写真de俳句の結果発表

第66回「お台場の桜」《ハシ坊と学ぼう!⑤》

ハシ坊 NEW

第66回のお題「お台場の桜」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

音もなくモノレール過ぎたりて飛花

石塚壜太呂

夏井いつき先生より
「まだ人気のない朝。通り過ぎたモノレールと、その風で散ったかのような桜。動きがありながら静かな情景を句にできないかと思いました」と作者のコメント。

仮に「モノレール音なく過ぎて」とすれば、上五中七が無理なく作れます。下五の季語を再考しましょう。
“ポイント”

万物が与謝野る春塵の台場

笙湖

夏井いつき先生より
「高校時代、与謝野晶子の『みだれ髪』から服や髪が乱れることを『与謝野る』と言っていました。桜の花や枝葉も強風で暴れることに着想しました」と作者のコメント。

「与謝野る」のようなウィットは嫌いではないのですが、その意味合いを知らない人にとっては、意味が掴みがたいものになります。
“参った”

春の空百枚にビバルディの風

オランウータンの綱渡り

夏井いつき先生より
「百枚の窓に百枚の青空が映っています。ここに風が吹いていたら……きっとビバルディの曲かな~♪ 視覚、聴覚、触覚が表現できているでしょうか?」と作者のコメント。

表現したい内容には共感します。「百枚」が、窓だと分かるように書けるとベストです。
“ポイント”

砲台に踏ん張る桜花レクイエム

大本 武

夏井いつき先生より
「戦に備え作られた台場に咲く桜は、今はありもしない砲身をその根で押さえつけ、繰り返す愚かな過去を悔い、幾多の名も無き戦士に涙するように散る、と思えました」と作者のコメント。

「レクイエム」という言葉はカッコいいので、俳句では折々でてきます。「セピア色」に次ぐぐらい、よく使われます。使い勝手の良い言葉に甘えず、この思いを映像に託すことを練習してまいりましょう。俳句の根幹は描写です。
“ポイント”

雲切れてサーカス小屋の花の昼

東京堕天使

夏井いつき先生より
「助詞『の』か『は』で迷いました。以前、お台場には、だだっ広い空き地に、シルク・ドゥ・ソレイユや劇団四季のテント小屋が立っていました」と作者のコメント。

助詞、迷いますね。「の」だと、上五中七の意味がそのまま「花の昼」にかかってきます。「は」は、他の場所はともかく「サーカス小屋は」という強調のニュアンス。どちらがご自身の書きたい内容なのか、自問自答してみましょう。
“難しい”

花の闇放送局のスキャンダル

信茶

夏井いつき先生より
「闇」と「スキャンダル」が近いですね。
“ポイント”

旧道を乗車なきまま花の道

京あられ

夏井いつき先生より
「ローカルバスに私一人で乗車。なかなか乗ってこないので、ドキドキしながらです。道沿いの古い家屋には桜が植えられていて、開花のときが楽しみです。それまでに退院してほしいですが……それにしても、こういうときこそ、俳句があって良かったなあ、としみじみ思う帰省です」と作者のコメント。

あえて語順を替えてみると……

添削例
乗車なきままの旧道花の道
“ポイント”

鳶一瞬バランス崩す桜東風

冬島 直

夏井いつき先生より
「青空を悠々と飛ぶ鳶が大好きです。風を捉えて羽を動かしもせず飛び続ける姿はかっこいい! そんな鳶が一瞬の突風に煽られてバランスを崩しながらも、また均衡を取り戻す景を詠みたいのですが、この句では取り戻すまでは描ききれていませんよね」と作者のコメント。

「鳶」のどんな様子が目に入って、「バランスを崩している」と思ったのですか。その様子を描くのが、描写です。
“ポイント”

桜満開ほほえむ母はキャビネ版

城ヶ崎文椛

夏井いつき先生より
「母の写真を持って花見へ。ハシ坊で度々見かける『亡くなっているのかもと想像できる俳句』を作りたかったのですが、『母はキャビネ版』という表現はあり得るでしょうか……?」と作者のコメント。

少し考えれば、想像できるかもしれません。が、「写真の母」は難易度の低い手法。もう少し別なやり方に挑戦してみて下さい。
“ポイント”