写真de俳句の結果発表

第55回「食卓に花瓶」《人》⑤

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第55回「食卓に花瓶」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

 

※結果発表欄では添削した形で句を掲載する場合がありますが、「マイ句帳」に収録される句は投稿した段階の句がそのまま保存され、投稿以降の修正や削除は不可となっております。予めご注意願います。

【第55回 写真de俳句】《人⑤》

逃水や心理テストに描く空虚
ひまわり
食卓の椅子を買い足す年の暮
多数野麻仁男
退職日出がけに春の雨上がる
真秋
庭からのレモンバームを夏の卓
石井青花
愛の日の光を映すグラス二個
石井青花
クリスマス母に贈った安花瓶
鈍牛
古文書のガラスケースにカーネーション
雪椿
スカートの襞とれかけて春暑し
小島やよひ
水仙を揺らすカーテン亡父還る
福朗
自死し友の乾きし眼枯芙蓉
福朗
梅ふふむ青き液肥を垂らしこむ
白庵
書き置きの文字の滲みやヒヤシンス
白庵
チューリップ咲ききって歯ブラシかえて
ざぼん子
新札に東風テーブルの「トコヤ代」
ざぼん子
玻璃に盛る冷製パスタ初夏の風
三日月なな子
こでまりを一本挿して客を待つ
逍遥遥
向日葵やレンズの先に妻のゐる
高見 正太
紫陽花や付箋に記さる「さよなら」
高見 正太
春のアロマ古き写真の額を替ふ
古乃池 糸歩
卒業の自転車かごの花束と
なみきたか
東京かちやんと起きたか草若葉
青田道
春愁二人に余る食卓よ
青田道
気に入りの空き瓶に挿す諸葛菜
えりち
夏椿箸のきれいな彼だこと
清水縞午
笹の葉の影濃くなりて春の土
感受星 護
夫還る桜蕊降るこの土へ
睦花
春昼や夫の鼓動の止まりゆく
睦花
褪せていく遺影へ初咲きのミモザ
ただなかのめ
食卓の夫の指先春の闇
ただなかのめ
白薔薇や繰り返されるピアノ曲
鈴なりトマト
一輪の朝の茶室や寒椿
天龍蘇人
空席の白のナプキン風信子
花冷や締切り迫る求人票
宿題はいつも食卓雀の子
閑陽
ひなぎくの向かうの席や同窓会
朱鷺
春風やモデルルームの二人連れ
きょうのあき
一輪のラナンキュラスの向き定む
きょうのあき
聖五月溢るる花と誕生日
えりまる
食卓の箸一膳や春の朝
ちよ坊
残業やミモザ溢れるバスケット
銀猫
西日射す食卓母の丸い椅子
蓮天
父の居ぬちゃぶ台広し春の朝
蓮天
花衣ひねもす薫り暮れにけり
一 富丸
鈴蘭や朝日にひらくスカラップ
満生あをね
びいどろの壺に小さき砂漠かな
入道まりこ
香煙の仏間菊挿す濁り水
こきん
五月晴れ予約客待つ十一時
妙啓
花ミモザ乾びるまでの喧嘩かな
佐藤さらこ
春愁やグラスの疵もみづ痕も
佐藤さらこ
亡き父と同じ耳たぶ大南風
春野ぷりん
日曜と違ふ匂ひや冬の居間
春野ぷりん
すずらんや今日は私の誕生日
千寿 ココ
これだけは譲れませんの姫女苑
千寿 ココ
席を立ち残す珈琲梅雨じめり
塞翁が馬
白ばかり活ける花瓶に風光る
やぎみかん
テーブルの小さき野原や春の風
やぎみかん
花入れを選ぶ楽しさ立夏かな
華婦香 (カフカ)
ランチョンマットの糊の効きたるパセリかな
雄蹴
命日のランチョンマット寒卵
山尾幸正
鉄線花指を切ったは三日前
海里
おじぎ草つついて一人喋りの夜
海里
土筆生ふ五十二歳の初バイト
奥伊賀サブレ
アーモンドの花ゴッホの筆の紅
天橋立右彩
あり余る皿や窓打つ春驟雨
天橋立右彩
浅蜊汁僕のは漆剥げたほう
ぎゅうたん
ラグの染み一旦しかとする遅日
ぎゅうたん
アネモネのそよぐのは吾の起こす風
となりの天然石
家庭訪問玄関に白日傘
となりの天然水
ラジオより昨夜の人出胡瓜揉
となりの天然水
春暑しコンビニおでん店じまい
砂糖香
夏の空ブーケトスから逃げてきた
鳥乎
置手紙のあて名を「様」に薄暑光
鳥乎
特急の通過ここにも山ざくら
山崎三才
二人でお茶をスイートピーひらひら
バイカウツギ
金継ぎの鶴首そそとフリージア
はるを
冷蔵庫のうなり主役なき花瓶
はるを
三月に生まるる吾子に花の名を
夏村波瑠
謹慎の窓より見ゆる揚雲雀
夏村波瑠
彼ママはスイートピーが似合う人
ならば粒あん
あぢさゐの藍を束ぬる白磁かな
前田いろは
うららかや婚姻届証人欄
前田いろは
ボスの切る虎屋分厚し新茶濃し
三浦海栗
鈴蘭はころんと生けよ魔女ならば
三浦海栗
思春期の「いただきます」よ鈴蘭よ
まるるん
ゆく春や吾子の椅子にはウェイトベア
まるるん
カーネーション姉のグラタンしょっぱくて
わだつみ
卒業の花束母と昼ごはん
わだつみ
食卓の亡き父の席黄水仙
岳陽
果たされぬ約束春の夜の長し
美織
春の服楚々と食べませ白き花と
銀髪作務衣
食卓の天道虫の死んだふり
欣喜雀躍
春月や千二百円のミニブーケ
夏蜜柑久楽
明石港椀に堂々桜鯛
めたぽ
春惜しむ今日で二人になる夕餉
江口朔太郎
君好みのカーテン外す鰯雲
江口朔太郎
こぽこぽとサイフォン庭に恋の猫
天雅
新品のエジソン箸や風光る
川野 藤央(藤央改め)
食事用スタイ卒業夏近し
川野 藤央(藤央改め)
冬ごもり洗濯ついでのスクワット
華柊
月朧ナプキンの皺残る紅
蛇の抜け殻
ガーベラや昏きゆらぎの同心円
さく砂月
鈴蘭の蕾よ月の種となれ
翡翠工房
ほつれゆく春日の匂ふ刺し子糸
翡翠工房
雨もよい窓辺の卓の霞草
のの夏
破産後の卓に一本野水仙
渡海灯子
白き瓶朝摘む蓼の花一本
渡海灯子
退職す春の花束食卓へ
ロージー
フラスコに十薬生ける研修医
小田毬藻
とび箱がとべない春の雲が遠い
のんきち
絵手紙の文字の丸さや春の雲
のんきち
水換えの花瓶真中へ春の朝
田原うた
薔薇の芽や十年ぶりの母子の膳
猫ずきん
食卓の醤油を補充夏立ちぬ
ぜのふるうと
花の雨古民家カフェの黒電話
ぜのふるうと
まだ知らぬ町の花屋のスイートピー
丸井たまこ
琥珀糖みたいなスイートピーひとつ
丸井たまこ
花の風カーテン揺れる厨口
ちょうさん
のどかさや娘に奢るカフェラッテ
冬野とも
春休み実家の椅子のよく馴染む
冬野とも
冷房や花といふものみな手負ひ
沼野大統領
蜆汁もうあなたとは暮らせない
伊藤映雪
牡丹剪る明日は他人となる夫
伊藤映雪
水仙や弔問客の声遠し
うめやえのきだけ
告知さるいのちの長さ黄水仙
うめやえのきだけ
懐メロや萵苣を酢味噌で食べた頃
山本美奈友
陽に光るバターナイフや夏近し
草夕感じ
カーテンに光りの透けてフリージア
草夕感じ
トーストをかじる忌明けや花の雨
百瀬一兎
春暖や花瓶のみづと母の古る
百瀬一兎
すずらんと自家製パンと目玉焼き
あが野みなも
赤飯の湯気不登校卒業す
ふく
仲直りの一輪おでんに玉子
ふく
デンファレのセンターピース夏めけり
一井かおり
春の陽や花瓶の水の薄濁り
一井かおり
耳鳴りの朝の鈴蘭鳴り止まず
句々奈
「おかえり」の声なき部屋の沈丁花
和はん
食卓へ薔薇帰ったら謝ろう
和はん
剃髪の朝や胃の腑にわらび汁
ときちゃん
空中庭園こでまりの花匿ひて
佐藤ゆま
たんぽぽのお膳をかこむぬいぐるみ
由樺楽
シスターと描くうさぎの彩卵
茂木 りん
伯母の味噌熊は樽ごと家苞に
茂木 りん
記念の日ワイングラスに薔薇ふたつ
肴 枝豆
五月闇置かれたままの予約札
いしとせつこ
春の宵胸に飛び込むブーケトス
ちくちく慶
たんぽぽや牛乳ビンの元気な気
ちくちく慶
長閑さやウンベラータの伸び過ぎて
梅田三五
春暁や納車祝いのプチブーケ
梅田三五
チェアパッドに幽かな凹み鳥曇
加里かり子
床拭きをさっさと終えて日永かな
加里かり子
荷解きの玻璃の花瓶へスイトピー
すがのあき
クロッカスひかりをこぼす手のかたち
奈良井
年輪の座面にくぼみ花の庭
海色のの
銀輪のかごに満月と花たば
海色のの
夏痩の卓にまばゆきカトラリー
星鴉乃雪
青白き舌に重たし寒卵
四季奈津子
人知れぬ退職の日や土筆摘む
雪のこだま
電卓の液晶暗し暮の春
亀野コーラ
陰膳の遺影に花瓶春惜しむ
あねもねワンヲ
蟻の這う花瓶に土の記憶かな
馬場めばる
カーテンが好きね五月の風たちは
馬場めばる
花ミモザ赤い♡のオムライス
美んと
木の芽どき自律神経やや緩む
片山千恵子
松葉菊ジャム瓶に挿す朝の卓
吉田さと
食卓に持薬の数多春の塵
吉田さと
箸置いて転職告げる春の宵
佐藤志祐
椅子引けば寂しき音よ白き薔薇
佐藤志祐
パセリ挿す牛乳瓶の文字は赤
高辺知子
色なき風またがぬと決めた敷居
高辺知子
紫木蓮ガラスのマグに注(つ)ぐ紅茶
三毛猫モカ
つまむたびころがるボーロはるひなた
草深みずほ
夏隣ひとりランチはテラス席
草深みずほ
風薫る旅の計画立てましょか
千霞
星合やワイングラスを二度磨く
祥子
春の宵ワルツの国のワイナリー
なんくる
水仙や結婚すると父母に告ぐ
南の爺さま
言い過ぎてごめん花瓶にさくら草
くつの した子
花の雨花束抱え退職す
くつの した子
饅頭の天ぷら午後は墓参り
ちょくる
食卓を覗き込む髭猫柳
猫笑ふふ
雨三日春は行ったり来たりかな
猫笑ふふ
朝食やガラス戸越しの合歓の花
源早苗
山笑ふシフォンケーキへ粉砂糖
蜘蛛野澄香
清々とランチはひとりヒペリカム
それから
春塵や介護ベッドの脚の跡
まちばり
ヨーグルトに匙立ちにけり卒業期
弥栄弐庫
黄金色の母のポトフや花の雨
弥栄弐庫
手捻りの黒き花瓶の雪柳
敏庵
ミモザ挿す縄文土器のやうな壺
雀子
ルービックキューブ手懐け夏近し
希凛咲女
喪の帯の紐ゆるめたき梅雨入かな
山田祥風
テーブルの裏に落書き桃の花
勝亦朝
鶴首の花器に枝ぶりよき桜
佐藤恒治
薔薇示すジェンダーリビールのヒント
野山めぐ
時の日のカップラーメン二分待ち
三嶋乃千尋
絨毯のへこみあなたのいた重み
三嶋乃千尋
空瓶へ春の一輪朝の卓
茅々
ひとり居の夜には閉じるチューリップ
遥琉
炎昼や古墳の上の特殊器台
走亀エリコ
菜の花は宇宙へ届く蛍光ペン
走亀エリコ