第60回「双子のようなペンギン」《ハシ坊と学ぼう!③》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
ペンギンの覚束無さに似た初恋
丸山美樹
夏井いつき先生より
無季ではありますが、この比喩には新鮮な魅力があります。「~似て」とすれば、人選です。
無季ではありますが、この比喩には新鮮な魅力があります。「~似て」とすれば、人選です。


酷暑でも知恵を絞りし記念日に
あかつき
夏井いつき先生より
この書き方ですと、何の記念日にどんな知恵を絞ろうとしているのか。映像がないので、読者としては悩みます。
この書き方ですと、何の記念日にどんな知恵を絞ろうとしているのか。映像がないので、読者としては悩みます。


ペンギンの蹴散らす蟻の列延々
斎 柊子
夏井いつき先生より
一句に生き物を二つ取り合わせるのは、ほんとうに難しいのですが、「ペンギン」に対して「蹴散らす」とい描写が的確なのか? そこが気になります。


氷雪に背を比べしてペンギンや
絵符
夏井いつき先生より
同じ句材で二句届いておりました。できれば、別の句材に挑むほうが、二句投句というシステムが有効に活用できるのではないかと思います。


ペンギンの語源は肥満秋彼岸
佐柳 里咲
夏井いつき先生より
上五中七のフレーズを生かすならば、季語は動きそうです。


ソファの向き変えてみたよ子春空
三上もなか
夏井いつき先生より
「小春空」の間違いでしょうか?
「小春空」の間違いでしょうか?


胎動でゆがむお腹の残暑かな
小鳥遊
夏井いつき先生より
「双子を出産した時のことを思い出して詠みました。二人がお腹の中で動くたびに、ぐにゅっとお腹が波打つ様に動きました」と作者のコメント。
「胎動に」とすれば人選です。
「双子を出産した時のことを思い出して詠みました。二人がお腹の中で動くたびに、ぐにゅっとお腹が波打つ様に動きました」と作者のコメント。
「胎動に」とすれば人選です。


お盆かな見上げるインバウンドスカイツリー
わかね
夏井いつき先生より
「スカイツリー」とあれば「見上げる」は不要ですし、「お盆」と取り合わせれば、インバウンドの観光客で賑わっているのだろうなと想像はできます。
「スカイツリー」とあれば「見上げる」は不要ですし、「お盆」と取り合わせれば、インバウンドの観光客で賑わっているのだろうなと想像はできます。


夏の式上着脱ぎたしやせ我慢
風天斎靖旅
夏井いつき先生より
「夏の葬儀で暑い中、上着を脱ぐに脱げない姿がペンギンに被りました」と作者のコメント。
葬儀ならば、そのように書いたほうが、場面が明確になります。更に、下五で「やせ我慢」と説明するのは損です。あくまでも俳句は描写です。
「夏の葬儀で暑い中、上着を脱ぐに脱げない姿がペンギンに被りました」と作者のコメント。
葬儀ならば、そのように書いたほうが、場面が明確になります。更に、下五で「やせ我慢」と説明するのは損です。あくまでも俳句は描写です。


季語なし
君の名は足並み揃え季節の移ろい
茉恋 (まれん)
夏井いつき先生より
「季節の移ろい」という書き方では、季語としての力はありません。


ペンギンの流氷ぎぎぎ接岸へ
原 水仙
夏井いつき先生より
「ペンギンの流氷」が、今、接岸した? 接岸しようとしている? 微妙な描写の精度を高めたいところです。


近松忌ペンギン相関図に破局
谷山みつこ
夏井いつき先生より
「ペンギン相関図に破局」は、ちょっと面白いのですが、季語との取り合わせ……意図が見えすぎる感じです。


ペンギンのポーカーフェイス終戦日
あみま
夏井いつき先生より
「ペンギンのポーカーフェイス」を良しとしたとき、下五の季語は動きそうです。
「ペンギンのポーカーフェイス」を良しとしたとき、下五の季語は動きそうです。


ひそかざるペンギンの恋蝶の恋
飯村祐知子
夏井いつき先生より
「京都水族館には、兼題写真のペンギンより小型のケープペンギンが沢山います。その恋愛相関図は圧巻です。昼ドラどころではない、どろどろ。飼育員さんの愛の溢れた相関図を、ぜひ見ていただきたいです。実は、蝶もかなり激しく、見るのが辛いほど暴力的な種もおり、全くひそやかではありません。大小で取り合わせてみましたが、説明的でしょうか」と作者のコメント。
「ひそか」は、「ひそかなり」という形容動詞なので、打ち消しの助動詞「ず」に接続するのならば、「ひそかならざる」となるはずです。
「京都水族館には、兼題写真のペンギンより小型のケープペンギンが沢山います。その恋愛相関図は圧巻です。昼ドラどころではない、どろどろ。飼育員さんの愛の溢れた相関図を、ぜひ見ていただきたいです。実は、蝶もかなり激しく、見るのが辛いほど暴力的な種もおり、全くひそやかではありません。大小で取り合わせてみましたが、説明的でしょうか」と作者のコメント。
「ひそか」は、「ひそかなり」という形容動詞なので、打ち消しの助動詞「ず」に接続するのならば、「ひそかならざる」となるはずです。


大海を眺むるペンギンの愁思
明日咲く
夏井いつき先生より
「愁思」は「秋思」ですかね。
「愁思」は「秋思」ですかね。


もう海を恋ひぬペンギン秋の雲
深山むらさき
夏井いつき先生より
「『恋ふ』は『乞ふ』と同じ四段活用だと思っていましたが、念のため調べたところ上二段活用! 打消の助動詞『ず』の連体形がつけば『恋はぬ』ではなく『恋ひぬ』では!? 違和感しかないのですが、合っているのでしょうか? それにしても学生時代、あんなに嫌いだった古文の文法が今は楽しくてなりません。俳句を通して本当の『学び』に出会えました」と作者のコメント。
恋わない、ということが言いたいのでしょうか? 「恋う」は、広辞苑(第七版)によると、口語が五段活用、文語が上二段活用。「本来、上二段動詞。室町期頃から四段にも活用」とあります。打ち消しの助動詞「ず」は、未然形接続なので、「恋う」を上二段活用だとすると「恋ひぬ」だけど、四段活用ならば「恋はぬ」。
うーむ……めんどくさいね~。「恋ひぬ」とすると、完了の助動詞「ぬ」? とも紛らわしい……。それを思うと、四段活用説をとって「恋はぬ」とするのが分かりやすいかもね。
「『恋ふ』は『乞ふ』と同じ四段活用だと思っていましたが、念のため調べたところ上二段活用! 打消の助動詞『ず』の連体形がつけば『恋はぬ』ではなく『恋ひぬ』では!? 違和感しかないのですが、合っているのでしょうか? それにしても学生時代、あんなに嫌いだった古文の文法が今は楽しくてなりません。俳句を通して本当の『学び』に出会えました」と作者のコメント。
恋わない、ということが言いたいのでしょうか? 「恋う」は、広辞苑(第七版)によると、口語が五段活用、文語が上二段活用。「本来、上二段動詞。室町期頃から四段にも活用」とあります。打ち消しの助動詞「ず」は、未然形接続なので、「恋う」を上二段活用だとすると「恋ひぬ」だけど、四段活用ならば「恋はぬ」。
うーむ……めんどくさいね~。「恋ひぬ」とすると、完了の助動詞「ぬ」? とも紛らわしい……。それを思うと、四段活用説をとって「恋はぬ」とするのが分かりやすいかもね。

