写真de俳句の結果発表

第54回「パンダと観覧車」《ハシ坊と学ぼう!⑩》

ハシ坊 NEW

「パンダと観覧車」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

パンダめく世は混沌として四月

島田雪灯

夏井いつき先生より
「『パンダめく世』とは、なんでも白黒つけたがる世の中という意味なのですが、無理があるでしょうか? 白黒つけたがるけれど、結局のところ世の中は混沌としているよという句意です」と作者のコメント。

なるほど、意図は分かりましたが、俳句のこの字面で「白黒をつけたがる世」まではちょっと理解できないでしょう。比喩としては、再考する必要があります。
“ポイント”

蝉時雨ハシビロコウの眼の震え

めいめい

夏井いつき先生より
中七下五の観察眼がよいですね。一句に生き物が二つ入るのは、お互いを殺し合いがち。季語「蝉時雨」を再考すれば、人選は目の前です。
“ポイント”

君の白とパンダの黒や謝肉祭

たけろー

夏井いつき先生より
取り合わせは妙に面白いのですが、「君の白」は肌の色? 「パンダの黒」の分量は、全体としては多くないけど?
“ポイント”

笹旨し鰯雲になりたしパンダかな

猪子石ニンニン

夏井いつき先生より
句材は面白いのですが、「~旨し」終止形で切れ、「~なりたし」でまた切れ、「~かな」切字。三段切れです。
“ポイント”

春の雲芝に白黒見え歓喜

たらお051646497

夏井いつき先生より
俳句は字面が全てです。中七からの「芝に白黒見え」が何ものであるのか。読者にはつかみどころがありません。
“参った”

春の闇浪花のビルの観覧車

わおち

夏井いつき先生より
「浪花のビルの観覧車」は、リズムがよいですね。「浪花」という地名を生かす季語は、更なる選択肢があるでしょう。
“参った”

法然忌赤いべべ着て観覧車

そーめんそめ

夏井いつき先生より
「昔は、法然忌には衣装比べをしたそうです」と作者のコメント。

「法然忌」と「観覧車」の取り合わせの接点が読み解き難いです。
“ポイント”

観覧車時限爆弾めく春愁

優花里

夏井いつき先生より
兼題写真に観覧車が写っているので、上五がこうなっているのだとは思いますが、「時限爆弾めく春愁」という季語を含むフレーズを生かすとすれば、上五には様々な選択肢があります。もう一段上のブラッシュアップを目指してみましょう。
“参った”

花の昼ネイル乾かす小一時間

浅田香歌

夏井いつき先生より
「デートなのでネイル頑張ってます。その時間も春そのものです」と作者のコメント。

作者コメントにある「その時間も春そのもの」を書けば、素敵な俳句になります。
“参った”

春の雪観覧車まえパンダ転々

天亨

夏井いつき先生より
「春の牡丹雪で観覧車にもかなり積もり、パンダが喜び勇んで転げ回ったりして遊ぶ様を想い、作りました」と作者のコメント。

十七音という器は、季語とあと一つの要素を盛るぐらいがちょうどよいのです。この句の場合でしたら、「春の雪」と「観覧車」、「春の雪」と「パンダ」、二句に切り分けて作り直してみましよう。
“参った”

ジオラマやバブリーダンス息は春

イケダエツコ

夏井いつき先生より
「ジオラマや」という詠嘆と、中七下五が意味としてどう繋がっていくのでしょうか。仮に、完全な取り合わせだとしても、その意図が掴みにくいのが悩ましいところです。
“参った”

春愁俯きがちなパンダの仔

凛ひとみ

夏井いつき先生より
季語「春愁」と「俯きがち」が、少々近い。違う季語を探してみましょう。巧くいけば、人選に手が届きます。
“ポイント”

パンダ尿パパニコロウや満つ桜

oo3@呂

夏井いつき先生より
下五「満つ」が「桜」に掛るのならば、「満つる桜」となります。音数があふれるので、「桜満つ」とすれば問題はなくなります。が、上五中七の句意が読み解けないのですが……はて?
“参った”

春愁の角度なしたる背のパンダ

青井季節

夏井いつき先生より
下五を「パンダの背」とすれば人選です。
“参った”

花冷えや君と誰かの観覧種

横須賀うらが

夏井いつき先生より
下五は変換ミスだとは思います。送信ボタンを押す前の確認を、習慣づけましょう。
“ポイント”

給食はいつもビリなる春愁

松本厚史

夏井いつき先生より
季語がちょっと近いですね。給食を食べている教室にある季語、その窓から見える季語などを探してみましょう。
“ポイント”

観覧車揺らす子嫌い菫草

はまちこ

夏井いつき先生より
「女の子の心細い新学期の心情を詠みました。季語を『春の風』や『桜東風』等、さわやかなものにしようか迷いましたが、菫の小さなところや俯いたところ、また、観覧車とは対照的な低い場所、日陰の冷たい土が連想できたので菫の方を選びました」と作者のコメント。

観覧車を揺らす、ということは一緒に乗っているのでしょう。だとすると、この場面で、地上に咲く「菫草」を取り合わせるのは、少々無理があります。天文の季語などは、その点無理がありませんね。
“ポイント”

日永かな十二週目の観覧車

広島じょーかーず

夏井いつき先生より
「十二周」の変換ミス? 「十二周」ならば人選なのですが。
“ポイント”