写真de俳句の結果発表

第66回「お台場の桜」《ハシ坊と学ぼう!⑭》

ハシ坊 NEW

第66回のお題「お台場の桜」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

万愚節愚かな母と愚かな子

真夏の雪だるま

夏井いつき先生より
「シングルマザーとして日々子供と向き合っている中で、無駄に怒ったり怒らせたり、愚かなことがたくさんあり、嫌になります。自虐とともに、エイプリルフールのように、その愚かさを面白くして、楽しく愚かにいられたら、という気持ちも込めて詠みました」と作者のコメント。

私もシングルマザーの時期がありましたので、お気持ちには共感しかありません(苦笑)。「愚かな母と愚かな子」というフレーズを生かすには、季語を一考しましょう。ほのぼのとほろ苦く笑える季語との出会いがあるはずです。
“ポイント”

桜咲く轢死の猫の供花となり

小鳥遊こはく

夏井いつき先生より
「朝方、会社の門の前で野良猫が車に轢かれて死んでいました。可愛がっていた社員の一人が、お線香と餌を供えていたと聞き、そのことを詠みました。桜の樹の下には昔から死人がいると聞いていたので、まだ仔猫だった猫のはかない命の慰めになってくれたらと思います」と作者のコメント。

下五「供花となり」と説明する必要はありません。上五と中七を取り合わせるだけで、その気持ちは読者が読み取りますので。
“ポイント”

入院の窓やお堀に満つ桜

三毛猫モカ

夏井いつき先生より
「満つ」が「桜」に掛かるのであれば、「満つる」と連体形になります。
“参った”

フロントのベネチアンマスク寒旱

空素(カラス)

夏井いつき先生より
「ベネチアンマスク」と「寒旱」の取り合わせで勝負するのならば、「フロントの」という場所情報は不要です。
“ポイント”

十五分も遅刻の大汗喫茶店

落花生の花

夏井いつき先生より
第55回『食卓に花瓶』並選〈十五分も遅刻の大汗初デート〉を推敲しました。『初デート』と書かずに、初デートかも? と感じさせられる言葉にしようと、『喫茶店』にしました」と作者のコメント。

その挑戦の意図はよいのですが、初デートかな……とは思いにくい「大汗」です。さて、どうする?
“ポイント”

春昼や旨そうに煙草を吸うね

葬送のまちばり

夏井いつき先生より
季語を一考すると、この句はまだまだ化けます。
“難しい”

傘開くるごと暖房のチューリップ

早霧ふう

夏井いつき先生より
第53回『火の山公園のチューリップ』〈会場の傾性ブーケチューリップ〉〈寿ぎの落つ暖房のチューリップ〉の推敲です。ご指摘のように、感情は除き、様子を書きました。蕾の花束を求めて向かう間の寒さ。会場は暖房が効いていて、入口から受付へ行くまでに一気に開いてしまいました」と作者のコメント。

「傘開くるごと」という比喩から始まると、実際の傘の映像から始まって、しかも「暖房」「チューリップ」と二種類の季語が出てくるので、読者の脳はこの展開についていくのがなかなか難しいのです。あなたが体験した状況をそのまま描写するだけで、読者の脳にはその映像が再生されます。

添削例
暖房にみるみる開くチューリップ
“ポイント”

TOKYOの夜や桜蕊振り尽くす

そよかぜシュレディンガー

夏井いつき先生より
「振り」は「降り」の変換ミスでしょう。「降り」とすれば、人選です。
“ポイント”

蒼天に初つばめ舞ふ隅田川

一徳斎

夏井いつき先生より
「蒼天に初つばめ」とあれば、「舞ふ」は不要です。
“ポイント”

春夕焼海のキリン埠頭鳴り

髙田 純佳

夏井いつき先生より
「海のキリン」は、ガントリークレーンのことでしょうか。「海のキリン」とあれば「埠頭」は不要かもしれませんし、「埠頭のキリン」とすれば、「海」が要らなくなる。更に、「鳴り」も何がどう鳴っているのか、少々わかりづらいのも気になります。言葉の取捨選択をして、残りの音数でできることを考えてみましょう。
“ポイント”

寒桜一輪咲くも母逝く日

文心美

夏井いつき先生より
「数年前ですが、桜が大好きな母が、満開の桜を見ることもなく、一月の半ばに亡くなりました。桜の咲く頃になると、母を思い出します」と作者のコメント。

中七を「~咲いて」とすれば、人選です。
“ポイント”