第51回「味噌づくり」《ハシ坊と学ぼう!③》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
季語なし
味噌どこ?と遺影の母に聞いている
わぎゃん
夏井いつき先生より
「先月に母が亡くなり父が一人なので、子ども達をつれて夜ごはんを作りにいったりしています。お味噌がどこにあるかわからなかったので、その時の思い出を俳句にしました」と作者のコメント。
明確な季語を入れてみましょう。思い出がさらに鮮明になります。
「先月に母が亡くなり父が一人なので、子ども達をつれて夜ごはんを作りにいったりしています。お味噌がどこにあるかわからなかったので、その時の思い出を俳句にしました」と作者のコメント。
明確な季語を入れてみましょう。思い出がさらに鮮明になります。
季語なし
チョコ玉つまむ老視に味噌玉よ
鶴喰 照
夏井いつき先生より
この「味噌玉」は、春の季語としてのそれではなく、お弁当などに添える簡易の味噌汁のための「味噌玉」ではないかと。だとすると、季語の「味噌玉」とは別物になります。
この「味噌玉」は、春の季語としてのそれではなく、お弁当などに添える簡易の味噌汁のための「味噌玉」ではないかと。だとすると、季語の「味噌玉」とは別物になります。
季語なし
大樽や一年分の母の味噌
石田ひつじ雲
夏井いつき先生より
季語が入ってなかったということで、追加の一句が別に届いています。とはいえ、上五「大樽や」という入り方は悪くないと思います。こちらの方も再考してみましょう。
季語なし
ドカ弁やひとさじの味噌隅に添え
まちつぼ
夏井いつき先生より
「ドカ弁や」という上五は面白いのですが、「味噌」だけでは季語にならないなあ……。
「ドカ弁や」という上五は面白いのですが、「味噌」だけでは季語にならないなあ……。
季語なし
味噌団子風呂入り前の小僧かな
Aki
夏井いつき先生より
中七の意味を読み解きかねています。「味噌団子」と「風呂入り前の小僧」はどう関係するのか?
中七の意味を読み解きかねています。「味噌団子」と「風呂入り前の小僧」はどう関係するのか?
季語なし
兼題になり知る味噌の功罪や
小川 茜園
夏井いつき先生より
「苦し紛れの二句目です。調べるほどに奥が深く、一点に焦点を絞るのがどんどん難しくなり……味噌が日本で生まれたのではないか? と言われていることも興味深いです。良いことについての比喩表現があるかと思えば、『味噌も糞も一緒』というように、こき下ろす表現に使われていたりします。日本人が使いやすい存在なんですね」と作者のコメント。
お気持ちは分かります。俳句としては、明確な季語がない点がやはり気になります。
「苦し紛れの二句目です。調べるほどに奥が深く、一点に焦点を絞るのがどんどん難しくなり……味噌が日本で生まれたのではないか? と言われていることも興味深いです。良いことについての比喩表現があるかと思えば、『味噌も糞も一緒』というように、こき下ろす表現に使われていたりします。日本人が使いやすい存在なんですね」と作者のコメント。
お気持ちは分かります。俳句としては、明確な季語がない点がやはり気になります。
季語なし
味噌団子数の分だけ安らかに
サマッケニコ
夏井いつき先生より
この「味噌団子」とは、文字通りの味噌味の団子? 春の季語「味噌玉」のこと? あるいは、最近お弁当に添えてあって、お湯に溶いて味噌汁にするアレ? 読みを特定するのが、少々難しい。
この「味噌団子」とは、文字通りの味噌味の団子? 春の季語「味噌玉」のこと? あるいは、最近お弁当に添えてあって、お湯に溶いて味噌汁にするアレ? 読みを特定するのが、少々難しい。
季語なし
悠久のチェロに揺らされ味噌団子
サマッケニコ
夏井いつき先生より
「緩やかなチェロの音色と共に、熟成されていく味噌を詠みました」と作者のコメント。
こちらは、作者コメントに「熟成されていく味噌」とあるので「味噌玉」のことなのかなあ……?
「緩やかなチェロの音色と共に、熟成されていく味噌を詠みました」と作者のコメント。
こちらは、作者コメントに「熟成されていく味噌」とあるので「味噌玉」のことなのかなあ……?
季重なり
味噌搗いてころんと昼寝西日さす
枝葉
夏井いつき先生より
「昼寝」「西日」は夏の季語です。
「昼寝」「西日」は夏の季語です。
季重なり
味噌造り冬の用意のはじめとす
八かい
夏井いつき先生より
「季重なりでしょうか?」と作者のコメント。
季重なり、ではありますね。「味噌作り」を主たる季語として、再考してみましょう。
「季重なりでしょうか?」と作者のコメント。
季重なり、ではありますね。「味噌作り」を主たる季語として、再考してみましょう。
季重なり
古希の祖母額に汗し味噌づくり
ごとう真樹
夏井いつき先生より
「汗」も季語ではありますが……。
「汗」も季語ではありますが……。
季重なり
凩を帰る人へと根深汁
ポメラニアン
夏井いつき先生より
「凩」「根深汁」どちらも季語ではあります。
「凩」「根深汁」どちらも季語ではあります。
季重なり
松明けの女房三人味噌を搗く
水木合歓
夏井いつき先生より
「松明け」「味噌搗き」どちらも季語ではあります。
「松明け」「味噌搗き」どちらも季語ではあります。
季重なり
寒夜の聖歌炊き出しの豚汁
種月 いつか
夏井いつき先生より
「息子が中高生(カトリック系の学校)の時に、教会の炊き出しに行っていたのを思い出しました」と作者のコメント。
「聖歌」も季語ですね。
「息子が中高生(カトリック系の学校)の時に、教会の炊き出しに行っていたのを思い出しました」と作者のコメント。
「聖歌」も季語ですね。
季重なり
寒の水祖母は白菜漬けにけり
桃花
夏井いつき先生より
「寒の水」も「白菜」も季語ですね。この場合でしたら、「寒の水」を外して再考してみましょう。
「寒の水」も「白菜」も季語ですね。この場合でしたら、「寒の水」を外して再考してみましょう。