写真de俳句の結果発表

第55回「食卓に花瓶」《ハシ坊と学ぼう!④》

ハシ坊 NEW

「食卓に花瓶」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

沈丁花香の風われを半周す

パンダスミレ

夏井いつき先生より
書き方が惜しいです。

添削例
沈丁花の風わたくしを半周す
“ポイント”

薔薇一輪輪染みの上で凛として

枝葉

夏井いつき先生より
後半は説明になりました。せめて「輪染みあり」と前半で言い切って、後半で「薔薇」の様子を描写してみましょう。
“ポイント”

歌声はずれアネモネを握りしめ

駒茄子

夏井いつき先生より
「昔、義母のコーラス発表会に行った時のこと。高齢お姉様たちのコーラスは音がずれ、ハーモニーがずれ、ハラハラしました。『花束』と入れたいところを、代わりに季語の『アネモネ』を入れましたが、伝わるでしょうか。上五は『ハーモニーは』『コーラスは』と迷いました」と作者のコメント。

面白いエピソードです。取り合わせもよいですね。「歌声は外れ」と前半を整え、「アネモネ○○○○○」として、季語「アネモネ」を描写してみましょう。
“ポイント”

白つばき稚児のスタイは茶に赤に

古都 斗織

夏井いつき先生より
「稚児」ではなく「子」とすれば、一音の節約になります。更に「子」と書かなくても、「スタイ」の汚れぐあいをリアルに描写できれば、それも不要となる。そこが工夫の為所です。
“ポイント”

花要らぬ料理堪能4月来る

シラハマナオコ

夏井いつき先生より
「食事のときには、食卓に花は要らない。料理を楽しむ時間だから」と作者のコメント。

全体が散文的な書き方になっています。作者コメントの言葉から、俳句のタネを拾ってみましょう。
“参った”

言い合い後食卓無人シクラメン

一如

夏井いつき先生より
「妻と言い合いになりました。夜中に起きて食卓を覗くと綺麗に片付けてあり、シクラメンが置かれていました」と作者のコメント。

言葉を少し整理してみましょうか。

添削例
諍いののち食卓のシクラメン
“ポイント”

手折るため育てし花を日に飾り

夏井いつき先生より
「花」は「桜」を指す季語です。この句の場合は、桜ではなさそうですね。
“ポイント”

食卓に夕影落ちて藤の花

さちばば

夏井いつき先生より
「食卓に夕影」と書けば、「落ちて」います。この三音は不要ですね。。
“ポイント”

食卓の妻の花瓶に色とりどりのカーネーション

恋の堀

夏井いつき先生より
音数を五七五に近づけてみましょう。不要な言葉がないか、言葉に優先順位をつけてみましょう。
“ポイント”

丁寧な生活のサブスクの花

チューリップ

夏井いつき先生より
「花」は、「桜」を指す季語です。この句の場合は、桜ではなさそうですね。
“ポイント”

数Ⅲのノートにガーベラひとひらり

咲葉

夏井いつき先生より
「数Ⅲ」と「ガーベラ」の取り合わせは良いですね。ただ、「~に」の助詞や「ひとひらり」などの表現は、一考の余地があります。
“ポイント”

夕暮れの食事に花が和ませる

昇椿

夏井いつき先生より
「花」は、「桜」を意味する季語です。
“ポイント”

せめて、桃の花むすめ、ダイエット

芳実堂

夏井いつき先生より
俳句における句点は、表現の上での特別な意図がある場合にのみ使われます。この句には、そのような意図が見られません。再考してみましょう。
“ポイント”