第58回「趣味は機織」《人》⑤

評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
※結果発表欄では添削した形で句を掲載する場合がありますが、「マイ句帳」に収録される句は投稿した段階の句がそのまま保存され、投稿以降の修正や削除は不可となっております。予めご注意願います。
【第58回 写真de俳句】《人⑤》
夏空やゲルに真紅のカザフ織
青猫
アトリエに裂きし布々夏終る
源早苗
ブランケットステッチきゅきゅきゅ夏始
源早苗
往還や機織りの杼と親燕
蜘蛛野澄香
六月の臍へとんとん機を織る
蜘蛛野澄香
八束の生糸干されし若葉風
落花生の花
牽牛や付箋の文字に夫のくせ
弥栄弐庫
宵闇や瑠璃の布巻くをんなの眼
弥栄弐庫
筬打ちに絡む雨音送り梅雨
宮本てふ
白南風や玄関マット新調す
敏庵
父の日やミンサー織の眼鏡入れ
雀子
機織りの音のやみたり初蛍
与次郎
くず繭の紬となりぬ指の節
与次郎
ボビン残る形見のミシン柳の芽
勝亦朝
藍染の発色を待つ酷暑かな
佐藤恒治
結納の帯は鳳凰花満開
いともこ
白繭や糸の数ほどある正義
(野山めぐ改め)野山恵生
裂織にあの日の欠けら炬燵掛け
茅々
西日差す麦稈真田の束の山
走亀エリコ
どうしてもやりたい仕事火取虫
走亀エリコ
仄暗き博物館や夏の果
すそのあや
工房の束の間の黙秋の昼
向日葵姐
蜩や密やかなる足踏ミシン
市子
更衣したる鬱王らしきもの
二城ひかる
セルリアン・ブルー中二の夏休
二城ひかる
祇園会の爪本綴れの懸装品
深草くう
十人の綴る緞帳秋の音
深草くう
裂織に春着の名残の赤のある
しばのおはる
秋空や千人針の猛き虎
山城道霞
経糸をすべる杼の音流れ星
ちえ湖
ぶぶ漬けの出汁は濃かりや百日紅
芝歩愛美
波縫ひはがたがた西日の家庭科室
かときち
麦の風迷いインコの乗りし手に
円海六花
美しく飯かき込む子青簾
あおい
こがね色の糖液たぷんたぷん梅
あま門
父作の組ひも固し秋晴るる
はっしん
芭蕉布や軒端を風の通り来る
琥幹
寒月のコンビニ軋む抱っこ紐
家守らびすけ
京舞の夏足袋ずいと踏み込めり
よはく
破れ布のアラビア文字よ夏の果
よはく
シャトルバスゆらゆら星合の空へ
樋ノ口一翁
「ご趣味は」と切り出す頃の添水かな
馬風木瓜子
入門の「きらきら星」を終えて朱夏
馬風木瓜子
端居せる十字絣のほのと白
那乃コタス
機織は祖母薪割りは祖父の音
若林くくな
ブルーシート足りぬ屋根あり大夕焼
朝宮馨
ぎくしやくとミシンのペダル夏休み
甲斐杓子
月涼し祖母愛用の仕事椅子
夜汽車
ゆっくりと毛糸を編んでいる産休
水鳥川詩乃
糸留めの全き丸や寒明くる
内田ゆの
織初めの耳に楽しき杼の音かな
沖庭乃剛也
隣人にミシンを借りる夏休み
青村秋入
曾祖母の足踏みミシン油照
青村秋入
朝涼し杼と筬の音淀みなく
ボイス&フィンガー
綾織の踏み木間違えそうな梅雨
ボイス&フィンガー
前席は白服プレミアムスクリーン
空から豆本(空豆 改め)
染め糸を軒へ拡げぬ鳳仙花
金魚
晴天の七夕手術台冷たし
悠美子
星流る祖父の織り機のうすぼこり
芝香
音のない雨を編み込むつばくらめ
清水ぽっぽ
朝顔や織機忙しき路地の家
野野あのん
宵山のはづれの路地の手拭屋
野野あのん
紡ぎ染め織るアンデスの朝涼し
乃咲カヌレ
空澄むや食用箔を買ひ足しに
白沢ポピー
白シャツに風をはらんで子は発てり
ゆいか
花の雨三年振りの眼鏡かな
うただねこ
七夕やきのふの棘がまだ抜けぬ
有村自懐
今朝の秋タペストリーは祖母の匂い
たそへ
星月夜ラヂオ作りのハンダ付け
つーじい
母残す端切れの山や小鳥来る
コミマル
夏蝶や実習生の授業中
ほしのり
経糸に絡む緯糸鳥渡る
紀子
打掛の金糸銀糸に梅ふふむ
天弓
機織るや白川郷に春の雪
三日余子
父の付けたボタンぐらぐら夕涼み
キッチンハイカー
縦笛の名前ひらがな扇風機
田上南郷
見晴るかす新宿越しの夕焼かな
織乃
赤信号揺れて炎夏の第一声
織乃