第54回「パンダと観覧車」《ハシ坊と学ぼう!③》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
季重なり
永き日に観覧車聞きパンダ昼寝
丘るみこ
まずは、上五を「永き日や」と言い切ってみましょう。そこから、「観覧車」との取り合わせで一句。更に、「パンダ」との取り合わせで一句と、切り分けて二句にしてみましょう。


季重なり
客優しパンダは昼寝山笑う
恵翠
「~優し」の終止形で切れ、「パンダは昼寝」で意味の切れ目がありますので、三段切れです。更に、パンダではあるけれど、「昼寝」は夏の季語だということも覚えておきましょう。


季重なり
ロープウェイ遍路一色紅葉狩り
雪割草
「遍路」は春の季語です。


季重なり
観覧車より数えるパンダ春うらら
鈴なりトマト
「うらら」は春の季語。「春」をくっつけると季重なりです。


季重なり
春うらら富士と真っ赤な観覧車
岳陽
「うらら」だけで春の季語です。「春」が入ると季重なりになります。


季重なり
ミモザ咲く昼寝のパンダ吾子も寝る
華柊
「昼寝」も季語です。別の言い方にかえてみましょう。


季重なり
満腹のパンダうとうと春うらら
長楽健司
「うらら」は春の季語。「春」をつけると季重なりになります。


季重なり
春の園のんびり昼寝パンダかな
奥井宣風
「昼寝」も季語ではあります。


季重なり
春うらら慣れて逞し観せパンダ
山田季聴
「うらら」は春の季語。「春」をくっつけると、季重なりになります。


季重なり
春の宵観覧車ひとり夢おぼろ
森田ゆり
「おぼろ」も春の季語ではありますが……さて、どうしましょう。


季重なり
春うららパンダ見下ろす観覧車
ちえ湖
「うらら」だけで春の季語です。「春」をつけると季重なりです。


季重なり
着ぐるみのパンダの汚れ春のどか
一徳斎
「のどか」だけでも春の季語ですので、「春」をつけると季重なりになります。


季重なり
屋上遊園地に象やって来て春うらら
田中 百子


季重なり
ハンカチの折り目きっちり暖かし
いちすぺ
「ハンカチ」「暖か」がそれぞれ季語です。いつの季節なのか、歳時記を開いてみましょう。


季重なり
春うららパンダ猫背で前屈す
奥ノ碧心
「うらら」は春の季語です。「春」を入れると季重なりになってしまいますね。


季重なり
パンダ舎の列を俯瞰す春うらら
みーあ
「うらら」だけで春の季語なので、「春」をつけると季重なりになります。


季重なり
新緑の風と昼寝のパンダの子
かみん
「昼寝」も季語ですね。いつの季節なのか、歳時記を開いてみましょう。


季重なり
登山靴踏む樹のきしみ春隣
涼和人
「登山」も季語ではあります。主役になる季語を際立たせる工夫があれば、季重なりも問題はないのですが。


季重なり
春うららパンダも風も時を止め
桃華
「うらら」は春の季語。「春」をくっつけると季重なりになります。


季重なり
花曇空中散歩箱庭手中
蛙手
「花曇」は春の季語ですが、実は「箱庭」も季語なのです。いつの季節の季語なのか。歳時記を開いてみましょう。

