第55回「食卓に花瓶」《ハシ坊と学ぼう!⑤》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
初デートくれた白罌覚ゆれやも
甘崎禅之助
夏井いつき先生より
「初めてのデートでもらった花のことを覚えている人が、相手との記念日にそれを飾っているところを想像しました。贈ってくれたことを相手も覚えていてくれたら嬉しいなと思いつつ、この人のことだから忘れているに違いありません。寂しくもありますが、そんな相手を好きになったのです。初めて俳句を作ったのですが、伝えたいことを十七文字(超えてしまいましたが)に収める難しさと面白さを感じました」と作者のコメント。
まずは、基本の型から入っていきましょう。俳句は、季語と型を味方につけるところから始まります。おススメの一冊は、『おウチde俳句』(朝日出版社)、『世界一わかりやすい俳句の授業』(PHP研究所)など。
「初めてのデートでもらった花のことを覚えている人が、相手との記念日にそれを飾っているところを想像しました。贈ってくれたことを相手も覚えていてくれたら嬉しいなと思いつつ、この人のことだから忘れているに違いありません。寂しくもありますが、そんな相手を好きになったのです。初めて俳句を作ったのですが、伝えたいことを十七文字(超えてしまいましたが)に収める難しさと面白さを感じました」と作者のコメント。
まずは、基本の型から入っていきましょう。俳句は、季語と型を味方につけるところから始まります。おススメの一冊は、『おウチde俳句』(朝日出版社)、『世界一わかりやすい俳句の授業』(PHP研究所)など。


春風や模様の同じ皿二つ
鳥見山歩人
夏井いつき先生より
「パクリでは無く、オマージュということで(笑)」と作者のコメント。
〈秋風や模様のちがふ皿二つ 原石鼎〉
オマージュに成り得ている……とは言い難いでしょう。
「パクリでは無く、オマージュということで(笑)」と作者のコメント。
〈秋風や模様のちがふ皿二つ 原石鼎〉
オマージュに成り得ている……とは言い難いでしょう。


ラベンダー窓に釣り糸たるるクマ
ぷるうと
夏井いつき先生より
これはどういう状況なのでしょう?
これはどういう状況なのでしょう?


春惜や昨日までいた君の跡
大本千恵子
夏井いつき先生より
「一月に飼っていたセキセイインコが亡くなりました。12年くらい飼っていたので、家族のような子でした。今でもあの愛らしい姿で鳴いてるようです」と作者のコメント。
「インコ」ならば、それと分かるように書いてやりたいですね。追悼の意味もこめて。
「一月に飼っていたセキセイインコが亡くなりました。12年くらい飼っていたので、家族のような子でした。今でもあの愛らしい姿で鳴いてるようです」と作者のコメント。
「インコ」ならば、それと分かるように書いてやりたいですね。追悼の意味もこめて。


食卓の広き孤食の花大根
はれまふよう
夏井いつき先生より
「一人の食事(孤食)は、気楽さと寂しさが入り混じります。気分を変えるため、庭に咲いている花大根を摘んで、食卓にアクセントを添えました」と作者のコメント。
「孤食」という言葉の質量が重くて、一句のバランスが崩れます。例えば、こんなやり方も。
添削例
食卓の広し一人の花大根
「一人の食事(孤食)は、気楽さと寂しさが入り混じります。気分を変えるため、庭に咲いている花大根を摘んで、食卓にアクセントを添えました」と作者のコメント。
「孤食」という言葉の質量が重くて、一句のバランスが崩れます。例えば、こんなやり方も。
添削例
食卓の広し一人の花大根


方舟は内から壊る春出水
花屋英利
夏井いつき先生より
上五中七のフレーズ、かなり面白いです。季語は動きそう。難しいかもしれませんが、根気強く季語を探してみましょう。
上五中七のフレーズ、かなり面白いです。季語は動きそう。難しいかもしれませんが、根気強く季語を探してみましょう。


不意を突く感謝の言葉春の昼
岡田きなこ
夏井いつき先生より
季語は要一考です。この場合でしたら、映像のある季語にすると、一句の世界が鮮やかになります。
季語は要一考です。この場合でしたら、映像のある季語にすると、一句の世界が鮮やかになります。


客来たる卓にこぼるる春の花
国東町子
夏井いつき先生より
「一句目の投句と同じ桜を詠んだのですが、少し華やかに詠めたのではないかと思います」と作者のコメント。
「桜」を描きたかったのならば、やはり「桜」と書くべきです。
「一句目の投句と同じ桜を詠んだのですが、少し華やかに詠めたのではないかと思います」と作者のコメント。
「桜」を描きたかったのならば、やはり「桜」と書くべきです。


よろこびをこぼさぬやうにチューリップ
伊藤 恵美
夏井いつき先生より
「第53回『火の山公園のチューリップ』〈よろこびをくるむ形よチューリップ〉の推敲句です」と作者のコメント。
「こぼさぬやうに」となってくると、細見綾子の〈チューリップ喜びだけを持っている〉に近くなってしまいました。
「こぼさぬやうに」となってくると、細見綾子の〈チューリップ喜びだけを持っている〉に近くなってしまいました。


きっちりとはほど遠いわたくしの優雅な鍋焼饂飩
里 山子
夏井いつき先生より
やろうとしていることは分かります。ただ、この内容は短歌にするべきかもしれません。俳句としてどうにかしたいならば、「優雅な鍋焼饂飩」のフレーズをどう生かすか。ここにかかってくるかと。


昨晩の諍ひ消さむ卓に花
英曙
夏井いつき先生より
「花を飾ったくらいで、昨夜の諍いが直るものかは分かりませんが……」と作者のコメント。
「消さむ」と書かなくても、そんな思いで飾っているのだろうなと読者は想像してくれます。〈昨晩の諍い卓に○○○○○〉と、○のところに飾った花の名前を入れてみましょう。五音の季語ならばベストです。
「消さむ」と書かなくても、そんな思いで飾っているのだろうなと読者は想像してくれます。〈昨晩の諍い卓に○○○○○〉と、○のところに飾った花の名前を入れてみましょう。五音の季語ならばベストです。


定年の夫待つ卓や花飾り
英曙
夏井いつき先生より
「自分がそうしてもらいたかった願望を込めた句です」と作者のコメント。
季語としての「花」は「桜」です。この句の場合は、その花の名前を書けば、ほとんど季語になります。五音の季語ならベストですね。
季語としての「花」は「桜」です。この句の場合は、その花の名前を書けば、ほとんど季語になります。五音の季語ならベストですね。


花瓶の軽し闘病の春尽くし
宇野翔月
夏井いつき先生より
言葉を微調整してみましょう。破調になりますが……
添削例
花瓶軽し闘病の春尽きて
言葉を微調整してみましょう。破調になりますが……
添削例
花瓶軽し闘病の春尽きて


ダイニング硝子の鉢に紅椿
おっとっと
夏井いつき先生より
「庭先に椿が落ちていっぱいだったので、手入れをしていました。腰を休めようと家に戻ると、その内のキレイな落ち椿が一輪、水を湛えたガラスの鉢に浮かべてありました。その美しさに疲れも癒やされ、紅椿も二度目のお役に、そして家内にも感謝です!」と作者のコメント。
「硝子の鉢に紅椿」という描写はよいです。上五は、ダイニングに飾ってあったという場所を書けば、並選。「○○○○や」と全く関係のない抽象名詞と取り合わせると、一気に人選が見えてきます。
「硝子の鉢に紅椿」という描写はよいです。上五は、ダイニングに飾ってあったという場所を書けば、並選。「○○○○や」と全く関係のない抽象名詞と取り合わせると、一気に人選が見えてきます。


のどかなる懐石料理離婚式
秋白ネリネ
夏井いつき先生より
「のどか」と「離婚式」の取り合わせが良いです。そこで「懐石料理」を食べたということを書くよりは、別な切り口を探ってみましょう。

