第39回 俳句deしりとり〈序〉|「んご」②

始めに
出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、はじまりはじまり。


第39回の出題
兼題俳句
ットちゃんの破れ帯の本花林檎 星埜黴円
兼題俳句の最後の二音「んご」の音で始まる俳句を作りましょう。
※「んご」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。
んごといふ赤ちゃん言葉林檎むく
鈴なりトマト
んごと差す吾子一歳半の林檎
むらのたんぽぽ
「んご!」と言う子の手に丸き赤リンゴ
夏の町子
「んご!」と指すひらがな表のりんご食む
おちゅん
「んご、んご」とりんご見上ぐる二歳の子
あさり丸
「んご」のつく好物リンゴ蜜団子
山川腎茶
「ンゴンゴ」と這い寄る先の林檎かな
中村あつこ
「ンゴ」と言う 孫に林檎を剥いてやり
白石ルイ
ンゴと言ふ棘棘フルーツ旬五月
とも女
「んごもろた」柿を手渡す新幹線
感受星 護
んごりんごりんごりんごりんごりん鮴
ひでやん


「んごっくく」と林檎呑み込むサザエさん
冬島 直
「んごぐぐ」とサザエさん入学式前夜
日永田陽光
「んごっ」とサザエさん彼岸のおやつは
松虫姫の村人
「んごっんん」サザエさんかな秋の暮
八一九
んごくくと草餅詰めるサザエさん
南全星びぼ
んごんぐと春宵いつものサザエさん
寺田 美登里
んごっんっんとサザエさん如食むソルベ
太井 痩


「ンゴ」「音ゲー」「鯖」孫に聞く水羊羹
茂木 りん
「~ンゴ」だってネットスラング春の夢
のりのりこ
「ンゴ」つたつて赦さないンゴ蝉時雨
鳥乎
「んご」ってね孫に教わる春の宵
東九おやぢ
「んご」を語尾につけちゃう花冷のあなた
だいやま
「ンゴ」語尾のネットスラング春休み
帝菜
「ンゴ」語尾のメール読み返す春昼
櫻木うらら
ンゴ語尾に「お疲れンゴ」の新社員
小田毬藻
ンゴ使うJK消えて春衣
どこにでもいる田中
「ンゴは死語」充電切れて鳥曇
看做しみず
ンゴwww【悲報】ぶらんこで骨折ったンゴwww
ふるてい
ンゴw春の所為と許してクレメンス
キッチンハイカー
ンゴくっ付け自虐のネタや春を生く
伊藤ゆめ安
ンゴ会話仲間に入れぬ古希の春
大久保一水
ンゴ連呼リスナーからの花便り
水色ぺんぎん
ンゴねぇの意味など知らん花の宴
しみずこころ
んご「ドミンゴ」球春の楽天戦
こきん
語尾に「ンゴ」ってつけるのはいわゆるネットスラングってやつですね。まー、それぞれの句をみると慣れ親しみ具合がなんとなくわかるというもので……《鳥乎》さん、《ふるてい》さん、《キッチンハイカー》さんあたりは完璧に使いこなしてるあたり、そういう界隈に造詣が深いんでしょうねえ(ニチャア)。
ちなみにこの語尾の発祥は《こきん》さんの句にあるとおり、プロ野球のドミンゴ・グスマン選手に関係があるようです。2008年、インターネット上の野球実況掲示板で楽天開幕戦を実況していたところ、抑えに登板したドミンゴ選手が1アウトも取れず逆転負けしていくなかで「ドミンゴwww」と掲示板住民に煽られまくったのが発祥だとか。キツすぎて夢に出そう……。後に語尾に「ンゴ」をつけるのが流行り、その語感の良さから野球に関係ないミームとして広がっていったようです。うーん、もはやインターネット現代史って感じだ。


んごおおと泥酔の吼ゆ竜舌蘭
三浦海栗
「ん、ゴォー」と危険な鼾蠅取り器
咲山ちなつ
んごっ溽暑の無呼吸症候群
霜川このみ
日常的に「んご」の音を発する機会は少ないですが、鼾なら自然に出ますね。いや、無呼吸症候群の鼾なんて危ないから耳にしない方が良いんだろうけども。人によって「んがっ」になったり微妙に響きが違うから、ちゃんと「んご」になってるのは句材とのラッキーな出会いといえる……のか?


ンゴーゴー漫画吹き出し滝しぶき
いまい沙緻子
ンゴゴゴはジョジョの吹き出し春嵐
白庵
《いまい沙緻子》さんの「ンゴーゴー」は漫画に描かれた鼾なのかなあ。「滝しぶき」の音だとしたら普通「ゴーゴー」になりそうなもんだけど、「ン」ってつく??
《白庵》さんのジョジョネタもジョジョファンとしては嬉しくなるんだけども、「ンゴゴゴ」って場面あったかなあ……あくまで「ゴゴゴゴ…」が基本であって「ン」はなかった気がするんだけど……僕が忘れているだけか? もし該当箇所あったら教えてクレメンス!


んごぉんごぉと重機の響き花曇
佐々木棗
んごーんごーん番神堂の除夜の鐘
天風さと
んごごごとすすぐ洗濯機の師走
ちょくる
んゴーッと河馬が口あく春の雲
ゆりかもめ
ンゴーっと熊穴を出づ痩せたまま
素規
ンゴォンとタマがチョマ訪ひくる春夜
にゃん
〈③に続く〉

