第55回「食卓に花瓶」《人》③

評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
※結果発表欄では添削した形で句を掲載する場合がありますが、「マイ句帳」に収録される句は投稿した段階の句がそのまま保存され、投稿以降の修正や削除は不可となっております。予めご注意願います。
【第55回 写真de俳句】《人③》
春の雪クロワッサンを軽く焼き
里すみか
消しカスを丸めて弾く子等が春
鶴子
今日こそは挑むミシンや春の風
鶴子
鳥雲に五年生存率なんて
ぐわ
入社式の裏かた派遣一日目
ぐわ
次姉煮つむ無花果ジャムの大き粒
桜上比呂
この母の子ではないかも花曇り
べびぽん
ホームへの桜蕊降る坂道を
べびぽん
スプーン曲げに挑む食べ余した苺
髙橋みりぃ
沈丁の窮屈さうな香をはなつ
野の花
菜の花の昨日の向きを活けなほす
野の花
食卓に薔薇娘の彼がやって来る
森子
粥の香の膨らむしじま春深し
すみっこ忘牛
チューリップ買いひと駅歩く夜勤明け
木守柿とど
窓を開け超弦理論に浸る春
加東亭 ゆんたく
キッチンは菜の花明かり日曜日
水木合歓
春光や花瓶の影のやや縮み
海神瑠珂
鈴蘭の花瓶の卓の人は来ず
広瀬康
人類は残らず虹となりにけり
広瀬康
葬送の列は漆黒蟻の塚
あゆママ
「顰蹙」の半紙まっ黒山笑う
竹葉子
断捨離のリビング花うばら一輪
三月兎
テーブルのミモザたわわに誕生日
三月兎
良い話から聞いてゆくチューリップ
千和にの
ギンガムのランチョンマットイースター
菜活
カフェの白薔薇客はみな留学生
菜活
革命と恋は実らずスイトピー
せいか
パンの香と戻る助手席春近し
石田将仁
スヰートピー今日は結婚記念日か
鷹見沢 幸
弟よ一日花の夏椿
スマイリィ
父母の意に寄り添う手立て草朧
スマイリィ
アネモネやキッチンは大理石風
ビオラ
君の去ぬ部屋や鈴蘭に水を
くぅ
新調のランチョンマット風光る
人生の空から
水仙やマグにたっぷりカフェオーレ
川口祐子
理不尽な退職薔薇のブーケかな
川口祐子
そそとゆれ河原撫子ははのこゑ
成実
軽トラや桜吹雪へ加速せり
ひこ老人
相槌の相手はラジオ蕗湯掻く
ゆきまま
うたた寝や斜光の先の薔薇一輪
実日子
朝摘みの水仙捨てて病室出づ
実日子
行く春や白き供花の朽ちゆきて
角田 球
うららかや花宅配の届く午後
角田 球
春昼や花瓶の水のうす濁り
安田伝助
蒲公英をひょいとブリキのマグカップ
安田伝助
仕舞われたままの花瓶や春深し
苫野とまや
食卓に戻すえんぴつ夏休み
こりえのかた
囀りやバターコーヒー今朝苦し
猫日和
疎遠なる親戚来たる黄水仙
石澤双
夏雲や今日から家に犬がいる
石澤双
猫の子がビデオ会議に出席す
駿酔
パンケーキの待つ食卓や新入生
紺太
湖色のグラス調へれば立夏
靫草子
鈴蘭を味方に母と対決す
嫌夏
鈴蘭やかすかに苦味あるスウプ
さおきち
風の香や「かしこ」で結ぶお礼状
リコピン
おはやうにおはやう言へぬヒヤシンス
葦屋蛙城
新茶甘し担任はイケメンらし
笠井あさと
デイジーやモデルルームのダイニング
どこにでもいる田中
囀やカーテンの無いワンルーム
橙茶
啓蟄やコップ袋の紐通す
橙茶
ミモザサラダの食卓につく四月来る
巻野きゃりこ
憂鬱を潰してバナナケーキとす
巻野きゃりこ
はつなつの野花いちりん校長室
さら紗
次を待つ子ら緑陰の散髪椅子
さら紗
ヒヤシンス置きたり指にアメジスト
ただ地蔵
夫の焼くミディアムステーキミモザの日
寺田 美登里
コーヒーは濃いめ穀雨の研修医
秋熊
ペンションのトーストの香や夏来る
ゆきのこ
光暈のデジャヴ若葉のブーケトス
浅海あさり
はたとせのサボテンに花咲きにけり
花星壱和
丁寧に生きると決めてライラック
花星壱和
不登校の日々よ花瓶のスイトピー
西 山歩
花束の花弁を歩く天道虫
すいかの種
食卓の黙は三日目フリージア
なみこまち
帰宅恐怖症アネモネの食卓
なみこまち
鈴蘭を七本生けて命名日
ルージュ
春風や花の切手のエアメイル
陽光樹
食卓の椅子は二つに春夕焼
世子
好きなのはサッポロ陰膳のビール
世子
菜の花の食卓メモとカレー鍋
日吉とみ菜
紙ヒコーキ窓に連山の残雪
日吉とみ菜
テーブルの薔薇は淋しげ銀の雨
桂月
テーブルの棘なき薔薇の影揺れる
桂月
出郷前夜晩餐はカレーなり
原島ちび助
春泥の内示定年再雇用
木村あずま
去年今年兄の遺体は腐敗せり
木村あずま
ちゃぶ台の菫コロッケ揚げる音
つるぎ
食卓のスイートピーと置き手紙
つるぎ
花冷えの港静かな旅枕
海泡
葉桜や出勤前のカプチーノ
居酒屋親父
風を食う五月の朝は透明で
レディ咲瑠恋
カーネーション家族会議は紛糾す
みなし栗
落花の上靴ともだちが上手ね
まりも
廃業の店淡黄色の西日
アツヒコ
配膳の音粗々し目刺焦ぐ
紫月歪丸
次女だから独身だからねぢあやめ
駒村タクト
ヒヤシンス花瓶の碧き透過光
田畑 整
うららかやカーテン膨れ陽の匂い
青井晴空
食卓に伏してうたたね春夕べ
青井晴空
食卓を買い替え春を待つ窓辺
春海 凌
レースカーテン花はゆっくり死にはじめ
牧野冴
白夜の手紙届く正しい食卓に
牧野冴
藍染のランチョンマット花菜漬
はね花
フリージア家族写真をやり直す
望月美和
白い花匂ふ食堂夏の雨
桜貝
山百合一輪人生見栄ばかり
千暁
ミモザ生けるカットガラスの乱反射
夏の舟
立春のテーブルリネンの香りかな
山内彩月
新品の朝へもりもりブロッコリ
山内彩月
飲みかけのコーヒーふたつ花の冷
ヒマラヤで平謝り
夏隣カーテンの丈確かめて
ふたば葵
春の宵昭和歌謡を弾くピアノ
和み
初得点ほうれん草の卵とじ
光太郎
母の椅子春のひかりのあるばかり
高山佳風
花影のゆれて老人ホームかな
高山佳風
時の日や妻の正しきスムージー
十月小萩
坂の上桜蕊降るバンガロー
花はな
沙羅の花朝の祈りの色白し
辻 さつき
退院の祝ひの膳や青葉風
智幸子
食卓の大人の椅子に挑む春
石川潤子
今日からはひと席の空く春の窓
石川潤子
一脚の静けき椅子や花茨
曽根朋朗
家族への小さきメモとして鈴蘭
曽根朋朗
新株の根付かぬ庭や風光る
瀬央ありさ
定年の吾と開業の君の春
瀬央ありさ
うすあおの切子花瓶に筆の花
木村奈須
ひとさじを佳き日の母へ春の月
あおい結月
春めいてはちみつゆるく鬱に沁む
あおい結月
水切りに文具のはさみ春なかば
梅野めい
野の花はコップに吾子はお風呂場に
しろぴー
霞草だけの花束ルビー婚
しろぴー
珈琲と榾の火の香と無伴奏
唯野音景楽
角砂糖とけゆく霞草ゆるる
草野ふうこ
マーローの花瓶の水の余寒かな
東ゆみの
連翹や銃砲火薬店の門
東ゆみの
新客を迎える椅子や夏来たる
富永三紀
父の忌の百合一輪にワンカップ
にも
箸の持ち方ヒヤシンスの置き方
植木彩由
お達者で何よりヒヤシンス新種
植木彩由
夏帽子ふたつ並んでお留守番
蕃茄
テーブルの一人に広き春の宵
杜野みやこ
日常の戻りし朝餉ヒヤシンス
杜野みやこ
カーテンは尻尾のゆらぎ春時雨
骨のほーの
鈴蘭の香りお隣りまた留守か
骨のほーの
アパートの洗濯ピンチに釣った鯵
骨の熊猫
いないいないばあけんけんぱつて聲が春
鰯山陽大
テーブルの婚姻届け聖五月
藤本花をり
家中の窓をひらけよ春の風
岩魚
制服は着納め春夕焼のスタバ
たまさもち
初夏のランチョンマットうすみどり
雪うさぎ
かげ先に坐してをるなり盂蘭盆会
ノセミコ
明け方の椅子に朧の居座りて
ノセミコ
花散るや鼓峠の深轍
ピンクアメジスト
白多し祈りの部屋に春日かげ
の菊
朝餐の白き卓布を冬の蜂
清瀬朱磨
切り分けて先づ入学の子へ配る
清瀬朱磨
ドタキャンのテーブルクロス風信子
まるにの子
対座して宿坊にゐる清和かな
さち今宵
湖の友の消息鳥帰る
シナモンティー
ガーベラ三本目覚まし二つ日曜日
ヨシキ浜
七日目の酵母しゅわわん若葉風
海月のあさ
ホームベーカリーがたぴし唸る花曇
海月のあさ
哀悼やクロスの皺に春日影
青屋黄緑
権之助坂の風にぼんぼり花疲れ
迷照 りん句
白百合とバターサンドと知らん人
芦幸
広告のウラは日永の伝言板
芦幸
妻とまた二人きりなり桜漬
花和音
ベビーチェア置くスペースをあけ立夏
花和音
何も挿さぬ遺愛の花瓶さくらの夜
入江みを
鳥どちに先んじ郁子を野に盗む
入江みを
食卓の孤独一重咲きの野薔薇
湧翠
春愁を呑み込む朝のルーティーン
紅三季
ガーベラの花影揺るるダイニング
紅三季
ヒヤシンス雨は懺悔を繰り返す
嶋村らぴ
惜春のテーブルクロスしやんと敷く
嶋村らぴ
食卓のクロス透明春は来ぬ
德(のり)
その椅子の永久欠番カーデガン
山内プーコ
屋上を揺れる仔馬の背冷たし
まこく
養花天一口ごとに置くスプン
雨野理多
餞別のカップ・クッキー・花ミモザ
雨野理多
木造りの揺り椅子香るフリージア
風の木原
休職や白き出窓のヒヤシンス
風の木原
食卓のひとりブランチフリージア
すずきあんず
退職の花束抱きてあたたかし
すずきあんず
パンを選るカフェのランチやライラック
日々の茶めし
朝霞まど全開のカフェオーレ
日々の茶めし
諍ふも湯呑は二つ新茶の香
舟端玉
夏隣るパスタぐるっと高く盛り
だいやま
ばら一輪ぜったいに怒らないから
だいやま
食卓は家族の器チユーリツプ
おかだ卯月
春の朝一つ開いた段ボール
甲斐自然
小春日のランチョンマットへ突っ伏す
紅紫あやめ
ワイン乾す鈴蘭の形は孤独
はなぶさあきら
亀鳴くや卓布にシミの円淡し
太之方もり子
アネモネの花瓶小さき虹通す
殻ひな
玫瑰の開ききつたる喪明けかな
髙田祥聖
春の日や一輪挿しの水溢れ
みーこ39
家にゐる方が花冷え靴を履く
阿部八富利
壁紙も益々派手や生身魂
阿部八富利