写真de俳句の結果発表

第66回「お台場の桜」《ハシ坊と学ぼう!⑮》

ハシ坊 NEW

第66回のお題「お台場の桜」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

パンプスの踵の熱や月朧

佐藤儒艮

夏井いつき先生より   評価    人 
「中七を『踵に熱や』にするか迷いました。兼題写真の東京の桜→新卒で働き始めた春→ストッキングにパンプスという連想です。アパートから駅まで十分以上、駅から会社までも同じくらい、毎日パンプスで歩いていたなんて……足、痛かったなぁと思い出しました」と作者のコメント。

「に」にするか、「の」にするか。評価としては、どちらでも人選なのですが、作者としてのニュアンスはしっかりと追求してください。「踵の熱や」の場合、「熱」に主眼があり、「踵に熱や」の場合、「踵」という部位が強調されます。
“ポイント”

ビルふもと刹那の使命束ねし桜

十合百合

夏井いつき先生より
情報が多すぎるようです。「刹那」「使命」などの抽象名詞を俳句で使いこなすには、かなりの俳筋力が必要です。まずは「ビル」と「桜」の光景を描写するところから、練習していきましょう。
“ポイント”

検査後に花見を拒む父がいて

悠美子

夏井いつき先生より
「数年前の早春、父が余命半年の宣告を受けました。治療は無理だと言われましたが、父は治療を受けて病に打ち克つのだと考えていました。ある通院の帰り道、見頃の桜並木を通って帰ろうと誘う私。別に桜はいいよと父は関心なし。密かに父との最後の桜になるのだろうと思った切なさ、父との見なかった花見の思い出です。『拒む』ほどではないけれど言葉が見つからない、『父ありて』『父のいて』など……今月も考えながらの投句です」と作者のコメント。

「検査後に」という書き方が散文的。作者コメントの中の言葉を借りるとすれば、こんな書き方もできます。

添削例
余命宣告花見を拒む父のいて
“ポイント”

繰り返すサティに縋る春愁ひ

清水ぽっぽ

夏井いつき先生より
「繰り返すサティ」と「春愁」の取り合わせは良いです。「~に縋る」感じは、季語の中に入ってますので、この部分を推敲してみましょう。
“参った”

オフォスビル窓窓に跳ね囀りは

乃咲カヌレ

夏井いつき先生より
「パリのアパルトマンの中庭で、小鳥の囀りが壁にエコーしていました。東京の高層ビルにも囀りが響いているのを想像しました」と作者のコメント。

作者の体験した光景のほうが、素敵ですね。(兼題写真は、あくまでも発想のジャンピングボードなので、無理やり写真に寄せる必要はありません。ご自分の体験のほうを大切にしてください。)実体験の光景をもとに、推敲してみましょう。
“ポイント”

湾岸の粗き土より花の雲

帷子川ソラ

夏井いつき先生より
「より」をどう解釈するのか、読み手としては迷ってしまいました。
“ポイント”

ライトアップ海か桜かメインキャラ

みーあ

夏井いつき先生より
下五「メインキャラ」は、(どちらがメインキャラになるのでしょうか)という説明の言葉の一部になっています。まずは、海と桜の光景を描写してみましょう。俳句は、説明ではなく描写です。
“難しい”

花のひとひら前髪にちよこんと

かみん

夏井いつき先生より
「『ちよこんと』が字足らずになるので、勇気がいりました。でも軽い感じも出せるかなと思い、使ってみました。表記は大文字で表しましたが、このあたりの決まりごとの解釈が難しいです」と作者のコメント。

字余り・字足らずも表現の一つですから、作者が意図をもって選び取ってよいのですが、この句の場合でしたら、語順を替えると五七五に入ります。表記については、歴史的仮名遣いか、現代仮名遣いかも、作者の選択になります。まずは、『夏井いつきの俳句添削事典』の76ページを参照してください。

添削例
前髪にちょこんと花のひとひらは
“ポイント”

夕桜スーツの影はまっすぐに

静岩

夏井いつき先生より
「夕桜」と「スーツの影」の取り合わせ、良いですね。下五「まっすぐに」は、一人のスーツ姿の印象? あるいは似たようなスーツの影が続いている? 並んでいる? 描写の精度をあげることを考えると、すぐに人選です。
“ポイント”

ひかりいる今宵の球体花の冷え

桃圓

夏井いつき先生より
「大きな球形の展望台。今夜のその冷えた球体は光を発しているのか、吸収しているのか」と作者のコメント。

兼題写真を見ていない人には、「球体」が何なのか分かりません。「展望台」であることが分かるように書いてみましょう。一句の中の、優先順位の低い言葉を外すところから、推敲を始めましょう。
“ポイント”

光さす花今盛りと咲きけり

石津 さくら

夏井いつき先生より
「花今盛り」とあれば、「咲きけり」とダメ押しをする必要はありません。節約できた音数をどう使うか。俳句は言葉のパズルです。
“ポイント”

桜咲くひとり散歩の目が語る

片平凛桜

夏井いつき先生より
「初めて投句します。ピンクの桜の花の美しさに、一人で散歩していても、目と会話しているような気分になりました」と作者のコメント。

ようこそ、おウチde俳句くらぶへ! ご一緒にコツコツ学んでまいりましょう。
さて、この句ですが、「目と会話しているような気分」という感覚に共感します。ただ、俳句に使われている言葉は「目が語る」となっているので、会話という感じが読み取りにくいのです。こういう時は、むしろ素直に自分の書きたいことを書いたほうが、読み手にまっすぐに伝わります。

添削例
桜咲く目と会話している気分
“ポイント”