写真de俳句の結果発表

第50回「雪の赤れんが庁舎」《人》⑤

第50回「雪の赤れんが庁舎」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

 

※結果発表欄では添削した形で句を掲載する場合がありますが、「マイ句帳」に収録される句は投稿した段階の句がそのまま保存され、投稿以降の修正や削除は不可となっております。予めご注意願います。

【第50回 写真de俳句】《人⑤》

残業の机にうすき聖菓くる
水須ぽっぽ
新雪を踏む就活のローヒール
水須ぽっぽ
妬み来た握りつぶした星月夜
こころ美人
ヘッドライトを見し冬鹿の目の虚空
紅玉
落葉松散る森のおやつはラクレット
紅玉
銀行はまだ混んでゐる吸入器
たけろー
赤信号ばかり目に入る冬の暮
美輝
恋心ゆき降る街に戻りけむ
岸野ゆり
初雪の降りだす気配求婚す
岸野ゆり
初孫産まる橇の鈴ひそやかに
かや楓
新雪に長靴埋まる早出かな
ねこじゃらし
煉瓦棟の透かし模様や六花
ねこじゃらし
雪の日や取り出してみる写真帳
亡き父の日記読む夜や雪はげし
キーツの『ゆきのひ』冬靴の鳴る帰路
モト翠子
赤銅の八角塔や冬銀河
モト翠子
同僚も残業仲間クリスマス
渥美 謝蕗牛
初景色行幸通りまつすぐに
わおち
凍て風に橇ひく犬らの長き舌
阿呆鳥
煌めきの街路樹ひとり冬の月
くさもち
凍星の聲をアンテナ傍受せり
葉村直
十二月八日の傘を水平に
葉村直
井井たる煉瓦の壁や細雪
水きんくⅡ
電飾の果ててほんたうの聖夜
水きんくⅡ
雪霏霏と断絶続く国境に
理佳おさらぎ
代はる代はるせがむ添寝や冬籠
理佳おさらぎ
約束は轍となりて雪積もる
桐山はなもも
肩の雪払うミサンガ銅鑼響く
桐山はなもも
ビルの壁をアンモナイトの弧の冷た
佐藤レアレア
雪の夜や聖書をめくる音かろし
佐藤レアレア
煉瓦てふ巨体の鼓動十二月
そーめんそめ女
クリスマス白いイヤフォン外す彼
浅田香歌
五年目の冬プラチナの煌めけり
浅田香歌
冬の日や見送る母の影細し
ふじっこ
馬車降りて冬の館へ鬚の人
こま爺
電飾が消え透きとおる年の夜
にゃんちゅう
肉買って仕事納めやファンファーレ
にゃんちゅう
六花ホテルのやうな旧庁舎
みなごん
北三条西六丁目雪のなか
みなごん
窓に残業の灯赤煉瓦に雪
花岡貝鈴
横浜の埋め立て地行き場無き雪
立石神流
旅帰る詩篇微かにクリスマス
イケダエツコ
ゴスペルの歌声雪と踊る夜
イケダエツコ
冴ゆる星あれがあの子のいるところ
凛ひとみ
寒風のななめ通りを帰りけり
キャロット えり
冬灯蒼い地球は眠らない
兎波
鐘凍るけふ何もかも失った
コンフィ
ポケットの孤独聖夜の雑踏を
喜多郎
冬北斗深き眠りの開拓使
喜多郎
空見上げ人待つ人や十二月
青井季節
右手父左手は母ミトンの手
さとうナッツ
降る雪や庁舎の赤き八角塔
立川猫丸
馬車に園児聖夜を祝うキンコロカン
谷 ゆり乃
雪荒ぶ夜はごとごと角煮煮る
谷 ゆり乃
鉛筆の短かりける寒灯
うくちゃんま
青信号へアップビートの聖樹の灯
紫すみれ
始末書の添削二箇所冬の月
紫すみれ
椎の木の樹齢三百冬の月
秋野しら露
着膨れて碇泊船の燈の明し
秋野しら露
ポラリスへ伸びる木立や冬館
麦野 光
雪予報始業遅延のアナウンス
松本厚史
進学の吾子初めてのブーツ買ふ
松本厚史
無音とはたとへば雪の一片め
広島じょーかーず
所持金は三円初雪の上京
広島じょーかーず
ディスプレイ動くシュタイフクリスマス
糸桜
道民の影の豊かに着膨れて
柿司 十六
潔白や友好の碑に積もる雪
柿司 十六
餞別のハンカチ選ぶ雪の街
咲野たまふく
来た見た撮った食った酔った雪だ
たきるか
ぐるぐるとマフラー巻きて旅初日
谷川ふみ
出港を待つ日本海雪催
谷川ふみ
庁舎に灯除雪マップを書き足す夜
美織
風花やすまなささうに消す煙草
青井えのこ
雪野てふ清潔な死の横たふ無
青井えのこ
灯冴ゆる東京駅ウエディングフォト達
のりのりこ
雪捨場風のなきがら呼び寄せゐ
せんかう
今日と決め婚姻届雪催
サリー
市庁舎へ右折のサイン冬の雲
サリー
真夜中の選挙特番毛糸編む
咲山ちなつ
冬椿文房堂の油絵具
咲山ちなつ
それぞれの遊具の形深雪晴
天風さと
降る雪や庁舎の窓の人の影
釋愚拙
亡国や開拓村の冬北斗
玄子
百年の定礎の静か月氷る
玄子
シャンソニア果てて四ツ谷に雪の花
たじまはる
ロビー中に怒号滑走路に吹雪
伽葉子
初雪の揺らぎやカリンバは響く
七森わらび
冷まじき河万里なる緒を見たし
宙朔
地吹雪や塩狩峠越える汽車
孤寂
カウンターに油染む号外雪
夏海 凛
ファのベルの下手くそな間やクリスマス
野菜α
クリスマスブリュレの焦げの香の厨
野菜α
初雪や階段に鳴る靴の音
出雲のたみちゃん
虎落笛わたしの中に小さな死
慈夢りん
法規とは馬車の鞭なり雪しまき
うーみん
スーツ脱ぎ捨てる聖夜の更衣室
ユリノキ
給湯室のシンク磨いている聖夜
ユリノキ
ストーブの上に土鍋のチリコンカン
ふのんへん宗悟
蹄持つものの数多や雪の朝
ふのんへん宗悟
割り箸のささくれ立つやクリスマス
壱時
聖夜のクラシック空席の花束
壱時
メサイアをイヤホンで聴く聖夜かな
久木しん子
ホワイエにシャンパンの香と聖樹の灯
久木しん子
くしやくしやのリュック聖夜の駅ピアノ
山口さと子(月野うさぎ)
電飾の雪の庁舎や君の嘘
さふらん
着膨れて膝の混み合ふ路線バス
霧賀内蔵
忘れ物係に小さき冬帽子
霧賀内蔵
いちめんのなのはなを背に転校す
看做しみず
既読つかずアパート前の雪明り
看做しみず
寒灯や人けの絶えし緩和室
志きの香凛
秋爽や電飾の骨白々と
雪花
おしるしの朝かすかなる雪の声
おおい芙南
義士の日や答弁案の打ち消し線
おおい芙南
庁舎ゆゑせはしく六花降り積もる
水鏡新
雪紐や禁忌の書物校閲す
水鏡新
手袋を脱いで屋台の味卵
森 健司
黄落や八角塔はしずかなり
ひーちゃんひーちゃん
冬の赤煉瓦雨樋に緑青
山本八
冬の灯やブロンズ像の白きあと
山本八
雑踏や暑さばらまくボロバイク
水越千里
シーン2の人工雪や星月夜
水越千里
バス停と庁舎はじっこの雪だるま
比園 岳
金秋の道都赤レンガの威容
眼蔵
転出を届けし庁舎斑雪踏む
ひまわり
住職は役場の課長春の泥
ひまわり
電飾を落としてからの枯木星
多数野麻仁男
降り立ちて赤れんが駅雪激し
雪椿
病む夫はまなざしで問う「初雪か」
小島やよひ
路地は闇抱く赤子の息白し
福朗
空っぽの被災の家や雪しんしん
福朗
休館の道庁オリオンは不眠
白庵
緑青の屋根真上から冬の月
和脩志
青色の風花散りぬ奥歯痛
大日向都
息白しもう葬式は終わったか
ざぼん子
あやとりは天窓の下雪の声
古乃池 糸歩
国境に瓦礫の迷路鳥渡る
ラテ
村役場コピー機光る十二月
ラテ
淡々と二人に戻るクリスマス
なみきたか
痛さうな街の電飾十二月
久えむ茜咲
青白き轍の天へ降誕祭
青田道
もみの木を蹴つて凍月揺らしけり
清水縞午
聖燭やガザに燃ゆる子燃ゆる母
清水縞午
星月夜産毛の先の重力波
感受星 護
「死亡者数」ネオン流るる街は除夜
感受星 護
南吉の狐の影や街灯り
睦花
咳の子と聖燈の下で待つ今宵
ただなかのめ
残業を終へし二人の窓に雪
正宗一孝
豪雪のドライバーおにぎりを食む
凍つる夜の赤きカンテラ油さす
母の病室木枯を聞き澄まし
冬うらら老人施設見学会
クリスマス小さき手で押す車椅子
ちよ坊
手轆轤のサラダボウルよ山粧う
銀猫
君の息潜むカセット聴く聖夜
ひいらぎ
雪の花リタルダンドのハンドベル
満生あをね
十字架のステンドグラス白鳥来
春野ぷりん
雪晴れやレンガ庁舎へバターの香
千寿 ココ
雪合戦笑い転げてまだ乙女
八重山吹
雪明り犬と行く足跡真直ぐ
やぎみか
県庁の床の歪みや掃納
雄蹴
残業の灯りの中へ雪の声
山尾幸正
六花クラーク像の示す指
山尾幸正
聖菓焼くオーブン曇りゆく未明
勇緋ゆめゆめ
水溜り踏む聖夜の灯また生まる
勇緋ゆめゆめ
クリスマス訪問看護師入院す
天橋立右彩
教室のクロノスタシス聖夜未だ
ぎゅうたん
近藤は休み雪ならそりゃさうか
ぎゅうたん
トンネルをぬければ雪の庁舎かな
素牛
底冷や金平糖のガラス瓶
となりの天然石
タワマンの白き灯銘々の聖夜
となりの天然水
緑青の屋根に親しき斑雪
鳥乎
地図に追うスマホのゆくえ雪催
鳥乎
つま先を父力作の竹馬に
山崎三才
冬うららジャズの流れる鮮魚店
海老名てんてん
道庁の赤色幽か雪しまき
はるを
網走の獄舎の門の雪だるま
はるを
病窓を雪積もる音溶ける音
夏村波瑠
マフラー巻く耳朶の孤独を守るごと
夏村波瑠
ギター投げ銭仕舞ふ背に雪一二片
前田いろは
初雪の上に教はるキリル文字
三浦海栗
雪下麦ヲ出ダス早暁クラーク像
三浦海栗
雪女のアメジスト借り婚約す
まるるん
夫を追ふ足先痛し雪催
岳陽
蛍光灯切れし師走の旧校舎
雉虎緑目
推定と書かれた忌日虎落笛
江口朔太郎
鐘氷る老尼の細きアヴェマリア
江口朔太郎
べと雪に足取られしか一浪す
大月ちとせ
二百五十万個のれんが六花
大月ちとせ
聖夜の劇場「クララ」は社長の子
天雅
クレーシェの飼葉桶やがて来る聖夜
天雅
朱のコート脱いでカチンコまで五秒
藤央
ストーブやとんがり屋根はビスケット
華柊
ふたご座にグラス一つのクリスマス
蛇の抜け殻
鈍色の歌へ投げ銭聖樹の灯
さく砂月
ポインセチア兄ちゃんばっかえこひいき
さく砂月
年惜しむ夜や勤行は静かなり
新米にぎりめし
誰を待つやゆきしまく夜に靴無き児
新米にぎりめし
インスタントハウス静かなる聖樹
翡翠工房
凍蝶の触るる硝子の靴の先
翡翠工房
今朝の雪終着駅の赤煉瓦
のの夏