第54回「パンダと観覧車」《ハシ坊と学ぼう!①》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
2歳になるときに日本に来て、30歳で返還されたオスパンダの永明(えいめい)が、観覧車を背に昼寝している写真です。パンダの30歳は、人間でいえば90歳ぐらい。この曲がった背に年齢を感じます。永明はメスに優しくて、16頭のこどもを成した、浜家の家長でもあります。竹にこだわりがあって、好みの竹が出てくるまでフンフン鳴くのだそうです。永明と観覧車に、いろいろな想像を膨らませてください。場所は和歌山県のアドベンチャーワールドです。
結城碧都
季語なし
潮騒やぽつんとパンダ生きている
四方うみ哉
「下五を迷いました。最初はパンダの独特な座り方を見て『座ってる』としたのですが、パンダが座っているだけになってしまう気がして、やめました。最終的にもっとストレートに『存在している』という感じの言葉にしてみたのですが、いかがでしょうか」と作者のコメント。
「潮騒」は季語にはなりませんが、中七下五の口語のフレーズは使えるなと。


季語なし
アドヴェンチャ観覧車へ飛び乗るか
洲青
季語はどれでしょう?


季語なし
曇天を見つめて終えし観覧車
秋田のやまちゃん


季語なし
観覧車110㎝は大人です
宙海(そおら)
「110㎝は大人です」というフレーズは使えますね。が、季語は欲しい。


季語なし
遊園地出ればカチューシャすぐ外し
三浦にゃじろう
明確な季語はありませんが、無季で押し通す? この素材は、むしろ短歌にしたほうがよいかもしれません。


季語なし
観覧車知らなかったんだ苦手だって
かよいみち
季語がありませんね。「観覧車苦手だったって」とでも書けば、「知らなかった」と書かなくても伝わります。


季語なし
晴天に観覧車まつパンダかな
とまま
明確な季語は欲しいですね。「晴天」は季語ではないですね。


季語なし
咲いた咲いた母百歳のハーモニカ
芳野
中七下五はできていますので、上五に明確な季語を入れましょう。


季語なし
故郷を知らぬパンダは遊園地
丘るみこ
明確な季語は欲しいですね。


季語なし
チョコよりもバニラが好きよ夢の国
藤華靖麿
「チョコ」も「バニラ」も季語ではありませんね。


季語なし
白黒と巡りめぐって胡座かき
永順
季語がないことも勿論なのですが、この書き方だと「白黒」がパンダであるとは読みとれません。まずは、「パンダ」の一語を入れて、再考して下さい。ご一緒に、コツコツ学んでまいりましょうね。


季語なし
笹を喰み故郷想う大熊猫かな
永順
「パンダってのんびりしていて、タイヤでブランコしたり、きままな感じ。笹を食べながら中国の奥地に、思いを馳せること、あるのかなぁ」と作者のコメント。
明確な季語がありません。作者コメントの中に「ブランコ」とありますが、これが春の季語になるので、一考してみましょう。


季重なり
パンダの子一人遊びし春うらら
木田白老(きだ しらおい)
「うらら」は春の季語。「春」をつけると季重なりです。


季重なり
右に磯左春麗観覧車
立士
やろうとしていることは佳いと思います。左に見えるものが「春麗」となっていますが、「麗」だけで春の季語なので、そこに「春」がくっつくと季重なりになります。


季重なり
春の雨観覧車から霞む海
卯の花 京
「霞」も季語ではあります。


季重なり
夏果てるアイス持たされ手を引かれ
古都 斗織
「アイスクリーム」=「氷菓」も季語ではあります。


季重なり
春うらら空飛ぶ夢はもう見ない
伊藤括弧


季重なり
春うららパンダ寝ころぶ遊園地
ハチワレだいこん
「うらら」だけで春の季語です。「春」をくっつけると季重なりになります。

