度コメントに書いてもらえるとありがたく……。それが、ちょっと読み取れないので、アドバイスに悩みます。
雪をんな赤い庁舎の入り口に
白よだか
夏井いつき先生より
「更に向上したいと強く思っています! 並選に入るよりもハシ坊で駄目だしして頂いた方がありがたく思いますので、よろしくご指導下さいませ」と作者のコメント。
ようこそ、おウチde俳句くらぶへ! ハシ坊は、駄目出しではなく、改善の提案です。「ハシ坊=マナ坊(学ぼう)」であると、ご理解下さい。自句へのハシ坊コメントのみならず、他の人へのコメントをじっくりと読み込むと、俳筋力はかなりついていきます。一緒に、筋トレを楽しみましょうね。
さて、この句ですが、今回の兼題写真から、「雪女」が出てくる句が結構あったのは、ささやかな驚きでした。そういう意味では、「雪をんな」の必然性として中七下五は少々食い足りない。兼題写真は、あくまでも発想のジャンピングボード。兼題写真の要素を入れることよりは、俳句として結球させることのほうが重要です。
「更に向上したいと強く思っています! 並選に入るよりもハシ坊で駄目だしして頂いた方がありがたく思いますので、よろしくご指導下さいませ」と作者のコメント。
ようこそ、おウチde俳句くらぶへ! ハシ坊は、駄目出しではなく、改善の提案です。「ハシ坊=マナ坊(学ぼう)」であると、ご理解下さい。自句へのハシ坊コメントのみならず、他の人へのコメントをじっくりと読み込むと、俳筋力はかなりついていきます。一緒に、筋トレを楽しみましょうね。
さて、この句ですが、今回の兼題写真から、「雪女」が出てくる句が結構あったのは、ささやかな驚きでした。そういう意味では、「雪をんな」の必然性として中七下五は少々食い足りない。兼題写真は、あくまでも発想のジャンピングボード。兼題写真の要素を入れることよりは、俳句として結球させることのほうが重要です。
道庁のだるまストーブどっしりと
木苺
夏井いつき先生より 評価 並
「ハシ坊で添削してもらえたら嬉しいです」と作者のコメント。
おウチde俳句くらぶは、添削ありきではなく、推敲する力=俳筋力をつけることを旨としています。「道庁のだるまストーブ」というフレーズはよいですね。このままでも、並選レベルは確保できています。これを更にブラッシュアップするとすれば、「どっしりと」の下五。上五中七で、十分どっしり感は出ていますね。残り五音をどう使うか。ここが、人選への関門です。
おウチde俳句くらぶは、添削ありきではなく、推敲する力=俳筋力をつけることを旨としています。「道庁のだるまストーブ」というフレーズはよいですね。このままでも、並選レベルは確保できています。これを更にブラッシュアップするとすれば、「どっしりと」の下五。上五中七で、十分どっしり感は出ていますね。残り五音をどう使うか。ここが、人選への関門です。
冬館栄華伝へる銀食器
深山ほぼ犬
夏井いつき先生より
「旧華族が住んだ洋館を訪れた時に詠みました」と作者のコメント。
中七が惜しいです。その「銀食器」を映像として描写しましょう。それが、読者の脳内に映像として再生された時、読者は「栄華を伝えているなあ」と思えるのです。
牛丼ふたつ赤の庁舎の雪よ
ひかりき
夏井いつき先生より
「牛丼」と「庁舎の雪」の取り合わせがよいですね。「赤の」は兼題写真の光景を入れようと配慮したのだと思いますが、写真はあくまでも発想のジャンピングボード。そちらに引きずられなくてよいですから、俳句として一番よい形を選び取って下さい。人選は目の前です。
雪の装飾光彩の史跡かな
辣油酒
夏井いつき先生より 評価 並
書きたいことはおおよそ伝わります。これで並選レベルは確保しているのですが、中七「装飾光彩の」の部分が、ぼんやりとしたイメージに終わっています。どんな「史跡」なのか、もう少し映像を描いて下さると、季語「雪」が生きてきます。
雪の夜のマッチ売りの少女と赤レンガ
岩田くみこ
夏井いつき先生より
中七は極力七音にするのが、定石です。「マッチ売りの少女」という童話の名前を外したくないのならば、上五字余りのテクニックを使うのが、これまた定石。
イルミと雪ベタでもいいの初デート
みやび
夏井いつき先生より
言いたいことも、お気持ちも分かります。が、やはり俳句としては、ベタは辛い。特に、「初デート」は難易度の高い凡人ワード。「初デート」と書かずに、それを匂わすことができる俳筋力を養っていきましょう。
夢ひとつ越す友の背に名残り雪
蒼井憧憬
夏井いつき先生より
「今年(2024年)まで大学職員で、大阪から上京していく学生を送り出していたのですが、彼らの目には夢一つばかりだったなぁと思い、詠みました。夢を追い、去る友と、夢を持ちながら残る自分、という名残惜しさや悔しさ、寂しさを『名残り雪』に込めました。ちなみに四月から私も上京。しかし九月に鬱になり自宅に篭ることに。十月から俳句を始め、心が上向いてきて入会してみました。俳句に救われています。ありがとうございます」と作者のコメント。
俳句は、映像と同じで、モノや光景を描くことで、その背後に自分の心情を滲ませる。そこが基本です。この句を例に取ると、「友」と「名残り雪」は映像ですね。「夢ひとつ越す」と書かず、友の表情や動作を描写することで、それを伝えることができたらカッコイイよね。
俳句は、映像と同じで、モノや光景を描くことで、その背後に自分の心情を滲ませる。そこが基本です。この句を例に取ると、「友」と「名残り雪」は映像ですね。「夢ひとつ越す」と書かず、友の表情や動作を描写することで、それを伝えることができたらカッコイイよね。
手の甲や白に隠れし冴ゆる赫
飾る
夏井いつき先生より
「初めての投句になります! 赤れんが庁舎前で誰かを待っている句を詠んでみました。私自身、雪が次第に強くなる中、腕時計を見て、『まだ来ないのかな?』と待たされた経験があります。時間経過と共に気持ちもどんどん下がってしまい、どんよりしちゃいました」と作者のコメント。
ようこそ、おウチde俳句くらぶへ♪
一句の言葉から、「雪が次第に強くなる中、腕時計を見て」という場面は伝わってきません。「冴ゆ」という季語は入っていますが、「白」が雪だと読み切れないのも問題です。まずは、素直に自分の体験を書いてみましょう。季語は「雪」、そして「腕時計」というモノを取り合わせるところから、レッツトライ!
「初めての投句になります! 赤れんが庁舎前で誰かを待っている句を詠んでみました。私自身、雪が次第に強くなる中、腕時計を見て、『まだ来ないのかな?』と待たされた経験があります。時間経過と共に気持ちもどんどん下がってしまい、どんよりしちゃいました」と作者のコメント。
ようこそ、おウチde俳句くらぶへ♪
一句の言葉から、「雪が次第に強くなる中、腕時計を見て」という場面は伝わってきません。「冴ゆ」という季語は入っていますが、「白」が雪だと読み切れないのも問題です。まずは、素直に自分の体験を書いてみましょう。季語は「雪」、そして「腕時計」というモノを取り合わせるところから、レッツトライ!
着ぶくれぬコーデ思案し初デート
のなめ
夏井いつき先生より
「おウチde俳句くらぶ、初投句です。これからどうぞよろしくお願いいたします」と作者のコメント。
はい、ようこそおウチde俳句くらぶへ♪
なぜか今回の兼題写真から「初デート」を思った人たち、そこそこいたようです。「初デート」という言葉は、なかなかの凡人ワード。この言葉を使って、それなりの十七音詩にするには、かなり強靱な俳筋力を必要とします。『プレバト!!』にもよく出てくる言葉ですが、平場の出演者は皆撃沈しています。「初デート」と書かずにそれを想像させる。後半「思案し」も不要な言葉ですので、そこも含めて、再考してみましょう。
「おウチde俳句くらぶ、初投句です。これからどうぞよろしくお願いいたします」と作者のコメント。
はい、ようこそおウチde俳句くらぶへ♪
なぜか今回の兼題写真から「初デート」を思った人たち、そこそこいたようです。「初デート」という言葉は、なかなかの凡人ワード。この言葉を使って、それなりの十七音詩にするには、かなり強靱な俳筋力を必要とします。『プレバト!!』にもよく出てくる言葉ですが、平場の出演者は皆撃沈しています。「初デート」と書かずにそれを想像させる。後半「思案し」も不要な言葉ですので、そこも含めて、再考してみましょう。
季語なし
うらめしや裏で働くイルミネーションの
小川 彩夢
夏井いつき先生より
「イルミネーションで彩られた街は明るく楽しそうだけど、その裏で働いている人たちはそれどころじゃないだろうなと思い、中には恨めしく思っている人もいるのではないか、と想像しました」と作者のコメント。
「イルミネーション」の「裏で働く」という発想は良いです。ただ、季語はやはり入れたいですね。上五「うらめしや」という感情を書く必要はないので、そこも含めて再考してみましょう。
「イルミネーションで彩られた街は明るく楽しそうだけど、その裏で働いている人たちはそれどころじゃないだろうなと思い、中には恨めしく思っている人もいるのではないか、と想像しました」と作者のコメント。
「イルミネーション」の「裏で働く」という発想は良いです。ただ、季語はやはり入れたいですね。上五「うらめしや」という感情を書く必要はないので、そこも含めて再考してみましょう。
赤れんが時計台を思い出し
小川 彩夢
夏井いつき先生より
明確な季語が欲しいところです。「~を思い出し」は不要な言葉ですから、そこも含めて推敲して下さい。
明確な季語が欲しいところです。「~を思い出し」は不要な言葉ですから、そこも含めて推敲して下さい。
大根の揚げられたるやスープカレー
爪太郎
夏井いつき先生より
「大根の揚げ」たものと「スープカレー」の取り合わせは、意外性がある美味しさ。中七「られたるや」の部分、もう少しシンプルに書きたいですね。
「大根の揚げ」たものと「スープカレー」の取り合わせは、意外性がある美味しさ。中七「られたるや」の部分、もう少しシンプルに書きたいですね。
初デート君と雪見し赤れんが
つきみちる
夏井いつき先生より
「赤れんがでデートや、好きな人と一緒に雪を見る……というロマンチックの定番を句にしました」と作者のコメント。
「初デート」という言葉は、結構つかわれる凡人ワードです。この言葉を使って、それなりの十七音詩にするには、かなり強靱な俳筋力を必要とします。まずは、イメージで俳句を作るのではなく、兼題写真から思い出すことのできる自分の経験を探してみましょう。そこに、貴方だけのオリジナリティやリアリティのある俳句のタネがあります。
「赤れんがでデートや、好きな人と一緒に雪を見る……というロマンチックの定番を句にしました」と作者のコメント。
「初デート」という言葉は、結構つかわれる凡人ワードです。この言葉を使って、それなりの十七音詩にするには、かなり強靱な俳筋力を必要とします。まずは、イメージで俳句を作るのではなく、兼題写真から思い出すことのできる自分の経験を探してみましょう。そこに、貴方だけのオリジナリティやリアリティのある俳句のタネがあります。
雪の舞見ては思いしあの頃を
吉川ゆふみ
夏井いつき先生より
「赤レンガと聞いて、横浜の赤レンガ倉庫であったダンスパフォーマンスのことを思い出して詠みました」と作者のコメント。
「あの頃」がどんな頃なのか、ヒントが欲しいところです。中七「見ては思いし」は不要な言葉ですから、そこを外して、映像を入れてみましょう。
「赤レンガと聞いて、横浜の赤レンガ倉庫であったダンスパフォーマンスのことを思い出して詠みました」と作者のコメント。
「あの頃」がどんな頃なのか、ヒントが欲しいところです。中七「見ては思いし」は不要な言葉ですから、そこを外して、映像を入れてみましょう。