写真de俳句の結果発表

第51回「味噌づくり」《天》

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

第51回のお題「味噌づくり」

51

 

味噌玉のほどなく解脱しさうな香

髙田祥聖

 

「解脱」とは、仏教の言葉で、縛るものを離れ自由になる意。心を煩わせたり悩ませたりする様々な束縛から放たれ、自由闊達な心の境地を手に入れることなのだそうです。

それにしても、「味噌玉」と「解脱」の取り合わせに意表を衝かれました。が、何度も読んでいるうちに、大豆というモノが発酵という手順をかさねて、味噌という解脱を目指しているような気がしてくるから、言葉の力って凄いし、面白いですね。

煮られ砕かれた大豆に麹と塩を混ぜ、丸められたものが「味噌玉」。この不思議な物体は、本当の味噌になっていくための熟成期間に入っていきます。藁苞に包んで炉の上で熟させるにしても、味噌樽に叩きつけられ、押し付けられて熟成されるにしても、ここからが味噌への解脱の始まり。

味噌玉となった大豆のほの甘い匂いが、「ほどなく解脱しさうな香」だとすれば、解脱とは味噌の匂いなのだと、当たり前の結論に妙に頷かされます。これから、味噌汁を食すたびに、解脱の香りなのだと、礼深く頂こうと思う次第です。 

“夏井いつき”