写真de俳句の結果発表

第57回「沖縄県の郷土料理」《ハシ坊と学ぼう!⑥》

ハシ坊 NEW

沖縄県の郷土料理

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

毛振りへと飲まれてゆくがごと野分

高橋寅次

夏井いつき先生より
意図は理解できます。ただ、比喩の表現がややダラダラしているのが気になります。
“ポイント”

フクキ並木のパパイヤへ風ゆたかなり

森野みつき

夏井いつき先生より
「沖縄を句にと考えました。2019年に旅行した時の写真を見たり日記を読んだり。そして今日『パパイヤから人生』を買いました♪ これは『パパイヤ』を季語にしないと! そして沖縄の雰囲気も出さねば。フクキ並木で、生徒にパパイヤを説明していたボランティアの方がいたなぁと懐かしく思い出しました」と作者のコメント。

一句に植物名が二つ入ると、お互いに損です。中七下五のフレーズはとてもよいので、上五を一考してみましょう。『パパイアから人生』ありがとう。楽しんで読んでいただければ嬉しいです♪
“ポイント”

春惜や亡きインコの香籠の中

大本千恵子

夏井いつき先生より
第55回『食卓に花瓶』の〈春惜や昨日までいた君の跡〉という句を推敲しました」と作者のコメント。

「亡き」と書かなくても、籠にインコに匂いが残っていると書けば、死んだのか……と読者は想像してくれます。一句の完成は間近ですね。
“ポイント”

上野駅検診あとのわらび餅

チリンドロン

夏井いつき先生より
たまたま「上野駅」だった? 中七下五は軽やかな実感があります。
“参った”

吾砕だかれ珊瑚となりし沖縄忌

新井ハニワ

夏井いつき先生より
書こうとしている意図はよいと思います。「~砕だかれ~となりし」が散文の書き方。ここを一工夫してみましょう。
“ポイント”

方舟は内より壊す卒業式

花屋英利

夏井いつき先生より
第55回『食卓に花瓶』〈方舟は内から壊る春出水〉季語が動くとご指摘いただきました。外圧には強い方舟も内側からの脱出願望、不和、迷いには容易に壊れる。メタファーとして『春憂』など心情的な季語は安易かと思いました。梅雨、台風など外からくる夏秋の出水に比べ、雪氷の形で内に持していた水が徐々に溢れ出る春出水、これは雪国の人間ゆえかも、『方舟』にも雪獄を感じていたかもしれません。私は元の句のが好きです」と作者のコメント。

作者ご自身が「私は元の句のが好きです」と思われるのであれば、表現者としてそれを大切にされることをお勧めします。表現とは、そういうものですから。
“ポイント”

扇風機に「アーッ」と言ってる風呂上がり

まちゃみ

夏井いつき先生より
「扇風機」で、このネタはけっこうあります。残念。
“ポイント”

有機ELの吐き出す戦禍みづやうかん

幸田梓弓

夏井いつき先生より
やろうとしてることは意欲的です。ちょっと材料が多いか。
“参った”

乾杯はこの泡盛や師を囲み

横浜月子

夏井いつき先生より
語順を替えた方が、調べがよくなりそうです。

添削例
師を囲む乾杯はこの泡盛ぞ
“ポイント”

風灼くや「琉球泡盛」という附票

笑田まき

夏井いつき先生より
「沖縄の泡盛は八~九月に仕込みをするのだとか。そのころの気候から、季語を『灼く』にしました。『琉球』を戴くラベルに込められたプライドを詠みたいのですが……」と作者のコメント。

意図している取り合わせは佳いと思います。下五の「という附票」の部分。調べがもたつくことも含めて、一考してみましょう。
“ポイント”

沖縄は梅雨入りラフテーを食ふており

宙海(そおら)

夏井いつき先生より
「食ふ」が助詞「て」に接続する時は、連用形「食ひ」になります。音便を発生させる場合もあります。音便については、YouTube『夏井いつき俳句チャンネル』【音便シリーズ】を参照して下さい。
“ポイント”

光透く琉球ガラスや夏兆す

春待ち女

夏井いつき先生より
「夏兆す」という季語と「琉球ガラス」の取り合わせだけで、十分に「光」のイメージがあります。ガラスに対して「光透く」は言わずもがな。上五をもう一工夫してみましょう。
“ポイント”

夏の旅郷土料理の圧倒感

英曙

夏井いつき先生より
なぜ「圧倒感」を感じたのか。その映像を描写するのが、俳句の基本です。その料理がどんなものであったのか、思い出してみましょう。
“ポイント”

浪人の朧夜煮豚柔らかし

楽花生

夏井いつき先生より
一句にどこまでの情報を盛り込むかの判断にはなりますが、「朧夜」と「煮豚」が柔らかいということ。この二つだけで、一句をゆったりと満たすだけの材料になります。「浪人」という人物を入れるよりも、「朧夜」が季語としてしっかりと立つ工夫をしたほうがよいかと。
“ポイント”

金魚玉金平糖の星砂を

むげつ空

夏井いつき先生より
「金魚玉」と「星砂」の取り合わせはよいと思います。「金平糖」が入ると、どちらにも微妙に近くなってしまうか。惜しい。
“ポイント”