第58回「趣味は機織」《並》⑥

評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
※結果発表欄では添削した形で句を掲載する場合がありますが、「マイ句帳」に収録される句は投稿した段階の句がそのまま保存され、投稿以降の修正や削除は不可となっております。予めご注意願います。
【第58回 写真de俳句】《並⑥》
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敗戦忌願い織り込む赤の糸風花舞
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風死して眠るチワワの耳ピピピ鳥乎
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機を織るリズム風鈴はふうりん鳥乎
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猫の子のじっと見てをり機織機はるを
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さて趣味は何と言っとこ夏座蒲団ならば粒あん
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冷麦のダマあと下五だけなのよならば粒あん
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シネマ果て黙のち多弁なれや夏前田いろは
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夏コミの行列捌くボランティア前田いろは
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機織りや時を忘るる夏の夕すうばあば
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機織りや落雷近き手を止めるすうばあば
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振袖の銀糸をしっぽ瓜の馬まるるん
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梅雨明けや機織りの音軽やかにわだつみ
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しんまいの機織むすめ長き夜わだつみ
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裂き織す母の香残る藍浴衣岳陽
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遠雷や間違い一つ布解く岳陽
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空よもう泣ききったかい夜半の夏美織
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日盛りの無意識織り込みゆける糸美織
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月見草負けず嫌いの機織りす銀髪作務衣
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観る将に棋譜の呪文や夏の夜苅桜守
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週末や的にスポンと夏の空苅桜守
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機織の加減もゆるむ夏のゆふ欣喜雀躍
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水中花半透明のピンク色夏蜜柑久楽
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履歴書と七夕紙に記すなまえ雉虎緑目
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天の川きっと振り返るなと声江口朔太郎
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この布を織りて嫁げり春霖雨大月ちとせ
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鵲の橋の誓いも糸も切れ大月ちとせ
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六つ目の空蝉絹の道の石碑天雅
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つなぐ手に祭囃子と懸装品蛇の抜け殻
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雲の峰いとま急げと背を伸ばす蛇の抜け殻
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星月夜ひっつめ髪のアルペジオさく砂月
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機織の脇に昼飯夏の夕新米にぎりめし
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涼風が運びし茶漬けのにほい沙織の間新米にぎりめし
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機筬の調べ聞きつつ昼寝の子のの夏
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刈りたてのラベンダー抱き笑う母秋月あさひ
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秋の雲泥染めし織る紬かなロージー
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糸通しいつもかたはら夏灯し田原うた
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蝸牛子とさをり織る日課かな猫ずきん
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肢持てばぎっこんばったん機織ばった猫ずきん
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おそろいのミサンガ盛夏の舞台袖丸井たまこ
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糸美くし機織習い汗ばみて犬山侘助
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葦簀越し機織りの音どんな柄犬山侘助
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蚊遣香機の音まとふ四畳半ちょうさん
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機織りやリカちゃん抱きて子は昼寝ちょうさん
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結葉や音の疎密に聲の本意沼野大統領
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羅やヒロインの恋叶はざり伊藤映雪
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また君の「好き」に絆され宵の秋うめやえのきだけ
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風吹けば裾のめくれる浴衣かな草夕感じ
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荒梅雨に機音かすか紬織る松芯
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紬織る明治の音を奏でつつ松芯
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雨蛙蔓を舞台のカルテットひろこ
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機織りの乙女は歓喜梅雨去りぬいわさき
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揺れる能登に寄付した毛布を産みし機いわさき
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透明の糸で織るブルー額の花あが野みなも
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形見の上布裁って夫の服を縫うふく
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啄木鳥やこつこつこつとpocoapoco一井かおり
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ゆらゆら流るレンズの中の天の川和はん
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銀漢の内なる我はここにおり和はん
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氷菓食う吾子のほっぺに畳あとときちゃん
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蝉時雨つづかぬ趣味の後始末由樺楽
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塩沢のトンカラリンで梅雨明ける勺子
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染み浮きし母の着物をストールに茂木 りん
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八十路すぎチェロの手習い螽斯肴 枝豆
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ここちよき杼の走る音昼寝覚肴 枝豆
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機織や母の形見に袋帯ちくちく慶
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機織や夏夜にながるるモーツァルトゴルパパ
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永すぎる梅雨の晴間や手に如雨露ゴルパパ
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織られなお白糸白し卒業す海色のの
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盆の月父の趣味ってなんだっけ一石 劣
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乞巧奠利益あらむや俳句にも一石 劣
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夏霧のやわき木道湖畔まで星鴉乃雪
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機織りの木音の調べ虫の声幽香
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寝待ち月黙して紡ぐ影のあり幽香
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エアロバイクは漕ぐべし汗は流すべし氷雪
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身にしむや赤子泣くのは「ミュージック」氷雪
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菜種梅雨ミンサー織りの意味を知る雪のこだま
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白シャツを詰めて見送る夫の赴任春駒
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洗濯が趣味母似と笑う立夏春駒
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機織りて出鱈目な歌溽暑なりあねもねワンヲ
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白南風の幾許か混ぜ織りにけりあねもねワンヲ
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定年の着ない背広や衣替えSteve
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紫陽花路仔犬のリードはパラコードSteve
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人工の乳ぶさに黒子秘め浴衣馬場めばる
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泥染めの濃ゆき日重ね暮れの秋竪山 ヒスイ
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秋霖や針の生み出す絣柄竪山 ヒスイ
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織り上げた誰にも似ない帯涼し川代つ傘
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大砲鳴るマルタのマダム機を織る佳辰
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日焼けの手生成りの絹糸機に張る佳辰
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幽霊の裾を繕ひたる蛍真夏の雪だるま
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織姫の織りなす風よ今宵晴れ卯之町空
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靴下にダーニングの花春隣こりゆばんばん
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盆の風白檀の香も織り込んで美んと
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機織は目を詰む天窓の銀河いちの
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少年はギター掻き弾く熱帯夜片山千恵子
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錦繍や「ぞうのエルマー」かくれんぼ高辺知子
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紬糸節も愛しいきりぎりす高辺知子
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風鈴やギターのFと二重奏窓 美月
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藍玉の香や日比谷シャンテの出雲織窓 美月
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向日葵や母国語紡ぐ福音書三毛猫モカ
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足早にグレンチェックの冬帽子草深みずほ
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筬打ちの白き手首や律の風草深みずほ
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セーターは羊に還りたいのかな岡根喬平
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「そうずら」と信州訛りの初盆会千霞
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亡き女が織った芭蕉布の壁掛けなんくる
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カーチーベーおばーの家の機の音なんくる
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梅雨空に裏庭籠る筬の音南の爺さま
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あさがおやほどけばクルリ機械編み空素(カラス)
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夏休み子供に帰り笑いヨガ京都さくら
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マドラスのシャツのはためくヨットかなくつの した子
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耳順春天蚕スカーフ萌黄色遊川百日紅
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経糸に苦楽織りあげ錦秋へ山田季聴
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律儀過ぎ儲け減らして梅雨じめり山田季聴
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白服やポーチは群青さをり織り青猫
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思ひ出を全てリセット髪洗ふ崇元
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セーターの滲みこびりついた思ひ出崇元
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機音を五線譜にして赤蜻蛉猫笑ふふ
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媒染を替へし桜の格子柄落花生の花
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新しき職場の笹や星祭りそれから
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七夕や留学生の願いごとそれから
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秋を待つ戒名の繍の直角葬送のまちばり
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この闇のどこかに一人雨蛙軽時計
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高砂に臨む六月のギター軽時計
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羅や織り手の時も纏う宵宮本てふ
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ぼろ織りのタペストリーやパリー祭敏庵
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芭蕉布やメイクの乗らぬ添ひ寝跡雀子
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貫頭衣の弥生人なりて田を植うるすみだ川歩
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涼しさを纏いし五泉織の技すみだ川歩
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結び糸秋風吹いて織り上がり希凛咲女
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七夕や言葉を紡ぐ人になる希凛咲女
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裂き織りは夫の着物盆の月山田祥風
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七夕やくず絹糸を緯糸に山田祥風
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おばぁ着る薩摩上布の深き藍オカメのキイ
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羅の無垢の経糸杼糸赫オカメのキイ
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甚平着て緯糸滑る傘寿かな春木
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Beer置くZoomに趣味の織機あり春木
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白シャツのほつれ顔寄せそっと切る勝亦朝
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秋灯や手本をなぞる筆の跳ね佐藤恒治
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新品のギャベ敷きねこと日向ぼこいともこ
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タオルびゅん扇ぐ鬼神や玉の汗たけ
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夏富士や砲撃音にファーの声たけ
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ゆらゆらと規則正しき繭を煮る(野山めぐ改め)野山恵生
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古着裂く音も織り込む秋の夜茅々
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七夕や夕方からの雨上がる遥琉
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七夕や会いたき父母の星はどこ遥琉
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仮縫いの夏服そっと着てくるり陽だまり
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夏兆す播州織の似合う人陽だまり
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糸になるまでの道程綿の花なつのおわり
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夏の雲逢うべき糸に出逢えた我なつのおわり
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「これは夏の風色」君の手織り布Broken Bow
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足踏みのミシンの音とソーダ水すそのあや
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漁師飯にパクチー男料理あんこ
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蚕時雨や母の寝返り疎開の夜あんこ
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天幕に機織り虫よどこで鳴く朝夕人
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機織に金髪夫人杼(ひ)を労し朝夕人
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おもしろやなつにはなつのおさんどんオアズマン
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機織りの音ととんとん楽譜あり向日葵姐
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同窓会松阪木綿の着物買うぽち
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冷房の車内読書は十二分市子
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柚子ナッツ刻む傍ら花リボン早霧ふう
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舞ふ夢や花見小袖はつうの布早霧ふう
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スイミーの音読リズムレース編むうく
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朝顔やぽんと張りたる薄き絹うく
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蜘蛛の巣をはらい織機を手放しむ細葉海蘭
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綜絖の糸のもつれる溽暑かな細葉海蘭
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銀漢を機織る母の胎の中心寧 侑也(ここね ゆうや)
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蜘蛛の囲の主鎮まる夕まぐれ心寧 侑也(ここね ゆうや)
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つゆの明ひさしく開けぬ趣味の箱ゆきえ
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夏のそら苧引きの茎白くぽんころん
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でこぼこの織目も笑顔子らの夏ぽんころん
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絹糸を組んで八月十五日山城道霞
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春雷や機織の音ちよと乱れ夏の町子
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言の葉の機微を織り込む機の秋夏の町子
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天窓にくるくる回る藺草織りりっこう
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セーターよ妹編み機で吾は手編みりっこう
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屋根裏に真白き夏蚕残されて天上たこ
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砧打つLINE打つ暇あるでしょう?天上たこ
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片想い揃いのベスト編む月夜かきくけ子
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餞別の五人機織り襟巻暖か森田ゆり
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天蚕糸七本寄せて指震え森田ゆり
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夜の秋銘仙ほどきて袋縫ひちえ湖
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偽りの趣味を並べし女郎蜘蛛芝歩愛美
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簾越しの優しき陽射しに怠ける花ばば
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網戸の破れ気になる餃子焼く夜花ばば
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七夕や誰の椀にも星の海福間薄緑
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二つ星硬し連理の木の隙間福間薄緑
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縫初やいなせな伯母の蒔絵櫛折田巡
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ムラ糸のデニム縦落ち滝白し折田巡
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オラついた猫のパペット野外劇かときち
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竜天に刹那織りなす帛紗かなそよかぜシュレディンガー
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秋思の悔い戻らぬ糸のタペストリーそよかぜシュレディンガー
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産まれ来る子に織る肌着冬の雨大家港一
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家建てる「100円工女」風光る鳥鳴里乃
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夏の暮織機の音のしきりなる一徳斎
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新緑に向かひて座せる織機かな一徳斎
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ぬくめ酒機糸すこしゆるみけり円海六花
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色かさね身に入む時間ほころびなし星の砂
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十六夜の月一人縫う背番号星の砂
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螽斯右手右足トントンぱヒロヒ
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「老」と「拡」重ね眼鏡の縫はじめあま門
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人まばら車窓の上の星祭髙田 純佳
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七夕や人目偲んで雲の上髙田 純佳