写真de俳句の結果発表

第63回「十数年ぶりの大阪」《天》

NEW

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

第63回「十数年ぶりの大阪」

63

 

すうどんに天かすの星クリスマス

横山雑煮

 

前半「すうどんに天かす」までは紛れもない現実なのですが、そこからの意外性に心を打たれます。具のないすうどんに、無料の天かすを浮かべる。せめてもの「天かす」を「星」に見立ててみれば、丼の円は天空の球体となり、うどんは差し詰め天の川にでもなるのでしょうか。

キリストが生まれた清きこの夜に、食べているのは最も安い「すうどん」。ひょっとすると、これもなけなしの金で頂く聖夜の晩餐なのかもしれませんし、ディケンズの小説『クリスマス・キャロル』にでてくるスクルージのような金貸しの老人の日常かもしれません。更に、まさかの最後の晩餐ではなかろうかと深読みすれば、そこから様々なドラマが動き出します。

「すうどん」「天かす」はベタですし、「星」「クリスマス」の取り合わせもベタです。しかも、「すうどん」「天かす」という二つの極めて俗な言葉に対して、「星」「クリスマス」の宗教的かつ幸福なイメージも持つ二つの言葉。これらを、こんなふうに出会わせることで、一気に詩を発生させる。凡人的取り合わせは、いわば最大値の共感。その土台の上で展開させる鮮やかな言葉の化学変化を、大いに楽しませてもらった作品です。

“夏井いつき”